鴨川市のメガソーラー問題、千葉県議会で網中肇議員が問いただす。

大規模な自然破壊が懸念される鴨川市メガソーラー計画に対して、千葉県が法令厳格化・行政指導・鴨川市との連携をどう行うのか?
千葉県議会にて、網中肇議員が問いただしました。

  • 鴨川市メガソーラー計画の規模・問題点
    約146ha、47万枚のパネル、37万本の樹木伐採、盛土切土計1,300万㎥など非常に大規模で、自然破壊・環境破壊・土砂災害・水害・海洋資源への影響・埋蔵文化財などが懸念されている。
    事業者は協定不履行で調停中、住民説明も不十分との批判がある。規制強化前に申請した「駆け込み」案件との指摘もある。

  • 千葉県議会での質問の趣旨

    1. メガソーラー設置など大型開発の適正化に向け、盛り土規制法・森林法など各種法令の厳格化の現状はどうか。

    2. 鴨川市メガソーラー計画について、林地開発許可後に県が行った行政指導の件数・内容と、事業者の対応状況はどうか。

    3. 今後、県として鴨川市とどのように連携していくのか。

以下、議会質問-答弁を文字起こし致しましたので、紹介いたします。

質問(第1回目)網中肇 議員

次に鴨川市のメガソーラーについてお伺いをいたします。

この件については各種問題点等が既に報道等でも明らかになったています。まずその面積ですが、約146ヘクタール最も長い部分で縦縦に約3キロ横に1キロ弱におよびます。

千葉駅から県庁までの直線距離が1.2キロですので、縦方向では千葉駅から県庁までの約2.5倍、横方向で千葉駅から県庁までに少し足りない程度となり、ます大変大きな規模のものとなります。そしてその中で、およそ37万本の樹木を伐採し、60mの尾根を削り、80mの谷を埋め、その切土と盛り土の量は1300万立方メートル、10tダンプで200万台分にも相当し、それらを一定程度平たんに造成し、ソーラーパネル47万枚を敷設するとのことです。
4年前に熱海で土砂災害が発生しましたが、移動する土の量は、熱海の236倍に相当するとのことです。こうしたことから大規模な自然破壊、環境破壊、土砂災害、水害、生態系や水産物を含む海洋資源への悪影響、埋蔵文化財への懸念等について大きな問題となっています。

また事業者が鴨川市と締結した協定書履行を遵守しないことから、鴨川市が事業者に対し調停を申し立てている状況となっています。そして住民からも、事業者による説明が不十分であるとして批判の声が上がっています。国においてもメガソーラーや大規模な盛り土等に対する規制が強化されていますが、このメガソーラーは規制強化前の緩い基準が適用されるよう、駆け込みでの申請等がなされている状況とのことです。
そこでお伺いします。

メガソーラー設置などの大型開発の適正化を図るため、盛り土規制法や森林法などの各種法令の厳格化の状況はどうか。

鴨川市のメガソーラー計画について土砂災害や環境面を考慮し、林地開発許可後に、これまでどのような行政指導を何件行い、それに対する事業者の対応はどうだったのか。そして鴨川市とはどのように連携を図っていくのか。

 

答弁 高橋輝子 農林水産部長

私からはメガソーラーに関する質問についてお答えします。まず、各種法令の厳格化の状況についてのご質問ですが、
国においては令和3年7月に静岡県熱海市で大雨に伴って盛り土が崩落し、大規模な土石流災害が発生したことなどを踏まえ、宅地造成等規制法を抜本的に改正し、盛り土等を行う土地の用途やその目的に関わらず、危険な盛り土等を全国一律の基準で包括的に規制する宅地造成および特定盛り土等規制法が令和5年5月に施行されました。

また、太陽光発電設備に係る森林法に基づく林地開発許可については、小規模な林地開発地での土石流種等が多発したことから、令和5年4月に許可対象面積がこれまでの1ヘクタールから0.5ヘクタールを超えるときに引き下げられました。

さらに、太陽光発電設備は、雨水が地中へ浸透しづらいため、林地開発行為の許可にあたり必要となる調整権の容量の基準を大きくし、より安全性を高めるなど、令和3年4月以降数回にわたって審査基準を改正しています。

次に、鴨川市のメガソーラー計画への指導状況についてのご質問ですが、
本計画については、地域住民から土砂災害などを懸念する声があることから、本件許可後に改正した審査基準にも適合する計画とするよう、これまでに事業者と県とで30回以上の打ち合わせを重ねているところです。

これを受けて現在事業者において、事業計画の見直し作業が進められている他、事業者からは、水質検査の実施や、具体的な作業手順を示した施工計画書や定期的な進捗状況の提出がなされています。地元である鴨川市に対しては、
情報共有を図るため、事業者と県との打ち合わせに参加を依頼しており、引き続き、県と市で連携して開発行為が適正に行われるよう取り組んでまいります。

以上でございます。

質問(第2回目)網中肇 議員

メガソーラーの件です。

国においては全国各地で発生した土砂災害等を踏まえ、盛り土規制法、林地開発等の規制強化が行われているとのことでした。鴨川市のメガソーラーはこれらの規制強化の直前で駆け込み申請されているものもあり、強化された規制の適用免れている状況で、新基準が適用されないことによる災害の発生環境の破壊等が大変強く懸念をされます。

そこで先ほどの質問では、県が事業者に対しどのような行政指導をどの程度実施しているのか伺ったところでございますが、ご答弁はございませんでした。

営業事業者との打ち合わせ回数の答弁がありましたが、これはもう質問していない事項になりますので、執行部が私が質問していない事項について、執行部が答弁をするという、議会を丁寧に、議会を尊重していただいて、丁寧なご対応をしていただきたいと存じます。そのことについては少し残念な気持ちにはなります。

