【教員未配置/学校給食費の無償化/高校の入試採点/県立学校における日本語指導】千葉県議会・文教常任委員会2024/07/03 山下洋輔の質問とその答弁

山下洋輔 議員
私から4点、教員不足・教員未配置について、学校給食の無償化について、高校入試の採点について、日本語指導についての4点おたずねいたします。

同じ会派の菊岡たづ子県議とともに、会派を代表して出席しています。
私から、学校給食費無償化、高校入試採点、教員不足•未配置、日本語教育について質問しました。

1 教員不足と教員未配置

◆令和7年度公立学校教員採用候補者選考の志願状況について

山下洋輔 議員
まず、教員不足と教員未配置について、先ほど教育長からのご報告や請願でもお話がありましたけれども、
病休や育休・産休の教員の代わりが補充されず教員未配置が発生しています。その原因として、病休や育休・産休の代替だけでなく、特別支援学級や通級指導、日本語指導等の教職員の必要数が増えています。その一方で、教員志願者と講師登録者が減っています。近隣県でも、試験日程の前倒しなど、様々な取り組みが実施されています。

昨年度、千葉県では、教員の魅力発信に向けた「教員採用プロモーション事業」や全国に先駆けて奨学金返還緊急支援事業にも取り組まれ、これまでも「ちば夢チャレンジ」や県外受験会場の設置元教諭特例選考など、教員志願者を増やす取り組みを実施されてきました。

これらの取り組みの影響も踏まえ、令和7年度公立学校教員採用候補者選考の志願状況についてはどのように分析されていますでしょうか?

和久純 教育振興部副参事
本年度の志願状況につきましては、奨学金返還緊急支援事業の対象となる新卒志願者数は、昨年度とほぼ同数を維持している他、夢チャレンジ特別選考の志願者は、昨年度よりほぼ倍増になっているなど、本県の取り組みが志願者の獲得に一定の効果を出していると考えております。一方で、既卒者の減少が大きいことが課題であると分析をしております。以上でございます。

◆教員基礎コース

山下洋輔 議員
将来、教員を目指す生徒を養成する教員基礎コースを県立高校に設置されていますが、このコース卒業後の追跡調査などは実施されていらっしゃいますでしょうか。

斎藤俊介 教育政策課高校改革推進室長
教員基礎コースの実施状況および成果や課題を把握するため令和3年度から令和5年度にかけて、千葉女子高校と安房高校の教員基礎コース修了生に対して、追跡調査を実施しました。
具体的には、平成28年度から平成30年度に卒業したコース修了生201名調査を実施し、109名から回答を得られ、そのうち39名が教員として就業していました。また、我孫子高校と君津高校については、教員基礎コース1期生の大学卒業者が出るのが今年度末でありますので、来年度から追跡調査を実施する予定です。

山下洋輔 議員
この教員基礎コースにて、教員養成や教育や子どもに関わる人たちに関する人材が養成しされていると私は評価しております。県内でも取り組みを広げていただきたいと考え、現在コースが設置されていない第4学区や第5学区でも、教員基礎コースの設置を要望いたします。

◆ペーパーティーチャーを掘り起こし

山下洋輔 議員
先ほど、和久副参事からもご答弁いただきましたけれども、私も

教員未配置の解消のためには、新卒者の志願者を増やす取り組みに加え、講師登録者を増やす取り組みが必要と考えます。

全国的な傾向として、定年による退職者数の増加により、採用者が増えています。
受験者数の低下も相まって、競争率低下につながり、不採用者が減り、講師登録者が減ってます。受験者数の減少は、大学新卒者の受験者数の減少より、既卒者の受験者減少の影響が大きいと言えます。

すでに千葉県では、働く教職員の魅力を発信し、ちば夢チャレンジ特別選考や奨学金返還緊急支援事業など新卒者の志願者や元教諭特例選考などで復職者を増やすよう取り組んでいますが、「ペーパーティーチャー」を掘り起こし、授業時間や勤務日など多様なニーズに対応できる人事や校務支援に取り組むことが必要と考えますが、千葉県の考えをお示しください。

和久純 教育振興部副参事
県教育委員会では、いわゆるペーパーティーチャーのためのセミナーの実施や、就職転職フェアへのブースの出展など、既卒者を対象にした取り組みを計画するとともに講師登録者が短時間勤務を希望することが多いことを踏まえ、令和4年度から、会計年度任用職員について、たとえば、週当たり10時間など、短時間での勤務を可能としたところであり、柔軟な配置に努めております。

