【千葉県議会】いじめ、不登校に関する文教委員会での議論(2023/12/12)

千葉県議会文教常任委員会が開催され、その冒頭で、当面する諸問題として、いじめ、不登校の状況について、教育長から報告がありました(2023/12/12)。

【千葉県】いじめ、不登校の状況

それを受け、文教常任委員会では、関政幸委員、野田宏規議員、菊岡田鶴子議員が質問に取り上げ、議論されました。

児童生徒の不登校といじめに関する調査によれば、県内の小中学生の登校の主な要因は本人に関わる無気力不安が約6割で最も多く、学校でのいじめの要因はわずか0.2%。しかし、文科省のアンケートでは、小学校5年生と中学校2年生の児童生徒の約25%がいじめが要因と回答しており、学校側と不登校児童生徒側で大きな差がある。この差について県教委がどのように捉えているかについて、関委員から質問。

いじめの重大事態に対し、いじめ防止対策推進法に求められている調査や調査報告書作成が、かなり負担になると推察され、このような乖離が起こったのではないか?
先生方の多忙化や教員の不足の問題といった、環境面も少なからず影響していると考えられ、教職員の方々の働く環境面の改善を要望されました。

千葉県議会不登校児童生徒の教育機会確保•支援推進議員連盟の勉強会で、千葉県教育委員会児童生徒安全課から示された資料(2023/12/05)

野田委員からは、いじめの重大事態が倍増した要因を質問され、当局からは、文科省令和2年の調査結果を非常に重く受け止め、いじめについて、しっかりと認知をするようになったことが結果に繋がってるとの答弁がありました。

菊岡委員からは、不登校児童生徒への学習支援やフリースクールについて質問がありました。学校休み始めたいと感じてから、できるだけ早く、児童生徒の状況を把握し、一人ひとりの状況に応じた支援を行うことについても話し合われました。

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以下、委員会での議論を文字起こししましたので、共有いたします。

関委員 私の方から大きく3点伺いいたしたいと思います。

まず1点目ですが、先ほど不登校の支援の話ありましたけど、不登校の要因と、いじめについてであります。令和4年度児童生徒の問題行動、登校等生徒指導上の諸課題に関する調査、まず冒頭、教育長の方から少しありましたが、県内の小中学生の不登校児童生徒数は、小学生が4600人、中学生7480人の合計1万2080人ぐらい近年増加傾向が続いているという状況であります。

不登校の要因としては、本人に関わる状況の無気力不安、これが7200人、割合にすると59.6%約6割と一番多く、学校に関わる状況のいじめ、につきましては28人割合にしてわずか0.2%とされています。もっともこの数字というのは、先生が要因を選択した調査の結果であります。

その一方でですね、文科省が、令和2年度に、小学校5年生と中学校2年生の不登校児童生徒を対象に実施したアンケート調査では、児童生徒は複数回答できるというふうになっておりますが、小学校5年生710冊、3人のうち、25.2%がいじめを回答し、また中学校2年生1303人のうち、25.5%もいじめと回答しております。

調査方法や対象が異なるにせよ、不登校の要因として、学校の先生側が掲げるいじめの割合がわずか0.2%なのに対し、不登校児童生徒側の約25%、約4分の1がいじめとなっているようで、とても大きな差が生じていると思います。

そこでですね、このような差が生じている要因を県教委としてどのように捉えているのか、まず伺いたいと思います。

井沢児童生徒安全課長 今ご指摘の通りですね、不登校児童生徒の約25%が不登校のきっかけとしていじめを挙げているという調査結果がございます。

いじめ防止対策推進法に定義されたいじめは行為を受けた児童生徒がどのように感じたかということですので、不登校児童生徒の約25%が不登校のきっかけとしていじめを挙げていることは非常に重く受け止める必要があると思っております。

中には児童生徒は抱え込んでしまっていて、これももちろん、とらえなくてはいけないんですけども、わかっていないという場合もあるでしょうし、事例の分析からはサインがあっても、教員が認知できていないという場合もございます。

重大事態は、いじめにより重大な被害が生じた疑いとなっており、疑いだからこそ調査が必要なのであり、これを正確に理解していないと認知の遅れに繋がるのではないか、というふうに思っておりますので、このあたりをしっかりと指導していかなくてはいけないなというふうに考えております。以上でございます。

関委員 ありがとうございます。いろんな要因がある中で、認知できてないものもあるじゃないかという話が出ました。冒頭の教育長のお話だと、5万2720件、令和4年度っていう形でかなり多いんですけど、まだまだ、もしかしたらあるかもしれないということも含めての趣旨だというふうに理解しております。

