『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと1日3時間労働』を読んで

ベーシックインカム、1日3時間労働、国境線の開放が提案されています。

私は議員になる前から、ベーシックインカムや地域通貨の思想に共感し、研究してきました。
決して、荒唐無稽な話ではなく、現代社会の課題を解決する有効な手段と考えています。

ベーシックインカムに対して、多くの批判がありますが、その反論は本書に網羅されています。
否定的な方こそ、ぜひ、お読み頂きたい本です。

第6章「ケインズが予測した週15時間労働の時代」では、様々な社会課題を解決するためには労働時間の短縮を主張しています。
政策としてお金を時間に換え、教育に投資し、退職制度を柔軟にすることを提案。

私個人的なところでは、第二子の誕生で、生活と働き方を見直すことになりました。
そんな私にとって、本書の労働時間についての提案は、目から鱗です。

5年前、初めてオランダを訪れた時に、ワークシェアリングの協定について知り、やっと日本でも議論される段階になりました。
時代が追いついてきた感があります。

1970年に起きたアイルランドの銀行ストライキが本書に紹介されています。
結果は、ストライキは半年続いたが、経済は機能した。
その間、アイルランドではパブが中継点となり、独自の通貨が発行された。
バーテンダーは誰が信用できるか知っていた。その影響は、危険な投機が無くなったくらいだった。

いま、柏まちカレ図書館は、通帳型地域通貨を貸し出しシステムとしています。
地域通貨の発行は、まちカレ図書館を拠点にしたいと計画しています。
これは本の貸し借りだけでなく、これまでのGDPでは測れない親切や義理のような行為の価値を可視化しようとするものです。

国境線の開放について、本書では労働力の移動や富の創出が述べられています。
それだけでなく、環境問題や金融危機など、一国で対応でかない課題が増えています。
法人税や炭素税など、国境線を越えた仕組みづくりが求められます。

一方で、国境線を開放するからこそ、言語や文化、教育や社会保障は、地域独自の制度で実施していくべきです。

地方議会では、地に足の着いた議論が繰り広げられますが、このような大局観をもった議論も必要です。
これからの社会のあり方や世界情勢にも、感度を高く保っていられるよう勉強を続けていきます。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)