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子どもが豊かに育つ通学路

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以下、『BE-COM 8月号 vol.238』 (2012.8.1 BE・COMときわ通信発行)に掲載より引用

子どもが豊かに育つ通学路

 

【成長の場としての通学路】

通学路は、学校や家庭では学ぶことができない、子どもの社会性を成長させる貴重な場である。家と学校の移動だけではなく、家と地域、地域と学校とを結ぶ活動の場でもある。小学生の時の通学路の思い出が、心の原風景となっているというお話も聞き、地域で共有できる記憶としても重要である。日本は、世界と比較して公園が少ないと言われてきたが、かつては、道路が子どもの遊び場だった。

5歳児が、自宅前の道路で遊べるか否かが、その子どもの成長と発達に重大な影響を及ぼすという意見は、チューリッヒ・スタディとして有名である。IMG_7378

 

【危険にさらされている通学路】110-2 しかし、柏市内では、自動車の交通量が多く、歩道も車道も狭く、ガードレールのない通学路がある。伸びた草木枝や落葉・ごみでふさがれ、児童が車のすぐ脇を歩かなければならない歩道もある。中には、歩道もない通学路さえある。見通しの悪いカーブや制限速度が守られずに子どもたちのすぐわきをトラックが通り過ぎていくような通学路がある。抜け道として利用され、朝の通学時間帯に自動車が飛ばして走っている通学路がある。110-1

そういった状況の中で、京都府亀山市、千葉県館山市、愛知県岡崎市などで、通学中の児童を巻き込む痛ましい事故が起こっている。これらの事故は、遠い他の地域の出来事ではない。柏市でも、一刻も早く対応し、事故を未然に防がならない。

保護者、教員が、通学路に立ち、安全指導が行われてはいる。その負担もさることながら、いつ事故が起きるかもしれないという不安は大きなものである。大切な子どもの安全な通学路の確保は、最優先の課題であると考える。

 

【安全を守るために】

時速30kmの自動車にはねられた場合の死亡率は5%であるのに対し、時速50kmになると死亡率は45%にまではねあがる。走行時速を1%減少することで、事故件数が3%減るという実証データもある。

歩道の整備、ガードレール設置、速度制限と大型車の交通規制を実施するスクールゾーン設置が、求められている。また、歩道・路側帯の草・木・枝葉の伐採など、歩きやすい通学路の整備についても考えなければならない。

【安全確保が困難な訳】

歩道を作るためには、その用地が必要になる。道を広げる場合は、土地所有者の協力を得なければならない。現状の道路に、歩道を作る場合は、車道が狭くなってしまう。すれ違いが困難になるなど、車に不便が生じる。

ガードレールをつけることで、歩道が狭くなり、自転車も走りにくくなる。もっとも、自転車が、歩道を走るか、車道を走るかも議論が曖昧なままであるのだが。自転車の走りやすい道や自転車の運転者のマナーについても課題となっている。

速度規制や一方通行などの交通規制に対しても、近隣住民にとっては、不便である。安全な通学路を作るという考えには賛成するが、いざ、自分の家の前の道が狭くなったり、交通規制されると賛成できなくなってしまう。

 

【子どもにやさしい道は、高齢者、障がい者にもやさしい】

様々な制約や困難はある。しかし、未来を担う子どもたちが、すくすくと健全に育っていく環境を整備することが、私たち大人の責任ではないだろうか。

子どもにやさしい道は、高齢者、障がいのある人にもやさしい。高齢化社会に向けて、道路など施設において、バリアフリー化が進んでいる。

自動車を優先せず、歩行者との共存を図った街路計画は、オランダのボンエルフ市に始まり、今ではヨーロッパを中心に広まっている。政策により、安価で便利な公共交通を発展させ、歩行や自転車での移動を奨励している。狭い路地に入り込む車を制限し、子どもの遊べる道路を実現し、車に占有されていた空間に緑を植える。車があふれていた頃よりも、まちが活性化され、商業も発展し、環境も良くなったという。

今こそ、車中心から人間中心のまちを実現させる時である。

 

柏まちなかカレッジ学長  山下 洋輔

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投稿者:

山下 洋輔

柏市議会議員。柏まちなかカレッジ学長。教育コンサルタント。元高校教諭。 教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。 著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 教育共創研究所 代表 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。 早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 教育コンサルタント山下洋輔事務所設立。 2011年9月から柏市議会議員。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)