官製談合・入札不正を防ぐためにー千葉県・県土整備部道路整備課職員の休職処分を受けて

令和6年2月28日、県土整備部 道路整備課の職員が刑法(収賄罪)違反の容疑で逮捕されたとの報告がありました。
道路整備課が所管する公共工事を巡り、便宜を図った見返りとして現金などの賄賂を収受したとして逮捕されたものです。
道路整備課の職員が起訴されたことを受け、令和6年3月27日に休職処分が行われました。
千葉県からは、以下の報告がありました。
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相次ぐ県土整備部職員の逮捕事案につきまして、
県民の皆様の信頼を裏切ることとなり、大変申し訳ございません。

 概 要
道路整備課が所管する公共工事を巡り、便宜を図った見返りとして現金
などの賄賂を収受したとして逮捕されたもの。

今後の対応
2月1日設置の「県土整備部における不適正事案に係る検討会議」に
おいて、有識者の御意見も伺いながら事実の解明を進め、二度とこのような
ことを起こさないよう、関係部局と連携し、再発防止に努めます。

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私の所属する立憲民主党千葉県議会議員会から、熊谷俊人・千葉県知事に対し、「県土整備部職員の不祥事に対する申し入れ」をいたしました。

令和6110日、北千葉道路建設事務所の所長職にある職員が収賄罪で逮捕され、同月31日に起訴されるという事案が発生しました。起訴状によれば、同職員は印西市の建設会社に対し、事務所発注の道路工事の入札情報を漏洩し、その見返りとして現金約20万円を受け取り計40万円相当の接待を受けたとされています。これに対し21日に県は適正事案に係る検討会議を設置しましたが、その調査・検討がなされている最中の228日、新たに県土整備部道路整備課の職員が逮捕されました。逮捕容疑は、同じ建設業者に対し同様に入札情報を漏洩し、その見返りとして現金約100万円を受け取り20万円相当の接待を受けたというものであり、事案の類似性は明らかです。さらに、報道によれば、この2事案に共通して指摘された「接待」は、県庁直近のマンションの一室が高級クラブのように改装され、女性コンパニオンを呼び飲酒を伴う接待であったとのことです。このような大掛かりな設備・体制が用意されていたとすれば、この2事案に限らず、入札情報を引き出すための同種の接待が長期間にわたり常習的に繰り返されていたとの疑念を抱かざるを得ません。

 我が会派は、平成2911月に発生した東葛土木事務所の職員2名による官製談合事件を契機に倫理条例の制定を強く求め、執行部と繰り返し議論し、県はその後私たちの要望を受け入れ職員倫理条例を制定されたものと承知しています。同条例の制定により、職員ひとりひとりが条例の趣旨のもと高い倫理観を持って職務にあたり、県全体で同種の不祥事事案を防止する体制が整ったものと考えていたため、今回の事件への衝撃は大きく、会派として断固たる対応をする必要があると考えています。

 よって、以下のとおり申し入れます。

1.今回の2事案に認められる継続性・計画性を踏まえ、本件に至る経緯や未発覚の過去の同種事案の究明を徹底すること

1.県土整備部を中心とする入札関連業務に携わった全職員に対し、個別調査を行うこと

1.職員倫理条例の運用を厳格化し、罰則の強化を図ること

1.公共工事における入札・契約のあり方を見直し、入札業務を事業担当部局から切り離し、独立性の確保された専門部署において一括して行うこと

以上

2月1日設置の「県土整備部における不適正事案に係る検討会議」において、有識者の御意見も伺いながら事実の解明を進め、二度とこのようなことを起こさないよう、関係部局と連携し、再発防止に努めますと、当局から説明がありました。
2月定例県議会(2月29日冒頭)、熊谷知事より、県職員が28日に逮捕されたことについて触れ、再発防止に取り組む姿勢が示されました。
「先日の職員逮捕に引き続き、きのう再び県土整備部の職員が収賄の疑いで逮捕された。容疑が事実であれば極めて遺憾であり、改めて県民に大変申し訳なく思う。先の職員逮捕を受けて設置した外部有識者の検討会議で再発防止に向け調査・検証を進めている、今回の新たな逮捕事案も含めてしっかりと調査・検証し、このような事態を生じさせないよう対応していく」
ただ、再発防止については、以前も同様の事件があり、再発を防げなかった事実を受け止めなければなりません。
平成29年末に県土整備部の幹部職員が官製談合防止法違反で逮捕・起訴され、県政に対する県民の皆様の信頼を大きく損なう事態においても、千葉県では弁護士等の有識者の意見を伺いながら、実態調査や再発防止策の検討を進め、「千葉県コンプライアンス推進本部」の会議を経て、調査結果やそれを踏まえた今後の取組方針を決定し、全庁的なコンプライアンスの徹底を図り、県政に対する県民の信頼を確保するため、県職員が遵守すべき事項等を示した職員倫理に関する条例及び規則が平成31年4月1日から施行されています。

今後は、様々な観点からの取組を職員一丸となって進めるとともに、職員のコンプライアンス意識の徹底を図り、県政に対する信頼回復に努めるとコメントされていました。

今後の再発防止に向けた取組(概要)
https://www.pref.chiba.lg.jp/gyoukaku/press/2018/documents/bessi2.pdf

本日、私の所属する立憲民主党千葉県議会議員会では、楠茂樹 上智大学法学部教授をお招きし、「官製談合、官製入札不正ーコンプライアンスの視点から」について勉強会を行い、これから議会として、この問題にいかに取り組んでいくかを学び、話し合いました。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)