台北にて、直接民主制の世界的な動きを感じてきました

もう1ヶ月以上前になりましたが、台北で開催された直接民主制に関する政治フォーラムに参加しました。柏市でも、たとえば予算の1%(約10億円)を、市民が直接決められることができる仕組みを実現できるよう働きかけていきたいです。
そして、こどもの声が生かされる仕組みや市民による条例制定の仕組みを整えていくことも考えています。

格差や分断された社会、多数決の横暴や議会の限界、低い投票率と市民の無関心、不透明な政治など、「民主主義」の危機が叫ばれています。

「民主主義」の危機といっても、議会制民主制や代表民主制といった間接民主制を指していることが多いものです。

「自分たちの暮らしを支えていくためのインフラやセーフティネットをいかに運営していくか?」
市民はそれぞれ仕事や生活があるため、すべての人が話し合いに加わることはできません。
そこで議員を選挙で選び、その人に任せ、自分たちの声を代弁してもらう。
決まったことにもとづき、税金を出し合って、行政に仕事をしてもらう。

しかし、自分が選んだ議員でも、100%同じ考えではなく、その議員も状況により政治姿勢は変化します。
政治家への不信や決められない政治への失望につながっています。

一方で、テクノロジーが進化した今、みんなで話し合うことも、議案ごとに賛否を取ることも、住民による条例提案も、物理的には不可能ではなくなりました。

議員定数や議員報酬の削減といった提案と同時に、市民一人ひとりで政治を決められる仕組みも作っていく必要があります。

改めて、直接民主制を目指すことも考える時期なのではないでしょうか。

直接民主制では、市民の無関心と一部の要望ばかりの政治になるのではないかという不安もあるかもしれません。
しかし、現状の議会制民主制でも、市民の無関心と一部の要望ばかりの政治です。

直接民主制によって、市民が自分たちで決められる実感と責任を持ち、政治への関心と参加につなげていくことは、社会全体にとって意義があると考えます。

いきなり直接民主制に100%移行はハードルが高いかもしれませんが、部分的に進めている事例は世界中にあります。

市民参加型予算は、ポルト・アレグレはじめブエノスアイレスなど南米の諸都市、マドリードやセビリア、台北や台中、ソウルや安養市など、他にも数えきれない様々な先行事例があります。
このフォーラムでは、そんな実践者たちのお話をお聞きすることもできました。

ディサイド•マドリード(Decide Madrid)の仕組みは、あらためて紹介していく予定です。

マドリードでは、約1億ユーロが、市民参加型で決められています。

ちなみに、柏市の一般会計予算(約1200億円)の約1割(約120億円)を、市民参加型で予算を決めていく仕組みを作ることも、荒唐無稽ではないと考えます。

柏市の経常収支比率※(平成30年度)は、90.8%でした。かなり省略してお伝えすると、予算の中で約9割は人件費や借金返済のために使い道が決まっている固定費で、約1割が柏市の自由に使えるお金です。

その自由に使える分の予算を、市民で話し合うのです。おそらくその予算では足りないでしょう。不必要なものを削ったり、調整したりする話し合いをしながら、自分たちのまちに関わっていくことこそが、社会参加であり、民主的な社会だと思います。

市民参加型予算だけでなく、住民の1%(柏市の場合約4300名、有権者の1%の場合は3500名)の署名で住民発議の住民投票ができ、条例を作ることができる自治体の事例も多く、珍しいことではありません。

イタリアでは、国会議員の削減が実現しています。

自分自身が議員だからと、保身のための発言をすることなく、世界情勢や現状を研究し、社会全体のためになるために行動していきます。

※今回の台湾訪問は、議会閉会後で、私費での活動です。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)