第一次大戦では航空機が存在感を増し、日本でも飛行部隊の組織され、昭和期に入ると、東京周辺への防空飛行場の設置が議論されるようになりました。
当時、畑や牧だった千葉県の東葛地域(東葛飾郡田中村十余二)に陸軍の新飛行場を建設され、東京の立川から飛行第五戦隊が移転しました。
以後、柏飛行場は「帝都」防空の第一線の航空基地となったのです。
そのようなわけで、先日、NHKでも放映されたロケット戦闘機「秋水」など、柏飛行場にまつわる軍事遺跡が残っています。
そして、もう一つ注目すべきは、高射砲部隊でした。
高射砲とは、地上から航空機を攻撃するための火砲です。
柏には、高射砲部隊にまつわる軍事遺跡が各所にあります。
その中でも、「訓練棟は全国的にも珍しい、大変貴重な建物です」
訓練棟(照空予習室及測遠器訓練所)は、昭和10年代前半に建てられた高射砲連隊特有の建物です。現在国内に残っている同じ用途の建物は2棟、クレーン支柱がある構造になると国内唯一という大変貴重なもの。
ただ、老朽化のために取り壊しの予定で、私たちは資料館としての保存・活用を要望しています。
本日(2023/11/24)、千葉県から記者発表がありましたので、共有いたします。
国の文化審議会(会長 佐藤信)は、令和5年11月24日(金)に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、文部科学大臣に対し、柏市所在の「旧陸軍高射砲第二連隊
照空予習室」を登録有形文化財(建造物)※として登録するよう答申しました。
この結果、官報告示を経て、千葉県内の登録有形文化財(建造物)の件数は305件となります。
※参考
1 旧陸軍高射砲第二連隊照空予習室
(1)員 数 1件(1棟)
(2)所 在 地 柏市根戸443-3
(3)建築年代 昭和13年頃/昭和42年改修
(4)登録基準 (三)再現することが容易でないもの
柏市の旧陸軍高射砲第二連隊跡に建つ防空訓練施設。箱形の建物内部は元は窓の少ない大空間の一室で、天井等に航空機像を投影して照空灯操作を訓練した。屋上は距離測定の訓練所で、西面に残るクレーン支柱一対で測遠機を昇降した。特殊な用途の旧軍施設の遺構として貴重。
【登録有形文化財(建造物)について】
登録有形文化財建造物は、50年を経過した歴史的建造物のうち、一定の評価を得たものを文化財として登録し、届出制という緩やかな規制を通じて保存が図られ、活用が促されています。
(文化庁「建物を地域と文化に登録有形文化財建造物制度の御案内」より)