「肉付け予算」案が示されました!-令和7年6月定例千葉県議会の知事あいさつ

本日ここに、6月定例県議会を招集し、当面する諸案件について御審議 いただくことといたしました。
このたび提案いたしました案件は、令和7年度6月補正予算案、  各種条例案及びその他附帯議案の22議案のほか、諮問1件、報告2件です。

まず、令和7年度6月補正予算案について申し上げます。
令和7年度6月補正予算は、当初予算が「骨格予算」であったことから、「肉付け予算」として、政策的な判断を要する経費や新規事業、投資的経費のうち新規着手分などを中心に編成しました。
具体的には、産業の振興や道路ネットワークの整備など、今後の千葉県の発展に不可欠な事業のほか、教育環境の充実やこども・若者の支援をはじめ、医療・福祉の充実、環境対策の推進、文化・スポーツ振興など、「千葉の新たな飛躍」に向けた事業を計上しています。
この結果、一般会計の補正予算額は816億6,700万円で、補正後の予算規模は2兆1,858億1,700万円となります。

続いて、6月補正予算の主な施策について、その概要を御説明します。
はじめに、『産業の振興』です。 スタートアップ、大企業、投資家など多様な主体による交流会を定期的に開催し、企業等の成長を促すコミュニティの形成に取り組みます。

また、中小企業における人材の確保・定着を図るため、従業員の奨学金  返還を支援する企業に対し助成します。
さらに、働く若者のキャリアアップ等を支援するため、SNSによる  相談窓口を開設するほか、就職氷河期世代を含むミドル世代の支援として、キャリアコンサルティングやセミナーの開催、企業求人の開拓や求職者と企業とのマッチング支援等に取り組みます。

観光振興については、本県の豊かな自然を活用した魅力ある観光地づくりを促進するため、養老渓谷温泉郷において、ナイトタイムコンテンツ等の造成や交通利便性の向上に向けた実証事業などを実施します。

農林水産業の振興に向けては、新規就農者の確保・育成を図るため、機械・施設の導入等に係る助成対象者を拡大するほか、企業が遊休農地等を耕作に適した農地へ整備する場合に補助するモデル事業を実施します。

また、高病原性鳥インフルエンザの連続発生等を踏まえ、県の防疫資機材の増強を図るとともに、養鶏事業者が取り組む先進的な発生予防策を支援します。
漁業の新規就業者の確保・定着に向けて、就業体験や技術研修、漁船・漁具のリース導入支援を充実させるとともに、外部人材を活用し、水産系高校の魅力向上や遠隔地からの生徒受け入れに向けた検討を進めます。
さらに、県産農林水産物の魅力を一層発信するため、著名なレストランやホテルのシェフ等を対象とした産地ツアーや、県産豚肉加工品の     プロモーションに取り組むほか、「2027年国際園芸博覧会」への出展に 必要な準備を進めます。

次に、『社会資本の充実・防災基盤の整備』です。
北千葉道路をはじめとした道路ネットワークの整備を強力に進めるとともに、激甚化する災害から県民の生命・財産を守るため、河川の改良や  海岸保全施設の整備、土砂災害対策を実施します。
また、大規模災害時に、市町村が的確に市街地の復興に取り組めるよう、事前復興まちづくり計画の策定を支援する手引きを作成します。
このほか、老朽化が進む県庁舎等の再整備について、基本構想・基本計画の策定を進めます。

次に、『教育、こども・若者施策の充実』です。 教育施策の充実のため、私立学校経常費補助について、県単独の補助単価を、高校、幼稚園ともに引き上げるほか、高校生等の授業料支援について、所得制限により制度の対象外となっていた生徒も対象とします。

一部の県立高校・特別支援学校に電子黒板を導入するほか、不登校   児童生徒の多様な学びの場の充実を図るため、フリースクールの活動を支援するとともに、メタバース上に交流の場を設けるモデル事業を実施します。
また、県立高校において、福祉等の関係機関との連携や専門人材の配置等を行うモデル事業を実施します。
外国人児童生徒の指導体制を確立するため、県立高校において民間団体等と連携した日本語指導の研究等を行うとともに、市町村立中学校においてはオンラインによる日本語指導をモデル的に実施します。
このほか、新たに(仮称)流山地区特別支援学校の整備に着手します。

こども・若者施策については、若者の出会いを増やすため、趣味等を   切り口とした仲間づくり・出会いの場の創出に取り組みます。
また、放課後児童クラブへのインストラクターの派遣等により、体験活動の充実を図るほか、困難な事情を抱えた子育て世帯等を支援する市町村の 取組に、県単独で上乗せ助成を行います。
このほか、里親と児童相談所等をつなぐシステムを開発するとともに、 全児童相談所においてAIを活用した電話対応支援システムの本格導入を 行います。

次に、『医療・福祉の充実』です。 在宅医療従事者の安全を確保するため、相談窓口の設置や防犯機器の  購入補助等を行います。
また、若手医師のスキルアップ等を促進するため、勉強会などの自主的なグループ活動を支援します。 介護現場の業務効率化を図るため、介護助手の導入によるタスクシフトや科学的介護に関する研修の充実等を行うほか、ギャンブル等の依存症からの回復支援や相談活動等に取り組む民間団体に助成します。

