レッジョ・エミリア市の幼児教育実践の理論的リーダーであったローリス・マラグッツィは、「創造性とは何か」と聞かれた時に、戦車を学校に変えたことを話したそうだ。
ナチスの残していった戦車と軍用トラックをスクラップにして売り、「自分たちの学校」として幼稚園・保育園を作った。
私は、いま、「ソーシャリー・エンゲイジド・アート(Socially Engaged Art)」に注目している。
現実社会に積極的に関わり、人びととの対話や協働のプロセスを通じて、何らかの社会変革(ソーシャル・チェンジ)をもたらそうとするアーティストの活動の総称とのこと。
たとえば、ペドロ・レイエス《銃をシャベルに》というプロジェクト。
発砲事件の絶えないメキシコの町で、市民から1527丁の銃を市役所で集め、それを溶解して1527本のシャベルに作り変え、1527本の木を植えるというプログラムを実行した。
植えた木はやがて成長し、豊かな環境が生まれた。
※ペドロ・レイエス《銃をシャベルに》植樹プログラム スペシャル動画
このソーシャリー・エンゲイジド・アートと教育について考える本を読み始めた。
アート、教育学、社会学、言語学、コミュニケーション学などさまざまな分野を横断したアクティビティである。
他の分野で得られた知見を活用しながら、プロジェクトを組み立て、コミュニティと深く関わり、社会にポジティブな影響を与えると同時に、アートとしての役割を失わないための、知識とテクニック、そして心構えが記されている。
パブロ・エルゲラ著 ”Education for Socially Engaged Art — A Materials and Techniques Handbook —”
今朝の日本経済新聞(2018年1月27日)文化に、「世界の芸大、医学部と組む 自閉症児の発達促す玩具 外科手術用の画像3Dに」という記事に、芸術的センスを身につけた人材が求められているとのこと。AIの発達とともに、人間らしさを考えることも求められているという。
真に「ソーシャル」なアートはどのように可能か?
アートプロジェクトを象徴で終わらせず、社会を変えるリアルな活動にするためには?
教育プログラムに取り入れていきたい。