今回の議会質問では、学校の統廃合への反対と、オルタナティブスクールのような学校を柏市で設置するという対案を示しました。
1 私のミッション
私は「学校を設立したい」という目標を持ち、大学で教育学を学び、卒業後は教員となりました。
学生時代には、J.デューイの教育思想やシカゴ大学附属実験学校での実践、大正新教育運動の文献を読み、構想を練っておりました。
池袋児童の村小学校の研究をしている後輩からも、多くを教わりました。
その後、イタリアのレッジョ•エミリア市では、素晴らしい幼児教育を公教育として実現させれ、街全体で子どもたちを育てる教育が実践されている自治体を知り、学校という枠組みを越えて考えるようになりました。
そして、格差や環境といった社会全体の問題や根底となる市民の意識や文化をなんとかしなければという思いが強まり、地方議員として活動させてもらうことになりました。
2 一部の子どもではなく、すべての子どもに素晴らしい教育を。
素晴らしい学校を建てても、次第に裕福な家庭の子どもたちのものに移り変わっていいくことを教育史から学びました。
貧困層の子どもたちを対象に始まったモンテッソーリ教育ですら、そうなっています。
新教育運動については戦争の影響もありましたが、公教育ではなく、フリースクールのような形で展開した結果だと考えています。
社会や子どものニーズも多様となり、従来の公教育では、すべての子どもたちに充実した教育機会を提供することが難しくなっている部分もあります。
子どもにとってフリースクールやインターナショナルスクールといった選択肢もありますが、月謝が高かったり、持続可能な形でなかったりしているのが現状です。
大正新教育のような多様な教育を行政が支え、子どもたちの学ぶ機会を保障することが、議員としての私の仕事です。
教育の自由が保障されているオランダでは、モンテッソーリやイエナプラン、ドルトンプランといったオルタナティブ教育の学校が行政によって設立され、教材研究も盛んです。
実際に、オルタナティブ教育といわれる学校は、一部です。しかし、それでも、公教育として認められていることに大きな意義を感じます。
3 公共施設の統廃合と学校
さて、今日、自治体では、人口減少し、厳しい財政状況の中で、老朽化した施設の改修が集中し、災害等への対応や環境への配慮など対応を迫られています。
公共施設のリストラも断行せざるを得ません。
地方自治体の公共施設の大部分を占めているのが学校施設です。
柏市の公共施設等総合管理計画のための調査報告では、3つの小学校の統廃合の可能性が示されています。
4 小規模校だからこそできる教育
小規模校については廃校にするのではなく、小規模校ならではの良さを生かした教育を打ち出していくべきと、私は考えます。
あえて複式学級を選択することで学年を超えた学び合いやICTを活用した個別学習を実現させるなど、少人数でのアクティブラーニングが可能となります。
自然体験や地域との交流の機会も大きな魅力です。
学習指導要領に従った複式学級や教科横断のカリキュラム作りなど研究や実践が報告されています。教育委員会で特色ある学校づくりをバックアップしていくべきです。
5 不登校支援の取り組み
現在、柏市では、適応指導教室「きぼうの園」と三ヵ所の学習相談室で不登校支援が行われています。
訪問指導員、大学生によるメンタルフレンド、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーによる相談体制があります。
しっかりとした支援体制ではありますが、「適応指導」という名称など、既存の学校への不信感を持ったり、枠を超えた児童生徒については不十分な部分もあります。
日本財団と東京大学先端科学技術研究センターでは「異才発掘プロジェクト ROCKET(Room Of Children with Kokorozashi and Extraordinary Talents)」を立ち上げました。
学校になじめず不登校傾向がちでありながら一方で、特定の興味・関心のある子どもを対象に、その興味・関心をのばすことを目的としたプロジェクトです。
この事業のように、今こそ、柏市ならではの思い切った取り組みが期待されます。
6 地域を支える学校
公教育として、柏市が理想的な学校を運営することになれば、全市内からはもちろん、全国から、その学校での教育を求めて子どもたちと親が集まることになります。
地域に子どもの声が戻り、地域を元気にすることにもつながります。