山下洋輔 議員
この件について要望いたします。

新卒者の志願者数減少よりも、既卒者の志願者が減少していく傾向を受け、奨学金返還緊急支援事業について、既卒者への拡充を要望します。

また、講師登録者は、ますます重要な存在となってきます。教員採用候補者選考の不合格者という捉え方ではなく、あえて講師を選択している教員の声を聞くべきであると考えます。他の業種でも、自由で、独立した働き方を選択するフリーランサーも注目されています。

学校現場における多様な働き方を認め、多様な人が学校で働けるよう改革し、講師の待遇も改善することで、全国の実力ある講師登録者に注目される工夫も必要と考えます。そのためにも、ペーパーティーチャーを堀り起こし、授業時間や勤務日など多様なニーズに対応できる人事や校務支援に取り組むことを要望いたします。

あわせて、教員未配置解消のため、志願者を増やす取り組み、現職がやめないような働き方改革、やむをえずやめてしまった教員の復職制度や定年後も働ける仕組み、そして給与や休暇などの待遇改善についても、引き続き、要望いたします。

2 学校給食費の無償化について

山下洋輔 議員
次に学校給食費の無償化についてお尋ねいたします。
先月の文科省による調査にて、全国の自治体の3割が2023年度時点で、給食の無償化に取り組んでいるということが明らかになりました。
熊谷県知事の公約にでも示された学校給食の無償化について、この千葉県内における給食の無償化の進捗についてお示しください。

志村修一 保健体育課長
令和6年度は県内全ての市町村で第三子以降の無償化を実施しているところでございます。以上です。

山下洋輔 議員
ありがとうございます。全ての市町村で第3子以降の無償化を実施されているとありますが、第2子以降であったり、小学校・中学校であったり、そうした無償化の実態についてお示しいただけますでしょうか?

志村修一 保健体育課長
まず令和6年度の当初の状況としましては、県内54市町村について、全ての児童生徒を対象に無償化を行っているのは、15の自治体でございます。
また第3子以降に加えて中学生全員や、特定の学年を対象に無償化を行っているのは5自治体、
さらに第3子以降に加えて、第一子、第二子の半額補助や、月当たりいや、1食あたりに定額の補助をするなどしているのは6自治体、
第3子以降のみ無償化を行っているのは28自治体となっております。

山下洋輔 議員
第3子以降から、第2子以降、すべての児童生徒などに拡充していくことについてはどのようにお考えでしょうか?

志村修一 保健体育課長
県教育委員会では、住んでいる地域に関わらず誰もが安心して子育てできる環境作りのためには学校給食についても、国が制度設計すべきと考えており、引き続き国に対して、市町村への財政支援について要望してまいります。

山下洋輔 議員
給食無償化の調査結果を踏まえて、文科省では、一律の無償化に向けて、「児童生徒間の公平感の確保などについて、今後検討する必要がある」とされています。

課題の一つとして、アレルギーでお弁当を持参したり、不登校だったり、また宗教上の理由であったり、給食の提供を受けていない児童生が、全国で28万5000人に上っているとのことですが、「こうした児童生徒は無償化による恩恵を受けられず、不公平感が生じる恐れがある」と指摘されています。

また今年度10月から、青森県では県内で全て全ての児童生徒に対しての学校給食の無償化を始めると取り上げられています。

要望としまして、児童生徒の住む地域によって教育にかかる、かかる負担に差が出ないよう、ぜひとも、よろしくお願いいたします。

3 県立高校の入試採点について

山下洋輔 議員
続きまして、高校の入試採点について、
昨年の高校入試採点誤りを受けて、昨年度末の入試では改善点が示されましたが、それを受けて、実際に、今回どのような採点が行われたのか、
その採点方法について今後に向け課題や改善点などはあったのか。
お示しいただければと思います。よろしくお願いします。

増田武一郎 学習指導課長
令和5年度選抜における採点誤りを受け、有識者による千葉県公立高等学校入学者選抜改善検討会議を設置しまして、採点誤りの原因について分析をし、その提言を受け、改善策を講じました。

選択式部分はマークシートで自動採点をするとともに、記述式部分の採点は、デジタル採点システムを使用し、二つの別系統で採点を行うことで、複数人による複数回の点検を行うとともに、合否の逆転という事態を防ぐため、ボーダーライン点検も実施しました。

また採点点検のための臨時休業日を追加で設定し、採点者1人ある一定のもと採点を実施しました。以上でございます。

山下洋輔 議員
特にこの2系統での採点方法について、この運用であったり、この採点日のスケジュールなど日程などについて、今後に向けての課題点はありましたでしょうか?