実はこの点、私の方でいろいろ考えていく中で1点ちょっと懸念していることがありまして、不登校は30日以上の欠席というところからカウントするという形になると思います。一方で、いじめの方は、あの法律上ですね、相当な期間の欠席は30日というふうな形になってますんで、ちょっと細かい話になっちゃうんですけど、結局重大事態としてカウントすることと、不登校、いじめや要因ってのはセットでやらなくちゃいけないという形になってしまう。

つまりそういうことです。横で学校側の方として、重大事態の対処法律に求められている調査や調査報告書作成、こういったものがですね、かなり負担になる部分もあるのじゃないかなというふうに推察されます。このあたり先生側の方で、要因は無気力不安が約6割っていうですね、何とも何かちょっとコメントしにくいような、あの結果があるっていうこと。違いがですね、やっぱり現場とやっぱり実際制度と違うっていうことをですね、改めてですね、我々認識しなくちゃいけないのかなというふうに思っております。

そして重大事態に関してご質問させていただきます。県内のいじめ問題のいじめ自体の重大事態の発生状況を改めてお伺いしますとともに、対応をどのようにされているのか教えてください。

井沢児童生徒安全課長 まず令和4年度の公立学校におけるいじめ重大事態の件数ですが、小学校が24件、中学校が20件、高等学校が19件の合計63件となっております。次に重大事態を認知した場合の対応ですが、学校は直ちにいじめを止めさせ、被害児童生徒の安全を確保するとともに、教育委員会に報告をします。

県教育委員会では、県立学校から報告を受けるとすぐに指導主事、同スクールカウンセラー、スーパーバイザーを当該校に派遣し、事案の詳細を把握しながら、調査を行う組織や調査方法、スケジュール等について、被害児童生徒と保護者の意向を踏まえながら、迅速に調査に着手できるよう指導助言しているところでございます。以上です。

関委員 チーム対応して解消に向けて、いろいろあるということで、これ調査結果報告書というのを作成しなくちゃいけない形になってると思うんですけど、実際これまでどれぐらい作られてきたのかってわかる数字ですけど、ちょっと教えてください。

井沢児童生徒安全課長 報告書の数でございますけども、ちょっと確認をしますのでお時間いただければと思います

関委員 報告書は、今後のいじめ防止対策にも生かすべきものとしても意味があると思いますので、しっかりとですね作成するように指導していただいて、生かしていただきたいと思います。

改めて、今度の公立小中学校や市町村教委への指導助言を重大事態に対してどのようにされているのか教えてください。

井沢課長 県教育委員会では、平成28年度から令和2年度までの5年間に、いじめ重大事態の認知報告がされた事案について個別に分析を行っております。

その中で初期対応に問題があり、当初軽微であった者が重大事態となってしまうことや、いじめ重大対する通しての対応すべきものが組織として共有されず、対応くれてしまうことなど、複数の事案で共通した課題があることを把握しています。

これらに対して対応のポイント等をまとめたパンフレットを作成し、市町村立学校の管理職や生徒主事、生徒指導主事等を対象とした研修会で具体的な事例を示しながら指導助言しているところでございます。以上でございます。

関委員 あの初期対応のポイントというふうにおっしゃいました。確かにそうなんですね、ケースによると、きっと悪化して、結果的に重大事態に行ってしまうケースを含めて、やはりその初期対応すごく大事なんだなと思います。

やっぱり保護者の方と学校との距離とかっていうことによって、子供が学校に行きづらくなるケースというのも聞いております。こういった先ほどの重大な報告書の話ありましたけど、しっかりノウハウ蓄積していただいて、早期解消に向けてですね、生かしていただきたいと思います。

冒頭のあの話になりますけど、約25%がいじめというふうに当てはめてしまうと、不登校、小中学生ですけど、1万2000名のうち約3000人もいるんじゃないかというようなことすら言えてしまうと思うんですけど、ただ大事なのは、やはりその数字がどうかじゃなくて、いかに子供が安心して学校に行けるかっていうそれを解決だと思います。

そういった意味でですね、しっかりやっていただきたいと思いますまとめます。県教育委員会として、いじめの早期発見解消と、重大事態への発展抑止への尽力そして、法に則った重大事態の対処を適切に行う必要があることを改めて整理確認し、いじめ防止対策に進んで取り組んでください。

