教育の不易流行を考えながら‐『きのくに子どもの村の教育』を読んで

世界の変化は、加速していきます。
教育も変化しています。教育は、私たちの意識が追い付けないことが多い分野かもしれません。

インターネットで世界の有名大学の授業が受けられます。なかには、単位や学位を出す大学もあります。世界中を学びの場とし、現地に滞在し社会課題から学ぶインターンプロジェクトを提供している大学もあります。
日本国内でも、角川ドワンゴ学園のN高等学校が注目されています。

変わりゆく教育にアンテナを張る一方で、変わらない教育についても考えたいと、教育学の古典や大学時代に読んだ本などを読み返しています。

本を読み返すというのは大切ですね。読んだつもりになっていたことを反省させられます。また自分の大学時代から、自分自身も経験を積んだり、社会が変化したりしているので、本から得られるものが変わってくるのは当然かもしれません。

今日は、きのくに子どもの村学園長である堀真一郎さんの書かれた『きのくに子どもの村の教育』を読みました。img_4224

きのくに子どもの村は、デューイ(John Dewey)、サマーヒルスクールのニール(A.S.Neil)、キルクハニティハウススクールのエッケンヘッド(John Aitkenhead)の思想を受け継ぎ、体験学習を中心に自由な子どもを育てる学校法人(認可を受けた私立学校)です。

1992年開校し、24年続いているというだけではなく、福井県・福岡県・山梨県にも開校し、きのくに国際高等専修学校やキルクハニティ子どもの村も展開しています。
設立準備から現在に至るまでの20年を振り返った第Ⅲ部も参考になりました。
・初心を忘れず、妥協しないこと。
・資金面の裏付けを確保すること。
・柔軟にしたたかに対応すること(学校創設者が退陣させられる現実もある)。

研究会活動から設立準備委員会発足という流れも、簡潔に具体的に示されていました。
(1)ニイル研究会(月例会開催、年3回会報発行、夏期講座開催、最盛期400名以上が参加など)
(2)新しい学校をつくる会(方針・計画の議論、PR、資金作り、研修、サマースクールなど)

海外の事例や大正時代の新教育運動でなくても、教育史に残るような教育実践が、現在進行形で展開されていると感じました。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)