増田武一郎 学習指導課長
各系統2名1組で実施した2系統採点では、採点用パソコンの台数の条件ですとか、採点者側の習熟度の違いなどから、効率的に採点が進まず、採点時間が予定より大幅に超過する学校もあったと認識をしております。

令和7年度選抜においては、採点者が正確かつ負担なく業務に当たることができるよう、検査から発表日までの日程を昨年度の中6日から中7日に延長することとしました。

そして採点誤りがないことを前提として、採点者の負担が軽減されるようにしたい方法や設計等での採点方法等についてアンケートを実施し、その結果を踏まえて一層の改善を検討してまいります。

山下洋輔 議員
ぜひこれらの改善策、次に生かしていただけたらと思います。

また、自動採点の読み取り機について、この読み取り機の台数が1校1台配置されていなかったと聞きます。
こちらもおそらく配置されようとして、手配というか準備ができなかったとお聞きしております。ぜひ次には、1校1台でして円滑な採点ができるよう要望いたします。

私自身も、20年前ぐらい高校で採点に当たったことがあり、教員の先輩方からマークシートに変わった頃の話を聞いたりしてきました。
採点方法は大きく進化していると感じる一方で、採点している体制は、そこまで変わっていないようにも感じます。
誤りはあってはならないです。そして、誤りをいかに防ぐかということに、取り組んでいかないといけませんが、その取り組みが、教育現場の負担にならぬよう、持続可能な入試採点の体制をあわせて要望いたします。

4 県立学校における日本語指導について

山下洋輔 議員
最後に、県立学校における日本語指導について、外国人児童生徒等教育相談員の役割について、あらためてお聞かせください。

増田武一郎 学習指導課長
外国人児童生徒等教育相談員とは、日本語指導を必要とする外国人児童生徒および日本国籍の児童生徒の増加に対して、教員等外国人児童生徒等およびその保護者とのコミュニケーションを円滑にするため、県立学校に派遣されている会計年度任用職員です。教育相談員の具体的な業務内容は、派遣校において、教員の補助者として、外国人児童生徒等の生活への適応指導、日本語指導、教育相談、学校等も外国人児童生徒等およびその保護者との連絡、国際理解教育関係の授業、行事等の補助、その他必要な業務に従事をしております。

山下洋輔 議員
この外国人児童生徒等教育相談員の昨年度の派遣実績と今年度の進捗についてお示しください。

増田武一郎 学習指導課長
昨年度の派遣実績は48校に延べ80人を派遣しました。今年度は6月時点で48校に延べ86名の派遣を行ってございます。

山下洋輔 議員
この外国人児童生徒等教育相談員の派遣は、教育現場から必要とされている事業であると考えます。
現時点で去年と同程度、昨年以上の派遣が実施されているということです。
これから、学校から外国人児童生徒等教育相談員の派遣の依頼が出てくることを想定すると、この事業への予算を増やす必要があると私は考えます。

あとは外国人児童生徒等教育相談員の確保についても、県教育委員会として支援していかなければならないと思います。
相談員の確保について、外部団体や関係機関と連携して、千葉県教育委員としても協力していくべきだと考えますが、その点についていかがお考えでしょうか?

増田武一郎 学習指導課長
現在派遣している相談員の言語は、英語、中国語などが主となっておりますけれども、近年は外国人児童生徒等の保護の多様化が進むなどして、母語を理解する相談員の確保が困難な状況です。そのため、県教育委員会として、公益財団法人ちば国際コンベンションビューロー等の関係機関を通じて相談員の人材を紹介したり、近隣校に勤務している相談員の兼務を依頼したりして支援しているところです。

山下洋輔 議員
最後に要望いたします。
外国人の児童生徒にとって、言葉の壁というのはとても大きいものだと思います。
教育委員会から示していただいた、県立高校での日本語指導が必要な生徒の中退率の比較について、令和3年度5月時点での調査内容として、県立高校(定時制を含む)全体の中退率が0.96%のところ、日本語指導が必要な生徒の中退率が6.5%との結果が示されました。
母数が違うなど、単純には比較できないものだと承知しておりますが、それでも明らかに大きな違いがあると考えます。

中退の原因や卒業後の状況について分析などするなどして、よりよい教育環境を考えながら、外国人の日本語指導について考えていただきたいと思います。

今、クルド人同士の刺傷事件をきっかけに100人規模の乱闘騒ぎが発生した埼玉県川口市では、クルド人への過激なヘイト行動が起きています。外国人の人たちが学校在学中や学校卒業後の地域に溶け込み、互いに多様性を認め合えるような社会にするために、学校教育の果たす役割は大きいと考えます。

そのためにも、相談員の確保、そして今年も外国人児童生徒等教育相談員の派遣についての予算を増やしていただきたいと要望して、私の質問を終えさせていただきます。以上です。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)