まちの魅力は、そこに集まる人々が育ててきたコミュニティや文化だ。そう感じるようになってきた。
まちに人が集まり、情報が集まり、混じり合い、新しい価値が生まれる。
インターネットで情報や商品が得られたとしても、まちでしか得られないものがあると信じている。
長い年月をかけて、自然発生したように見えるコミュニティや文化は、他のまちではまねできないものなのか?
たしかに、そのまち独自のものではあるが、他の地域でも共通するヒントはあるはず。そして、長い年月をかけたところで、良いものが生まれるものではないということも、多くの事例を研究していくべきだ。
「よい」コミュニティや文化があり、新しい価値を生み出す魅力のあるまちは、どのようにして生まれたのか?
どのようなまちが「よい」と言えるのかを話し合い、その「よい」まちのメカニズムを研究し、その実現に向けて力を合わせていけるような働きかけを考えている。
人が集まり、情報が集まり、混じり合い、新しい価値を生み出していく拠点が、まちには必要だ。
そこで、図書館や公民館に注目している。
寺山修司が「書を捨てよ町へ出よう」と世に投げかけているように、まちと本や図書館はかけ離れた存在というイメージがあった。
しかし、今、従来の図書館の枠を越え、多様な知が集まり、地域の文化や社会を支えていくような場としての役割を期待されている。
居場所(サードプレイス)、地域の医療・福祉、ビジネス、働き方改革、防災、まちづくり、文化創造の拠点となるような場を作っていきたい。
拠点といっても、中心になる人ばかりではなく、まちに居場所のなかった人たちでも安心のできる場を目指したい。
この夏、柏市の図書館のあり方について提言をまとめていきます。
まだ一般的ではないアイデアをどのように言葉にできるか。正念場です。
戦後、公民館を提唱した寺中作雄氏の言葉をご紹介したい。
「公民館は多方面の機能をもった施設である。それは社会教育の機関であり、社交娯楽の機関であり、自治振興の機関であり、産業振興の機関であり、青年養成の機関であり、その他其の町村に於て必要と思へば尚色々の機能を持たしめて運営することが出来るが、要するにそれらの機能の綜合された町村振興の中心機関である」
『公民館の建設』