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安心を分かち合えるコミュニティ作り

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安心を分かち合えるコミュニティ作り

以下、『BE-COM 5月号 vol.223』 (2011.5.1 BE・COMときわ通信発行)に掲載より引用

【私からの提案】

2月27日、柏の葉UDCKまちづくりスクールにて話す機会を頂いた。「柏における安心とコミュニティ」を提案した。2月に起こったニュージーランドの地震は他人事ではなく、日頃から災害時に備えなければならない。そのためには、顔の見える人間関係を築いておく必要があると語った。

たとえば、壁で囲い、セキュリティを完備したまちは、「安全」かもしれないが、人任せである。一方で、信頼し、周囲と協力し合いながら作り上げていくまちは、「安心」である。まちの人が当事者意識をもって、参加することで「安心」を分かち合えるのである。

今、この「安心を分かち合えるコミュニティ作り」を真剣に考えている。震災前の漠然としていた主張を、具体的な提案としてまとめた。たたき台として、自治会や松葉町の方々と一緒に話し合っていきたい。

 

【情報収集の手段を確保】

災害直後、どのように情報を収集するか。インターネットが使えない方、電話や電気が使えない状況なども想定し、日常から情報収集の手段を確保しておく必要がある。今回の震災後も、デマが飛び交った。信頼できる情報を発信・受信できる仕組みを準備していかなければならない。それとともに、正しい情報を判断し、メディアリテラシー(情報を評価・識別する力)を養う場を作っていくことも大切だ。

インターネットは、タイムリーな情報が得られ、うまく見つけられると有用だ。ツイッターなどSNSが安否確認、帰宅難民、支援の輪の広がりに役立った。一方で、新聞は、必要な情報が編集されている。パソコンが使えなくても得られる情報源であり、まわし読みもできる。

ただ、大手の新聞は、私たちの地域のために情報を発しているわけではない。BE-COMのような地域の情報が求められる。そこで、福島県は避難所に「壁新聞」を掲示した。他には、コミュニティFM局が地域の人の安心をつむいだ例がある。必要な情報だけでなく、お笑いや音楽で心を癒す役割も果たしている。以前から、松葉町でもFM局を開局しようという構想はお聞きしている。運営など、地域で考えていきたいテーマである。

 

【心のケア】

被災地では、災害のショックや長引く避難生活のストレスが尋常ではない。専門家チームを組み、継続的な心のケアを支援する体制の構築が必要となる。特に、被災のストレスは、子どもの心に影響しやすい。安心出来る遊び場や体を動かす環境を整えるとともに、子どもの心のケアにあたる保育士もケアにも気を配っていかなければならない。

松葉町でも公民館に避難された方がいたそうだ。絶え間ない余震、テレビをつけると悲惨な状況、一人暮らしの孤独。こんな時こそ、「おしゃべりサロン」のような場が貴重となる(残念ながら、休止されたとのこと)。岩手県釜石では、地元有志の「見回り隊」が、独居高齢者の様子を確認したり、情報を伝えたりして町内を巡回し、地域の不安を和らげた。

アーティストやスポーツ選手らによる心のケアも大きな役割を果たす。チャリティイベントで義援金を集めるだけでなく、人々を励ます力がある。柏でも多くのイベントが開かれた。有名無名に関わらず、心に届く力を感じた。

【体制の整備】

災害の四分後、対策に動き出した企業の話を聞いた。責任者や指示系統、連絡手段などの手順を明文化し、その手順に従って訓練を繰り返していたのだ。誰がリーダーシップを取るか。どのように避難するか。安否確認、情報収集の方法は。そういった話合いが、地域で不可欠である。

避難場所や経路、壁新聞の場所を示す地図を作る。同時に、一件ごとに調査も行い、独居高齢者や病気を持った方、車椅子の方、人工透析や人工呼吸器が必要な方、認知症、耳が遠い方など、詳細を把握し、避難手順を立てる。

食糧・物資の備蓄計画とその配分方法も定める。燃料や食糧の販売業者と災害協定を結び、買占めを防ぎ、必要な人に物資が届く仕組みを整えておく。中世のムラでは、城を築き、食糧などを備蓄し、戦や災害時は避難した。現代では、公民館が城の機能を果たすことになる。医療機器のためにも非常用電源の確保が必要である。自家発電体制や防災用井戸の確保も検討したい。

 

【ボランティアと地域交流】

被災地では、ボランティア不足が深刻である。復興には時間がかかるだろう。物資輸送など緊急支援は、行政や企業などが担ったが、精神的な支援や細やかな手伝いなど、継続的な支援では、複合的な地域間の連携が大切になってくる。世間の関心が薄れてしまいそうな時こそ、日常の交流がモノを言ってくるのではないだろうか。

知り合いのいる地域は、ほっておけないものだ。姉妹都市よりも、もっと狭い姉妹自治会を。関東、近畿、東北、九州など日本各地や世界各地の地域と、ボランティアや文化的な交流を持つ。

たとえば、これからの修学旅行。ショートステイなどで地域の文化を体験し、つながりを作ることに移行するだろう。農山漁村の生活体験やアフリカやアジアに出て学校や病院などを建てるボランティア活動は、貴重な勉強になる。電気を使わない体験など、「生きる力」を育む上でも有効である。さらに、旅行後も続くつながりを作ることになり、地域交流としても価値がある。

 

【今こそ、見直しの時】

地域での防災訓練や災害対策は、今までも行ってきた。しかし、実際の震災を前に、もっと真剣に考える必要を痛感した。この提案を実行するのは、大変だ。しかし、今がチャンスでもある。私なら協力したい。多くの方の意識の高い今こそ、安心を分かち合えるコミュニティ作りを始める時ではないだろうか。

柏まちなかカレッジ学長 山下 洋輔

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投稿者:

山下 洋輔

柏市議会議員。柏まちなかカレッジ学長。元高校教諭。2児の父。 教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 (社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 教育コンサルタント山下洋輔事務所設立。 2011年9月から柏市議会議員。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)