ただ、答弁者に答弁漏れになりますので再度同じ質問をさせていただきます。

鴨川市のメガソーラー計画について、土砂災害や環境面を考慮し、林地開発許可後に、これまでどのような行政指導を何件行い、

それに対する事業者の対応はどうだったのか。

以上で2回目の質問とします。

答弁 高橋輝子 農林水産部長

鴨川市のメガソーラー計画についての林地開発に関する行政指導の件数と事業者の対応についてのご質問でございますが、

事業者と県との間で34回の打ち合わせの中で、調整意見を初めとする計画の見直しや、具体的な施工手順の提出など42件の指導を行うとともに、現地において仮設防災施設の設置や現地の杭の設置状況の確認などの16件の指導を行ってます。

これを受けて現在事業者において、事業計画の見直し作業が進められている他、土砂流出防止柵の設置や現地ぐいの復元などが行われているところでございます。

以上でございます。

要望(第3回目)網中肇 議員

まず冒頭申し上げておきますが1回目と先ほど2回目は多少同じ質問しておりますが、執行部において1回目の質問では聞かれない、できないことを答弁し、
2回目の質問に立って答弁するということは本来あってはいけないことでありまして、こうした執行部の対応、対応大変残念であります。今後こうしたことがないよう強く対応を求めます。

メガソーラーの件ですが事業者への行政主導の回数は打ち合わせで42件、現地で16件合計で58件とのことでした。これは紙資料補正等に対する助言など、一般的なちょっと語弊を恐れず言えば、軽度な指導は除いた数字であり、
林地開発にあたっては相当程度重要な指導が58件であるというふうに理解をしております。先ほど資料いただきましたので内容を見ますと、58件の行政指導のうち口頭での指導が52件文書指導が6件となっております。

臨時開発上重要な指導であるにも関わらず、口頭での指導が9割となってます。
県民の生命財産に関わる重要な指導は文書での指導で行うよう要望いたします。

大変恐縮ですがこれまでの経緯を話しますと、この間担当方の打ち合わせでは、
事業者への行政指導について口頭での行政指導も多く、件数が多すぎて数えられない。何回ですかわからないというと発言ありました。その後、関係資料を精査して行政指導の件数を数えて集計していただいて、この議場で発表していただいたこと、またお忙しい中ではに対応していただいたことは率直に感謝申し上げます。

しかし、こうした経緯を踏まえますと、私が資料の提供を要望するまでは、県として当該事業者に対する行政指導の件数を把握しておらず、当然その内容、業者側の対応状況、進捗状況も把握できていない状況であったことが強く推認をされます。

県におかれましては、行政指導の発出に当たっては、口頭文書に関わらず、発出した日時内容等を詳細に文書に残し、相手側の対応状況等も正確に把握し、行政指導による改善の状況を常にわかるようにしておくことを強く要望いたします。

そして行政指導に従わない場合は、今後どのような対応をとるべきなのか、そこに至った判断等も文書で残しておくことを強く要望いたします。

この林地開発に係る件の不適切な行政指導の対応としてにわかに思いついたのが平成30年11月6日市原市で通称うぐいすラインで起きた太陽光発電施設等の設置に係る林地開発許可地から大量の再制度が流出した災害です。

流出した際制度の量はうぐいすラインに沿って幅61m、奥行き47m高さは5mにも及ぶ大規模なものでした。当該の林地開発の申請は平成28年8月になされ、県は同年12月に許可をいたしました。平成29年6月に、県が調節池等の防災施設の確認を行ったところ、施工計画書に反して調節池が設置されていないことが判明したため、調節池をそう、早急に設置することを事業者に対し口頭で指摘をしました。当時ですね。林地開発とりわけこの盛り土において調節池の設置というのは極めて重要でありまして、これが施工計画書に反して設置されていないにも関わらず、口頭での指導にとどめました。それのみならず、こうした災害防止のために極めて重要な指摘をしておきながら、担当課においては出水期の防災パトロールをせず、土砂崩れが発生するまで1回も現地の調査をしていなかったこと、つまり口頭での行政指導をしておきながら1年以上放置していたことが、この私の調査で明らかになりましたこうした前歴を有する担当課でございます。

今回の臨時開発に対しては厳しい態度で臨むことを要望いたします。

メガソーラーを巡っては全国各地で特に最近では、釧路市、北海道鶴居村、仙台市奈良県五條市などにおいて土砂災害リスク、環境破壊、生態系への悪影響、景観の著しい悪化など、地域とのトラブルとなっています。読売新聞産経新聞等によれば、釧路市では当該工事の一部を中止を勧告。その結果、一昨日の17日に工事の中断が事業者から発表され、仙台市では知事と市長が反対する考えを示し五條市では知事が断念する表明しているとのことです。

改正盛り土法と併せて改正された盛り土等防災マニュアルでは、渓流等における盛り土は慎重な計画が必要であり、極力避ける必要があるとされていますが、今回の鴨川メガソーラーには適用されないこととなります土砂災害等が大変強く懸念をされます。

省エネの導入を進める上で、再エネの導入を進める上で地域との共存は非常に重要な課題です。単に発電施設を建設するだけでなく、地域社会の持続可能性を高める取り組みが必要です。具体的には、地域経済への活性化、災害に強い地域作り、環境への配慮、住民とのコミュニケーション地域課題への貢献等等が求められております。担当課においてはこうした点にも十分に着目をして、法の定める技術基準を守って、地域が壊れるといった本末転倒な状況にならないよう、大局的な観点からの対応を要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。

ご清聴どうもありがとうございました。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)