特にですね、本県のいじめ防止対策推進条例では、県のいじめ防止基本方針について、条例第11条3項で、いじめに関する状況の変化を勘案し、対策に関する評価を踏まえ、方針検討を加えて必要に応じた変更を求めているところであります。

法の施行から現在に至るまでの運用自体状況これを受けて、いじめの重大事態への対応に関する部分、現在の基本方針だと32ページ以下になると思いますけど、検討をですね、ぜひやっていただきたいというふうに思います。

また先の文科省調査ではですね、不登校要因として、教職員との関係を巡る問題を、約3割の子供が挙げています。教職員との関係を巡る問題です。一方で、問題行動調査ではわずか1.1%と、乖離してるんですね。

そもそも問題行動調査では、先生の選択で、不登校要因が無気力不安の回答が6割になってしまうという背景なんですね。先生方の多忙化とか、そういうことありました教員の不足の問題といった、環境面というのもやっぱ少なからず影響しているんじゃないかと思います。

その意味でもですね、教職員の方々の働く環境面、改善も図っていただきたいと要望いたします。

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野田委員 はい。よろしくお願いいたします。私からは大きく3点の項目について伺いたいと思います。一点目が、教育長の方から冒頭ありましたいじめの重大事態について伺いたいと思います。

5万2000720件中63件が重大事態ということで、あの数が5万分中の60なので、統計的にどうだ、有意なのかって話もあるとは思うんですけれども、いずれにしても、2倍以上というのは大きなつまり前年度の33件に比べて2倍以上というのは、とてもびっくりじゃなくて30件に対して2倍以上というのはびっくりだなというふうに思っております。

そこでこちらについて3点ございます。1点目としては率直にこれ理由は何だというふうに、教育委員会としては持ってらっしゃるのか。2点目として、重大事態の認知漏れがないか点検を行うよう行うよう繰り返し周知しているということは存じ上げてはいるんですけども、前からやってたのかなと思うんですけども、いつ頃からやってらっしゃったのか、今年特に去年当該年度特に力を得たのか、その辺を聞きたい。

2点目です。3点目、他県の状況と比べてどうなのか、どこの県でも今年は多かったという話なのか、内訳が多いのか、わかれば聞きたいと、この3点をよろしくお願いいたします。

井沢児童児童生徒安全課長 まず倍増倍以上に増えてる理由でございますけども、この部分に関しては、先ほど関委員のお話もございましたけどもしっかりと認知をするようにということを周知していくというのがですね、やっぱりこの結果に繋がってるのではないかとそこが一番大きな要因だというふうに捉えております。

あと、いつから留意するようにということを言ってるかということなんですけども、こちらに関しましてはですね、やっぱりちょっと曖昧な言い方ですけど、やっぱここ数年ですね文科省の令和2年の調査結果出まして、これを我々も非常に重く受け止めておりましてやっぱり結果を見ながらですね、集中して行っているというところが事実でございます。

他県の状況はどうかということなんですけども、本件のように倍増したというところは非常に少ないと思います。これは先ほど申し上げた通りですね、やはり本県の方が重大事態ではしっかり認知するようにということで、その周知の方取り組みを始めたのが、やっぱりあの全体から見ると早いのかなというふうには捉えております。以上でございます。

野田委員 はいわかりました。私も正直申し上げて重大事態の件数が増えたこと自体の主要因は認知が進んでいたことなのかなと思っておりますけれども、そうではないことも大いに容易に想定もできますので、十分に配慮いただきたいというふうに思います。

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菊岡委員 はい、よろしくお願いします。不登校のことについてまず初めにお聞きしたいと思います。令和2年度文科省による不登校児童生徒の実態調査で、小学校6年生と中学2年生を対象に行ったアンケート結果によると、最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけは、先生のことっていうおっしゃっているお子さんが、小学生が30%中学生が28%生活のリズムの乱れというのが小学校26%、中学校も26%友達のことを言っているのが小学校が25%、中学校26%などと特定のきっかけに偏っていない結果ではありますが、この三つのそれぞれの対応をどんなことをされているのかまずお聞かせください。

井沢児童生徒安全課長 はい。対応でございますけども、必然の場合もですね、まずは児童生徒の様子にですね変化があった場合には、そこを個別面談ですとかスクールカウンセラーによる教育相談等でじっくりと聞き取って、その内容に基づいてですね対応していくということになりますけども、特にですね、一つの要因その子にとって一つだけじゃなくて複合的ということが非常に多くございますので、まず状況聞き取りながら、支援の体制を整えていくというところが、取りかかりということになってございます。以上でございます。

