ヤマシィトンポスト

自転車まちづくり政策

以下、『BE-COM11月号 vol.253』 (2013.11.1 BE・COMときわ通信発行)に掲載より引用

【車中心から人間中心のまちへ】
自動車を優先せず、歩行者との共存を図った街路計画が、世界的に広まっている。政策により、安価で便利な公共交通を発展させ、歩行や自転車での移動を奨励している。狭い路地に入り込む車を制限し、子どもの遊べる道路を実現し、車に占有されていた空間に緑を植える。車があふれていた頃よりも、まちが活性化され、商業も発展し、環境も良くなったという。
自動車利用によって、人間は飛躍的に移動距離を伸ばした。遠くの目的地に、短時間で行けるようになった反面、その目的地を遠くに移転させる結果になってしまった。たとえば、今まで近所の八百屋さんで買い物していたものが、郊外のショッピングセンターに行かなければならなくなったのだ。「買い物難民」と言われる問題である。

【自転車利用のメリット】
自転車は、人力で、効率よく移動できる乗り物である。この自転車を利用することは、多くのメリットがある。
まず、経済的なメリットがある。アメリカは、財政赤字を削減するため、政策としてガソリンの消費を抑えるよう取り組んでいる。個人のガソリン代、維持費、保険代はもちろんのこと、国の財政負担が少なくなる。健康の点で述べるが、自転車こぎによって生活習慣病は約4割防げるそうだ。つまり、日本の約10兆円の生活習慣病の医療費のうち4兆円を削減できる。これは国民一人当たりに換算すると3万円の削減。さらに、交通渋滞は、国民一人当たり年間9万円の損失があると試算されているが、これも軽減できる。他にも、経済的なメリットは考えられ、これらを積み上げていくと経済的メリットは、大きいと言える。
2つ目に、環境にやさしい。何より二酸化炭素の排出を抑えることができる。車両自体も軽いので、自転車自体を運ぶエネルギーも不要で、廃車時のゴミも少ない。
3つ目に、健康にいい。運動不足を解消し、生活習慣病などの病気を防ぐことができる。自転車のいいところは、通勤や移動などの日常の時間で、特定の時間を使うことなく運動ができること。息切れしにくく、長時間の運動ができること。ひざに負担がかからないことがあげられる。
4つ目に、地域活性につながる。商業店舗にとって、駐車場の整備・維持コストも減る。駐車場の混雑が減り、環境負荷や近隣への迷惑も減る。何より自転車客は、近くからこまめに通ってきてくれるお客なのである。
最後に、ライフスタイルを豊かにし、子供の成長にも良い影響を与える。五感を使い、地域の魅力を再発見することにもなる。

【具体的な施策と課題】
ここで、自転車まちづくりの具体的な施策と課題を紹介したい。
1自転車道。自動車道では、車の邪魔になり、自転車にとっても危ない。歩道では、マナーを守っていても危険な存在になってしまう。自転車専用レーンなどの空間を確保する施策が期待される。
2自転車通勤手当の引き上げ。通勤手当の支給にて、自転車通勤者を優遇することは、自転車政策では有効である。
3スマートサイクル。柏市では、自転車の共同利用の社会実験が行われている。レンタサイクルと違って、もとの駐輪場に返却しなくてもよい。利用ポイントがつく。
4駐輪場対策。柏駅前の駐輪場対策は、喫緊の課題である。そごうスカイプラザ前の駐輪場もなくなり、旧農協の駐輪場も閉鎖され、放置自転車が問題になっている。
5マナーの問題。ルールを守れるような施説整備と環境確保、車道での走行空間の確保、講習会などの普及啓発や広報などの施策が求められてくる。

【オープンな話し合いの場】
自転車の走行空間が無いこと、マナー違反の自転車利用者、放置自転車を盾に、自転車についての話し合いが停滞しているように感じる。歩道は歩行者が優先され、車道では自動車の邪魔となり、現在、自転車は走りにくく、居場所が無いのが現状だ。
自転車政策のねらいを明確にし、進めていく施策と課題について、しっかりと論点を整理していく必要がある。その上で、自転車利用者の声を反映し、政策を作っていくべきである。政策決定までの一連のプロセスを可視化し、市民の社会参加意識を高め、住民の合意形成を築き上げるオープンな話し合いの場が必要になってくる。
この話合いのプロセスは、何も自転車に限ったことではない。その他の政策も、当事者たちで、オープンに話し合っていくべきである。自転車政策は、一般的に、生活に密着した、身近な課題なので、市民として社会に参加しやすい。この話合いから、市民参加のまちづくりが進んでいくきっかけとなることを願う。

柏まちなかカレッジ学長 山下 洋輔

 

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)