【速報】千葉県公立小学校での塾講師を活用した算数授業の実証実験について、千葉県議会での議論を紹介

公立小学校の算数授業で、塾講師を活用し、学力向上をさせようという検証について、昨日(2023/12/12)に開かれた千葉県議会文教常任委員会で、野田宏規議員と私・山下洋輔が取り上げ、議論しました。
その文字起こし内容を共有いたします。

その前に、この内容についての補足情報です。
千葉県の民間人材(塾講師)による専科指導研究事業の導入校の一つである流山市立江戸川台小学校の授業が、2023年11月27日に報道陣に公開され、報道され、反響がありました。

「小学校の算数に塾講師を活用し学力向上を検証」の報道を受け、千葉県教育委員会と話し合い、分かったこと・考えたこと

千葉県議会・文教常任委員会 2023/12/12

野田委員 ー次に3点目のテーマに移りたいと思います。
えっとですね今、千葉県教育委員会の方で公立小学校の算数で、塾講師による授業を試験的に実施していると思っております。それで11月27日さっきで言えばですね、私の地元である流山市立江戸川小学校でもこういった試験的な事業を行ったというふうに聞いております。こちらについて、せっかくの機会で続けたいと思いますけれどもどういった所感があるのか教えていただきたいと思います。

石川学習指導課長 ー本事業は、塾講師の指導と教員の指導のそれぞれの優れた点を明らかにし、その結果を活用することを通じて、教員の指導力向上や市子供たちの学力向上に繋げることを目的としております。

これメディアにも取り上げられまして、一部報道では事業の目的や内容が十分に伝えられていないところがあり、視聴者が正しく理解できなかった面もあると考えています。一方で取り組みに対する期待の声もあることから事業の目的が果たせるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

野田委員 ーはい、ありがとうございました。私の方から2点再質問したいと思っております。1点目、答弁で出ると思わなかったんですけど、ちょっとあの、私はこれを応援したいと思ってるんですけども、驚いたことに、批判的なコメントも結構あってですね、よく私はよくSNSを見るのですけども、批判的な方も多かったんですが、その他についても一歩踏み込んでですね、分析を伺いたいというか、どういったそこがあったのかってことを伺いたいと思います。

2点目として、そういったわけで、試験で運用しているわけですけれども、この先、今後どのような事業であるとか制度に結び付くのかを改めて確認したいと思います。以上2点お願いいたします。

石川学習指導課長 ー全てのインターネットとの反応を確認したわけではございませんが、例えば児童のインタビューの取り上げ方が、「 担任よりも塾講師の指導の方が優れているといった印象を持たれたような内容であった」ということや、「この事業が塾講師を教員として活用することを前提としたものである」といったような誤解がされたというところでございます。

今後のことですけれども、現在この効果について千葉大学に検証を依頼しておりまして、その検証結果を踏まえて今後の取り組み、対応については考えていきたいと考えております。以上です。

野田委員 ーわかりましたありがとうございました。以上で大丈夫です。ええ。

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山下委員 はい。私からは、先ほど野田委員からもありました、塾講師による算数専科指導研究事業についてと図書館と公文書館についての連携について2点お尋ねいたします。

まず最初に、この民間人材・塾講師による算数専科指導研究事業についてです。学校の意義、教員の存在価値を問い直す時期に差し掛かっていると言われる中で、今回のこの事業は、今後の千葉県の教育のあり方の方向性を左右するものになるかもしれず、先ほど野田委員からも質問がありましたが、私からもしっかりと議論させていただきたいと思い質問いたします。

一つ目、なぜ算数の教科なのでしょうか?

石川学習指導課長 本県の全国学力学習状況調査の結果などから子供たちの算数の御指導に課題があるといったことが一つ挙げられます。また算数の学習については、中学校への進学に伴って、しっかりと身につけておかないと中学校での学習が円滑な学習が進まない進まないといったようなこともございます。

併せて小学校の教員は全ての教科を指導することから、各教科の内容が高度になり抽象度が増す高学年の算数科の研究が必要だというふうに考えたところでございます。

山下委員 はいありがとうございます。承知いたしました。

本事業の授業の形式と学力観についてお尋ねします。

学力とは何か、その考え方も変わってきております。AIとともに生きることになる時代、知識を多く身に付けて、早く正確に処理していくような学力から、深く考えたり、他者との相互理解を深めたり、諦めずに取り組み続けるなどの多様な力が求められるようになりました。