最後に、『環境対策の推進、文化・スポーツ振興』です。
次世代自動車の導入を促進するため、観光・宿泊施設、太陽光発電設備における公共用充電設備の設置に対して助成します
また、次世代型太陽電池として開発が進められている「ペロブスカイト太陽電池」を、県有施設に  モデル的に設置します。
令和8年度に「ちばアクアラインマラソン」を開催することとし、大会の準備を進めるほか、県内大学生の企画提案による地域住民を対象としたパラスポーツ教室を実施します。

続いて、このたび提案いたしました主な議案の概要について申し上げます。
議案第1号から第6号までの6議案は、一般会計及び特別会計の補正予算案です。
議案第7号から第9号までの3議案は、条例の一部改正に係るもので、 議案第7号は、国の制度改正に準じて部分休業等の見直しを行うため、議案第8号は、市町村の民生委員の定数を変更するため、議案第9号は、  警察官等へ支給される被服の品目について国の制度改正に準じて見直すため、それぞれ条例の一部を改正するものです。
議案第10号から第21号までの12議案は、児童相談所の建替えや  北千葉道路の整備などに係る契約を締結するため、議案第22号は東京電力福島第一原子力発電所事故に係る損害賠償について和解するため、それぞれ議会の議決を得ようとするものです。
諮問第1号は、県立高等学校長が行った授業料減免申請却下処分について、取消しを求める審査請求があったため、地方自治法の規定により、議会に  諮問するものです。
以上が、このたび提案いたしました議案の概要ですが、なおこの際、当面する諸問題等について御報告申し上げます。

まず、総合計画及び行財政改革計画について申し上げます。
新たな総合計画については、4月臨時議会において、策定に取り組む旨を申し上げたところですが、このたび、計画の素案を取りまとめました。
素案では、県民の命とくらしを守るとともに、本県が更なる飛躍を遂げるため、おおむね10年後を見据えた課題意識のもと、本県が目指す姿を   県民の皆様に示すとともに、その実現に向け、「危機管理」「産業・社会資本」   「医療・福祉」「こども・若者」「共生」「自然・文化」という6つの基本目標の下、向こう4年間で重点的に取り組む主な施策を掲げています。
また、地域の産業構造や地理的条件等を踏まえて設定した6つのゾーンについて、産業振興やまちづくり、移住・二地域居住の促進など、各地域の   特性や強みを生かした取組の方向性をお示ししました。 今後、県議会をはじめ、市町村や県民の皆様の御意見を踏まえ、計画案として取りまとめ、9月定例県議会に提案したいと考えております。
また、総合計画の着実な推進を行財政面から下支えする行財政改革計画 を改訂し、更なる業務の効率化や、職員が安心して能力を発揮できる職場  環境の整備などにより、県庁の生産性の向上を図ってまいります。
今後、計画の素案を作成し、県議会の皆様をはじめ、幅広く御意見を   伺いながら、10月頃に公表することを目指して改訂を進めてまいります。  

次に、成田空港をめぐる動きについて申し上げます。 「第二の開港」ともいうべきフェーズを迎えている成田空港について、  先月、成田国際空港株式会社から、第3滑走路の新設等に必要となる用地の8割超を確保した旨の発表があり、5月25日には、私のほか、県議会議長をはじめ議員の皆様や、国・周辺市町から多くの関係者の参加のもと、   着工式典が行われました。
成田空港の拡張事業の早期実現は、国際ハブ空港としての競争力の強化に向け必要不可欠と認識しており、県としても、引き続き、空港会社の取組にできる限り協力してまいります。
また、空港を核とした国際的な産業拠点の形成と、その受け皿となる  まちづくりの実現のため、先月1日に、空港会社とともに、新たな     組織として「NRTなりたエリアデザインセンター」を開設しました。 センターでは、地域として目指すべきビジョンやゾーニングなどについて、 民間事業者の知見も取り入れながら検討を進めることとしており、県として、成田空港の拡張事業の効果を、空港のみならず周辺地域に最大限    波及させるための取組を強力に進めてまいります。

次に、大阪・関西万博への出展について申し上げます。
本県には、醤油やみりんなどの発酵食品、さらにはバイオテクノロジー 分野での活用など、発酵の歴史や文化、技術が各地に存在し、大きな魅力の一つとなっています。 その魅力を国内外に発信するため、大阪・関西万博に発酵をテーマとして、8月27日から8月30日までブース出展することとしております
ちばの発酵に関する歴史・文化等の展示・紹介に加え、飲食・体験    メニュー等の提供により、発酵の魅力を、実際に見て、味わって、体感    できるブースとする予定であり、国内外を問わず、多くの方に楽しんで   いただきたいと考えています。
この万博出展を契機として、市町村や企業等の関係者の皆様とともに 「発酵県ちば」の取組を推進してまいります。

以上、このたび提案いたしました議案の概要及び当面の諸問題等について御報告させていただきました。 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)