【千葉県議会】高齢者にやさしいまちに~ ひとり暮らしでも安心な高齢者終身サポート事業を千葉県議会で質問

身寄りのない高齢者が、2050年には448万人となる見込みであることが、日本総合研究所の試算が示されれました。高齢者の9人に1人の割合です。
老後の施設入居や入院の身元保証人や遺体の引き取り手ないない人が増えることが予想されます。
身寄りのない高齢者を支援する民間サービスの利用が広がってきている一方で、トラブルも増えてきていました。
そこで、政府は、今年6月にガイドラインを作成し、一部の自治体では優良事業者の認証制度なども始まり、制度が整いつつあり、今後、ますます必要な事業となると考え、千葉県議会で質問いたしました。

 

【1.孤独・孤立対策について】
まず、孤独・孤立対策についてです。
団塊ジュニア世代が75歳以上になる2050年には、1人で暮らす高齢者の割合が急増し、46都道府県で75歳以上人口に占める一人暮らしの割合が2割を超えることが、今月12日に公表された国立社会保障•人口問題研究所の世帯数の将来推計により示されました。千葉県は、2050年には全世帯に占める75歳以上の世帯は27.7%、75歳以上人口に占める一人暮らしは29.0%と推計されています。
在宅医療や介護の体制拡充など、高齢者の生活を支える仕組みづくりは急務です。
ただ、介護や医療だけでなく、意思決定の支援や、貧困対策、防犯といった問題について、地域での取り組みが必要になると考えられます。
たとえば、身寄りのない高齢者や頼れる身内のいない方を対象に、入院や老人施設入所時、身元保証や日常生活支援、賃貸住宅契約や医療同意、亡くなった後の死後事務などを支援する身元保証等高齢者サポート事業を提供する民間の取り組みの需要も増えてきています。
家族ありきの社会システムは限界を迎えていると言っても過言ではありません。

そこで、お伺いします。
身寄りのない高齢者など、単身世帯が増えていく中、県として孤独・孤立対策にどのように取り組んでいくのか。

答弁

–岡田慎太郎 健康福祉部長
初めに、孤独孤立対策についてのご質問にお答えします本年4月に施行された孤立対策推進法では、孤独孤立の状態は誰にでも起こりうることであり、その要因は多種多様であることから、社会のあらゆる分野において、孤独孤立対策の推進を図っていくことが重要としています。

県ではこれまで、市町村や民間団体等と連携しながら、単身の高齢者を声掛け見守りなどにより、地域で支え合う仕組み作りに取り組むとともに、中核地域生活支援センターなどにおいて、制度の枠を超えた包括的な相談支援や社会参加に向けた支援に取り組んできたところです。
今後はこうした関係機関との連携を拡大強化してネットワークを構築しながら、孤独孤立対策を推進していくための効果的な方策についても検討してまいります。

次に、児童相談所の人材確保に関するご質問ですが、県では、児童虐待の増加に適切に対応するため、児童相談所の体制強化に努めており、本年4月時点の県内6児童相談所の職員数は、前年同月と比較して、36名増の686名となっています。
このうち専門職については、全ての児童相談所で国が定める配置基準を満たしていますが、採用人数が予定数に満たないなど厳しい状況にあることから、採用活動を強化していく必要があると認識しています。
そのため、児童相談所で働く魅力がより一層伝わるよう、本年度は新たな取り組みとして、施設の紹介や若手職員と意見交換を行う、職場見学バスツアーを実施する他、若者に訴求力のある動画のSNSへのでの発信などを行うこととしており、今後も必要な職員の確保に向け、効果的な取り組みを積極的に実施してまいります。
以上でございます。

要望

山下洋輔
まず、孤独・孤立対策についてです。
孤独・孤立対策について、特殊詐欺やロマンス詐欺などの犯罪は、人間関係の希薄さに付け込んだもので、社会の孤独・孤立が表面化した問題と言えます。
家族がいない、孤独であるのは、自己責任ではありません。就職氷河期、長時間労働やパワハラ、虐待など、社会の課題とも密接に関わっています。家族がいなくても、その人らしく生きられる仕組みづくりが必要です。

今回、ご紹介しました高齢者等終身サポート事業者の質も様々で、契約事項や預託金の管理などについてトラブルも懸念されています。
今年6月に、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインが示されたことは大きな一歩ではありますが、所管する部署も法律や罰則もなく、自治体が事業者を把握する仕組みもありません。例えば優良事業者の認証制度を設けるなど、実効性を担保する仕組みづくりの検討を要望いたします。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)