内沼晋太郎『これからの本屋読本』(NHK出版)を読んで

柏駅前から、相次いで書店が撤退しています。柏駅前の経済力や文化レベルの問題だけでなく、インターネット通販など、私たちの生活が大きく変化しています。
本屋さんが、いま、岐路に立たされています。

その一方で、小さな本屋をはじめる人が増え、これは世界の潮流のようです。
本を愛する人たちが、本を愛する人たちのために本屋を開く。
そこには斬新なアイデアがあります。

吉祥寺の「本屋B&B」共同経営者で、ブックコーディネーターの内沼晋太郎さんが書かれた『これからの本屋読本』(NHK出版)を読みました。

本書には、昔ながらの本屋を続けていくことは難しいので、どのようにしたら本屋を継続させることができるかが記されています。

1本屋をダウンサイジングする
-固定費の削減と差別化

2本屋と掛け算する
-本屋×飲食業、ギャラリー、イベント、教室、読書会、雑貨、家具、サービス、メディア、空間など

3本屋を本業に取り込む
-営業、ブランディング、顧客満足度、研究調査、社内コミュニケーションとしての本屋

4本屋を本業から切り離す
-あそびや生きがいとしての本屋、イベント出店や実験、ネット上での活動など

これらのアイデアは、私たちの柏まちなかカレッジでの活動を後押ししてくれるものでした。

柏まちカレ図書館は、それぞれの飲食店などが本屋と掛け算することで、ブランディングや顧客満足度を高めるものになりますし、まち全体を図書館と見立てまちじゅうに本を読める場所が広がります。
柏まちカレ図書館-まち全体を図書館と見立てる

また、小さい本屋を始めたい人に筆者は、本のフリーマーケットである「一箱古本市」を勧めています。
自分の読んだ本をセレクトし、お客さんとのコミュニケーションを楽しむものです。

柏では、「軒先ブックマーケット 本まっち柏」が開催され、「本と人、人と人、人とまち」をつないでいます。

ぜひ、本書『これからの本屋読本』を多くの方にお読みいただき、本にまつわる活動の仲間を増やしたいと思いました。

そして、私自身も小さい本屋さんを開いてみたいと思うようになりました。
そう思っていたところ、Yol cafe FROSCH さんから店内の本棚でのフロッシュ本屋への出店をお声かけいただきました。

まだ、本屋を構えることはできませんが、こうした本棚をお借りしながら、「柏まちなか本屋さん」を開いていけるような仕組みも構想していきたいと思います。

先日、ご紹介しました『モンテレッジョ 小さな村の旅する本屋の物語』のように、私自身がバックパックに本を詰め込んで歩いて販売することも考えています。
『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』を読んで 

トークイベントなど開きながら、その人にとって必要な本を本を行商するスタイルも面白そうです。

本を売ることには、公共性があると言及していることが印象に残っています。
以前、八戸市が開設した「八戸ブックセンター」を訪問しました。図書館でも、書店でもない「本のまち」の拠点です。
行政が運営する「八戸ブックセンター」
これからの動向を注視していきます。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)