今、教育現場では、画一的なこの一斉授業から、対話して、探究を深めるような学びに移行しようとしているところだと考えます。タブレットなども配布されることもあり、知識を習得するためには、そして1人1人に合わせた個別最適化の学習が進められているところです。そんな中でこの報道で見た限りでは、一斉授業のスタイルで実施され、従来の学力テストでの成果が期待されるような説明やコメントが紹介されていますが、この授業の形態は、千葉県から指定したものなのか、受託者からの提案なのか、また、一斉授業の他に、探究的な学習や共同学習などのような授業も実施されているのでしょうか、お聞かせください。

石川学習指導課長 はい。本事業のこの事業のスタイルと申しますか、授業の方法ですけれども、県教育委員会では学習指導要領に基づき、必要な学力、身につけられるような指導のあり方をそれぞれの事業者にお願いしております。例えば学習指導要領の趣旨である主体的対話的で深い学びを促すような授業、そういったことも学習指導要領の中には含まれておりまして、こういった学習指導要領の趣旨に即して、学力を身につけられるような授業のスタイルを、それぞれの塾講師の方で考えて指導をしていただいているというところでございます。

山下委員はい、ありがとうございます承知いたしました。これまでの授業研究での蓄積というのもあると思います。授業研究は、日本の学校や教育の文化でもあると考えます。今、授業研究への負担の声などもお聞きしたりしますが、これからの時代に合った授業研究のあり方なども、うまく本事業と合わせて活用していただけたらというふうに要望いたします。

次に、この本事業の仕様書に、塾講師が教員免許状を有していない場合は、特別免許状の交付申請を行うことができるとあります。

これは、特別免許状交付が緩和されていくものにも繋がるのではないかという懸念の声が寄せられます。そこで、今後の特別免許状の交付についての方針をお聞かせください。

吉本教職員課長 はい。教職員免許状につきましては、特別の取り決めにつきましては、免許を持たない方たちがですね、授業等を持てるというふうに学校および市の教育委員会等がですね、それを審査させていただいて、そちらの方で名前が上がってくるという形で、新たに識者により審査をしましてその免許を利用されるという形のものでございます。

これにつきましては、授業ができ子供たちの前にいろんな形で立っていると思うんですが、その中で授業ができるというふうにですね、まずは学校の管理職等だと思うんですが、その辺が認めて、市町村教育委員会等にお話をして、それから話が上がってくるという形の免許でございます。以上でございます。

山下委員 つまり、従来の方式で今後も変わらずやっていくという理解でよろしいでしょうか?

吉本教職員課長、はい、その通りでございます。

山下委員、ありがとうございます承知いたしました。この項目の最後に、この本事業の目的について確認させてください。

今の教員、不足が本当に深刻です。そんな状況の中で、弥縫策として、塾講師に頼るのは仕方ない、あるいは保護者の方からなども評価する声をお聞きする一方で、野田委員からもありましたように、教育関係者や様々な否定的な意見もいただくところもあります。そこで事業の目的について、確認をさせていただきます。

目的というのは、教員の授業力の向上でありますが、教員不足や多忙化の解消のため、外部人材をこの活用していこうという目的も実はあるのでしょうか?

石川学習指導課長 はい。先ほども申し上げましたがこの事業は、教員による指導と塾講師による専科指導を調査分析し、優れている点を洗い出すことで、教員の指導力向上や子供たちの学力向上に繋げるといった目的でございます。以上です。

山下委員、ありがとうございます。ぜひとも学校の先生、子どもたちのための研究となるよう、よろしくお願いいたします。報道によって、いろいろ正確に伝わってない部分があるとご答弁ありました。私もそのように感じたところもあります。そうしたことで、様々な声が出てきているところもあります。ぜひ慎重な議論を要望したいと思います。

次に、新千葉県立図書館、県文書館複合施設に当たって三つの県立図書館と文書館が青葉の森公園内に複合施設に集約されるにあたって、・・・

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員選挙(柏市)•立憲民主党公認候補予定者。 2021年10月、柏市長選挙(2021年)に無所属で立候補。43,834票を託して頂きました。その後、AIで水道管を救うFracta Japan株式会社の政策企画部長に。 元柏市議会議員。柏まちなかカレッジ学長。元高校教諭。2児の父。 教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 (社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)