ヤマシィトンポスト

私の考える教育について

以下、『BE-COM8月号 vol.262』 (2014.8.1 BE・COMときわ通信発行)に掲載より引用

【教育に対する考えはイロイロ】
「ゆとり」か「つめこみ」か?「叱る」のか「ほめる」のか?テストの成績か人間性か?
教育に対する考え方は、様々で、歴史を振り返っても、同じような論争は繰り返し行われてきた。厳しい先生のお蔭で、人生が開けた人がいる一方で、ダメになってしまった人もいる。評判のいい先生や学校でも、合わない人もいる。
教育論を主張する人の間で、前提とする状況把握や定義が異なり、かみ合わないまま議論されていることが多い。いたずらに論争を繰り返すのではなく、日本の教育を少しでも前に進めていくためには、課題や論点の整理が不可欠である。
そこで、興味深い本がある。苫野一徳氏の、『どのような教育が「よい」教育か』だ。この中で、教育は「自由の相互承認」を目指すものであり、より「良い」教育のあり方や方法は目的と状況に応じて変わると、苫野氏は言う。

【教育と社会】
「理想の教育を考えるためには、理想の社会像を考えなければならない」と、大学の授業で教わった。教育は社会を支え、社会は教育を支えている。
私は教員を勤めていた時、より良い学校を実現するには、生徒の家庭環境、地域の治安、経済状況など、学校を取り巻く社会を変えなければならないと痛感した。30歳を前に教員を辞め、今、議会や地域の活動から、教育に働きかけている。
活動が広がるにつれ、「山下の考える教育は、一体、どのようなものか?」と聞かれることが多くなってきた。状況と目的によって変わると答えてもごまかしているように聞こえてしまう。ここで、はっきりと私の考えもお示ししておく。

私の考える教育の鍵は、「多様性」。

一人ひとりの良さが生きる社会を目指し、一人ひとりに合った教育を実現させたい。野球にたとえるなら、ホームランを打つ選手ばかりではなく、バント職人や経験のあるベテランなど、様々な個性が混ざっているチームである。
社会は、ますます複雑になり、一人で生きていくことはできない。価値観は多様になり、従来の常識は通じない。障がいのある人も、高齢者も子どもも、生まれた国の違う人も、富める人も貧しい人も、それぞれの個性を認め合い、協働する。そのためには「対話の力」が必要だと、私は考えている。

【教育格差と教育機会の保障】
「多様性」が教育の鍵と示したのは、教育格差の現状を考えているからである。今、あふれ出るほどの教育課題がある中で、私が最も大きな問題と考えていることは、教育格差である。戦後の日本は、どの地域に住んでいても、一定レベルの教育を受けられるよう教育機会を保障しようと努力してきた。学習指導要領により内容が定められ、国が教育にかかる費用を負担してきた。しかし、2000年前後の構造改革の結果、教育機会の保障は崩れてきている。所得格差も広がっている。
貧困の連鎖を断つためにも、無料の宿題塾や放課後教室、子どもたちの生活の質を高めるための福祉的なサポートをするスクール・ソーシャルワーカーなど、行政の対策が求められている。
親の経済的な背景(収入など)や文化的背景(学歴や知的な習慣)の他に、「地域とのつながり」が、学力に影響しているという報告が注目を集めている。親の収入や学歴は、簡単に変えることはできないが、「地域とのつながり」なら改善できるという希望がある。
人口減少も、教育機会を考える上で、大きな問題である。現在の制度では、子どもの数が減れば、学級数は減り、学校が減っていくことになる。廃校になれば、遠くの学校まで通わなければならず、地域とのつながりも希薄になってしまう。学校が地域の核となり、地域が学校をサポートしていく体制が求められている。
たとえば、学校が、緑のある広場や空きスペースを地域の方に提供し、学校が地域の活動の拠点となる。一方で、学校に集う地域の方々が、地域の昔話や仕事の経験談、授業・通学路などの見守り、花壇の手入れ、自分の持っている資源を学校に提供する。子どもや学校の課題をきっかっけに、地域の大人たちが協力し合う。そんな良い循環を作っていきたい。

【より良い教育のために、私にできること】
「一人ひとりの良さが生きる社会を目指し、一人ひとりに合った教育を実現させたい」という私の教育目標、あるいは、教育基本法に示されている、民主的で文化的な国家の発展と世界の平和と人類の福祉の向上という理想を実現するため、出来るところから働きかけている。
私は、高校で教諭を勤めた経験があり、大学院に進学して教育学を研究し、今、市議会議員として地域の声を聴き、教育行政に働きかけている。また、教育をテーマにした議員のネットワークを作り、地方議会から日本の教育をより良くしようという教育共創研究所も主宰している。
学校や教育行政ばかりが教育ではない。地域では、柏まちなかカレッジ学長として、いつまでも学び続ける姿勢を持つための生涯学習の活動を続け、6年目。刑務所から出てきた方への更生保護の活動や学童保育の手伝い、地域スポーツのクラブ運営、自然環境や史跡の保全なども行っている。
学校を支える地域のネットワークやより良い教育環境を整えていくことが、今できることと考えて活動している。
お子様の学校や住んでいる地域の学校の手伝いなどに参加してみるだけでも、教育に対して考えが生まれてくる。マスコミと一緒になって教育現場や教育委員会を批判するのではなく、現場の状況を調査して発信し、建設的な話し合いができる土壌を培っていくことも、私の役目と考えている。

柏まちなかカレッジ学長  山下 洋輔

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)