私たちの飲む水は、どこから、どうやって来るのか?

当たり前のように水道をひねれば出てくる水ですが、どのようにして私たちのもとにやってくるのでしょうか?

柏中央地域ふるさと協議会環境部長として、企画し、視察してまいりました。

柏市の水道水は、約8割が江戸川からの水で、約2割が地下水です。

約8割の水は、北千葉広域水道企業団が、利根川水系江戸川から水を取り、流山の浄水場を経て、柏市に送水され、5つの給水区域ごとに管理され、そこで地下水と混ざり、各家庭に送られます。

北千葉広域水道企業団とは、千葉県、柏市、松戸市、野田市、流山市、我孫子市ら習志野市、八千代市で構成される、地方公営企業の経営事務を共同処理する一部事務組合です。
水道の製造卸の役割を担っています。

昭和50年は、柏市の地下水の割合は100%でした。
地盤沈下や水質悪化により、地下水から河川の水を確保しようと努力してきた歴史があります。

オゾン処理と生物活性炭処理を組み合わせた高度浄水施設が、平成26年に稼働し、これまで以上に安全で美味しい水を供給できるようになったという説明もありました。

いくつか気づいた点をあげておきます。

◆節水
一人ひとりの節水は、ダム一つに相当すると言われています。
限られた水資源を効率的な利用することが求められます。

◆防災
災害に備えて、配水管や水源地の耐震化や応急給水所や配給車の設置などが進められています。
しかし、各家庭での備蓄が大切です。
1人1日3リットル×3日以上の備蓄を呼びかけています。我が家でも備えるようにしています。

◆テロの脅威
北千葉広域水道企業団の水を約120万人が利用しています。
万一、毒物が投げ込まれたりした場合、120万人の生活が成り立たなくなります。

万全の警備体制がしかれ、今でも新しいテロに備えた工事が行われていました。

◆水利権
水利権のことも考えさせられました。
私たちの生活に必要な水の量とダム建設の必要性についても考えさせられました。

日本の中近世の歴史を振り返れば、今、水によって戦争が起きても不思議ではありません。
戦争といっても、武力によるものに限らず、水源を支配されてしまわないよう、過疎や山林の管理、地方自治にしっかりと向き合うべきです。
たとえば山間部など候補者が不足している地方議会に、水道事業者の関係者や水利権狙いの人が、参入してくることも恐れています。

また民営化と外資系企業の参入の問題も深刻です。

◆水循環
開発や地球規模の気候変動などにより、これまで当たり前のようにあった豊かな水循環が危機にさらされています。
柏市だけでなく、北千葉広域水道企業団に加盟する自治体や利根川流域全体の自治体で、森林や間伐、生物多様性などについて考えた都市計画を定め、行動を起こしていかなければという危機を抱いています。

◆再生可能エネルギー
水道インフラを活用して、水力発電はできないかどうか?
そんなことも考えました。

◆施設の老朽化と維持管理
道路と違って目に見えませんが、老朽化した配水管や水道施設の改修は大きな課題です。
新技術など活用しながら、効率的な維持管理や補修が求められます。

◆水道の役割
あらためて、当たり前のように利用している水道は、柏市という一つの市の枠を越えた大規模な事業であるということです。

お金の面だけでなく、豊かな自然の恩恵も受けて、成り立っているものです。

「水」について、これからも真剣に考えていきたいと思います。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)