土曜は、早稲田大学直心影剣道會創立50周年記念式典に参列するため、山岡鉄舟居ゆかりの全生庵を訪れた。
私が早稲田大学直心影流剣道会に入会したのは、会としての稽古が行われていない時期だった。
宮坂先輩のお誘いで、私も入会させて頂き、「六地下梁山泊」(6号館地下の部室)に足を踏み入れた日のことを覚えている。当時、現役生は数名しかおらず、個々に稽古に励んでいた。
宮坂先輩と私は、高歩院の鉄舟会で、大森曹玄先生の教えを受け継ぐ市川孟先生からご指導を頂いた。稽古中や着替えている間、市川先生が発せられた一言一言が、人生の財産となっている。
剣道を通して、人間としてのあり方、自己と世界への認識を学んだ。「論語」のお話もお聞きし、政治についても教えて頂いた。
直心影流は、君子の剣と呼ばれることもあり、男谷信友、島田虎之助、榊原鍵吉などの剣士も有名。勝海舟は、自伝である『氷川清話』で、自分を鍛えたのは禅と直心影流剣道だけっだたと語っている。
この五十周年のご連絡を頂き、この夏に宮坂先輩とお会いし、市川先生の教えを噛み締めながら、飲んだ。
市川先生のような生き方を、自分は生きられるだろうか?
もっと、真剣に稽古に励むべきだったと反省するばかりである。
恥ずかしいことに、ここ数年、まったく稽古ができていない。
ただ、剣を握っている時だけが稽古ではなく、日々の生活も真剣勝負と教わった。心身にこびりついた癖や自我を捨てていくことも稽古。「赤子の心」に戻ることが目指されているので、子育てをしながら、子どもからも学ぶ。
姿勢、呼吸、歩き方、人とのコミュニケーションなど、生活すべてが稽古でもある。
そして、生活すべてを生かすためにも禅や剣道の稽古に励みたいと思う。