教育のまちに-ミネルバ大学が示す学びと都市環境

▼ミネルバ大学をご存知だろうか。授業はオンラインで、校舎がない。
まち全体がキャンパス。世界の7都市を巡りながら、企業や行政と連携し、社会課題を解決する中で学ぶ。
合格率は1.9%。2014年設立され、今や、世界の名門校を辞して、学生が集まる。
 
▼ミネルバ大学が学びの場に選ぶ都市は、図書館や研究施設が充実し、官民学の連携がしっかりしている。
地域が教育を支え、教育が地域を支える好循環が生まれている。
 
▼学校のあり方が問い直されている。
同年齢で集まり、同じ内容を、同じ時に、同じ方法で学ぶスタイルから、一人ひとりにあった学びに変わりつつある。
柏市でも、小中学校の中にカフェや医療健康施設、生活に必要な商店や公的機関を集めてまちを作り、地域に開放し、子どもたちは学校の外で積極的に学び、社会に一石を投じていく教育モデルを提言したい。
 
▼これからの都市には、卒業してからも学び続けられる環境が求められている。
 
▼近年、郊外都市の駅前から百貨店が次々と撤退。一方で、駅前の緑の広場や文化施設が注目されている。
たとえば、柏駅前そごう跡地に図書館や博物館など文化の拠点を設け、柏の葉では研究成果を地域に還元し、新しい都市像を、柏から世界に示す時ではないだろうか。
 
▼文化・教育が、まちに賑わいを生み、新たな産業を興す。そんな「教育のまち」を実現させたい。
 
▼私は、高校教諭を辞し、理想の学校を建てたいと思いながら、従来と同様の仕組みでは限界を痛感し、これからの公教育を建て直すため地方議員に。そして、現実社会を教科書に、まちなかを教室に学びを深めていく柏まちなかカレッジに取り組み10年。
ミネルバ大学の事例は、私の活動にとって、大きな後押しになっている。
 
写真は、山本秀樹著『最難関校ミネルバ大学式思考習慣』日本能率協会マネジメントセンター (2019/6/22)、『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』ダイヤモンド社 (2018/7/12)

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)