菊岡委員 はい。また最初のきっかけとは別に、学校に行きづらくなる理由については、勉強がわからないという子供が小学校で31%、中学生42%との高い割合でした。やっぱり勉強がわからないと勉強することが楽しいと思えないというのは推察するところなので、こういう子供たちに対して学習支援をどのように行っているのかお聞かせください。

井沢児童生徒安全課長 不登校児童生徒への学習支援でございますけども、ちょっと先ほど申し上げた教室からの事業のライブ配信などを行うでもございますが、これに参加できない場合などは、市町村の教育支援センターにおいて個々の状況に応じた学習指導を行ってあげるとか、あとは訪問相談担当教員等がですね家庭訪問をして、教材を届け、学習指導するというようなことを取り組んでるとこでございます。

菊岡委員 はい、また学校休みたいと感じ始めてから実際に休む休み始めるまでの期間の6割程度が1ヶ月から半年程度で休み始めている。ということなので、本当に初期の対応が何よりも大切で、早くに学校の先生始め、家庭でも気づいてあげることが重要なことだと思います。そこで、早期に児童生徒の変化に気がつく学校の体制は必要だと考えてますがどのように行っているでしょうか?

井沢児童生徒安全課長 はい。委員ご指摘の通りですね、学校休み始めたいと感じてから実際に明日までの間、この間にできるだけ早くですね、児童生徒の方、状況を把握し、1人1人の状況に応じた支援を行うことは大変重要だと考えております。

県ではですね、千葉県版不登校児童生徒の支援資料集に示したチェックシートを活用して、またですね、定期的な個人面談ですとかスクールカウンセラーに相談等を実施して状況の方を把握し、必要な支援を行ってるところでございます。

また県立学校、県立高等学校においてはですね、ウェブ上でのストレスチェックも実施しておりまして、引き続き児童生徒の変化を早期に把握できる体制作りを推進してまいりたいと考えております。以上でございます。

菊岡委員 はい。子供たちにとって、大人が正面に向き合って話を聞いてくれること、それが自分は大切にされている感がとても伝わるのでしっかりと1人1人のお子さんの絵を見て話していただきたいと思います。

また不登校になっているけれども、学校に戻りたいと思っているお子さんがいると思うんですね。だけれどもその休んでる間に、勉強がより一層進んでわからなくなってしまってる。だから行けないってお子さんもいると思うのでその戻り戻るためには、個別に勉強を教えてもらって、遅れを取り戻すというところにもサポートが必要だと思う、思います。子供たちの中でも個別に勉強を教え、教えてもらえることが学校に戻りやすくなるっておっしゃっているお子さんが小学生が11%、中学生13%と一定の割合を占めているということなので、この学習支援の重要性がとても大事だと思います。不登校になる前の勉強がわからない子もそうですけれども、登校になっているというその今の子供たちにも、適正な指導をしていただきたいと思います。

学校に行くところだけが全てじゃなく、あのフリースクール等で学習するという形も大切だと思うんですが、フリースクールの中には、やはりいろいろな必要があるように感じられるんですね。子供のために適正に指導をして学校に戻るためとか、また居場所を作るためとか、しているところがあれば、またそうではないところもあるように感じられるんです。やはりそこに予算がつくので、そういうところをきちっと見極めて学校と繋がって、しっかり教育できる環境っていうのが必要だと思うんですけれども、そういうフリースクールの質というものも、どのように調べたり担保しているのかお聞かせください。

井沢児童生徒安全課長 フリースクールでございますけども、県の方でですねフリースクールを紹介するようなパンフレットの方も作成しておりまして、教育事務所等を通じて実際に訪問して状況を確認しているところでございます。

フリースクールも様々ございますけども、不登校の段階に応じて、まずは家から出るときに必要なフリースクールであったりですとか、あとは学習支援が必要になってきてまた変わってくるということもございますので、様々なリスクをですね、個々の状況に応じてまたご紹介していくということも重要なのかなというふうに考えております。以上でございます。

菊岡委員 はい。子供の居場所の受け皿としてとても大事なものであるとは承知しているのでしっかりそこのところを見極めて繋げていってほしいと思います。今学校現場は教員不足で、1人1人に寄り添う時間の確保、先生方も困難であると思います。でもその中でも先生方の努力には感謝します。人は誰でも成功体験や周囲からの良い評価で自信をつけていくので、自信がつけば次のステップに挑戦する勇気をもらえますので、学校が全ての子供の本来持つ姿を発見して、長所を見つけ出して、よりよい成長に結びつけられる場でありますよう要望いたしますよろしくお願いいたします。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)