議員になる以前から、知や記憶を未来に伝える仕組みづくりに関心を持ち、資料を集めていました。網野善彦氏の『古文書返却の旅』のような大学での日本史研究、大正時代からの授業記録を用いた教育学研究や自分史研究に取り組んできた経験や、梅棹忠夫氏の考えを知り、市民が企画運営し、知的資産経営や知恵の集まる仕組みとしての博物館の構想などに関心を持ち続けていました。
この議会で、行政資料アーカイブについて提案しました。
将来の政策決定に役立てられるよう、過去の政策決定過程を詳細に分析するために、公文書が整理・保存された行政資料アーカイブは重要な役割を果たします。
公文書管理法では、様々な法律や政策がどのように立案され、具体化に至ったかを後世の人が分かるような形で記録に残さなければならないとしています。
たとえば、そごうが柏に出店したときに、柏市はどのような関わり方をしたのか?
駅前再開発では、どのような話し合いが行われてきたのか?
柏市は、戦後、目覚ましい発展を遂げました。柏市の歴史において、戦後の発展に関する資料は重要なものです。しかし、戦後の資料は、古文書と比べ、軽視されがちなうえ、戦中から戦後の物不足の時代につくられた紙が使われている場合は劣化が著しいと指摘されます。
市民に広く開かれた市政運営を推進するため、アーキビストという専門職を配置し、毎年発生する膨大な公文書や行政刊行物の中から、歴史資料として重要なものを収集・整理・保存し、地域の歴史や文化への理解を深めていくために、公文書館を設置して、活用している自治体もあります。
一方で、自治体史の刊行が終わると、編纂室が廃止され、収集された史料が散逸してしまう事例もあります。
文書資料の整理保存には学芸員や司書の専門性とは異なる専門性や資質が要求され、業務上後回しにされ、文字通り「お蔵入り」の扱いを受けてしまう危惧があります。
柏市情報公開条例の一部を改正する条例の制定についての議案が提出されていますが、柏市の公文書の保存方針を議会で確認しました。
公文書を保存する基準や公開する基準などについて、議論が停滞し、十分に練られたものとは言えません。行政資料についての行政資料室、市史編纂室、図書館の役割も、柏市では相互に機能していないのが現状です。
整理・保存だけでなく、活用しなければ、資料の価値がありません。柏市の行政資料を活用していくためにも、アーキビストといった専門職の配置も求めました。