八丈島で都議選のお手伝いをしていました。
選挙戦の最終日、小池百合子さんが八丈島を訪れ、演説会が開かれる予定でしたが、飛行機が欠航し、実現しませんでした。
私は小池百合子さんが乗ってきた飛行機に乗って帰る予定でしたが、それから飛行機は翌日も、その翌日も全便欠航し、私は帰ることができませんでした。
今日、ようやく船で戻ることができました。
日曜と月曜の予定を欠席や変更せざるを得ず、ご迷惑をおかけしてしまいました。申し訳ありません。
さて、テレビや新聞などメディアでは、「都民ファーストの会の躍進と自民党惨敗」といったが報道されていますので、私からは無所属の地方議員の視点から、選挙を通して知ることができる地域の実情などについて、私の思うことをお伝えしたいと思います。
候補者本人でなく、違う地域だからこそ見えたものがありました。
1 死に票と市民の声
議会は行政をチェックし、これからの社会のあり方を議論します。
その議論は、選挙で選ばれた市民の代表である議員によって行われます。
市民の声は、選ばれた議員によって反映されていることになっていますが、はたして、そうなっているでしょうか?
•選ばれなかった候補に投票された票は、どのように議会で反映されるのか?
•選ばれた議員が、市民の声を代弁できているかどうか?
•市民の選択は適切だったかどうか?
•選挙権のない子どもなどの声は?
•投票しなかった人の声については、どのように考えればよいか?
テクノロジーの進化も取り入れ、私たちの意見を社会に反映させることも考えていきたいです。
議会制民主主義のあり方が問われます。
2 多数決と民主主義
議会では多数決による決定なので、会派の人数が政治を左右します。
選挙番組でも、ちまたの政治談義でも、この点が話題となります。
しかし、多数決が、私たちの声を反映させているかというと、疑う必要もあります。
※坂井豊貴『多数決を疑う 社会的選択理論とは何か』
多数決は民主主義の一つの方法であって、もっと私たち市民の声を反映させる方法を考え出し、議会や選挙のあり方も見直す必要もあると思います。
3 日和見票や浮動票の力
選挙は接戦でも、結果は大差がつくということが、よくあります。
綱引きのように、勝敗を決する時は、一気に一方に引っ張られていきます。
この力の要素が、日和見票や浮動票です。
大きな選挙になればなるほど、日和見票や浮動票の力が、勝敗を左右します。
正義や義理から選挙を応援するという動きしか見ていなければ、情勢を見誤ることになります。
勝ち馬に乗りたいという心理や周囲の目を気にするという慣習は、批判するものではなく、選挙そのものの性格です。
一人ひとりの選択を正当化するような大義、みんなが支持しているという雰囲気など、いくつかの要素が重なることで、一気に一方に傾きます。
「風が吹く」というのは、この急激な傾きが、全国で雪崩のように起こることを表現しています。
「惨敗」や「大勝利、大躍進」といっても、大きな差はないと私は思います。
4 首長と議会
議員は、知事と地域のパイプ役でもなく、知事の子分でもありません。
あくまで、知事をチェックし、これからの社会のあり方を議論するという役割です。
議会-行政の二元代表制という原則で言えば、知事と対立することはあっても、自民党と都民ファーストの会は同じ議会の構成グループでもあります。
知事と議会最大会派がタッグを組むことで、都政は安定しますが、議会の存在感は薄れてしまいます。
これは市民のために、良いか悪いかは、その時の知事次第です。
個人任せで、社会のシステムとしは機能しません。
ただ、良い方向にせよ、悪い方向にせよ、社会が動くのは、民主主義の原則よりも、独裁のほうであることも事実です。
5 一票の格差と地域
東京都議選の島部の選挙区は、1票の格差の観点から、23区内の選挙区に統合するかどうか検討されてきました。
現在の選挙区は約1000kmに及ぶ範囲です。各候補が、全島に足を運ぶことはできないでしょう。
現状でさえ、小笠原から候補者が立候補するのは難しいと言えます。
そして候補者も足を運びにくいことを考えると、この地域の住民の声が、しっかりと反映されているかどうか考えなければならない課題です。
6 島しょ部の交通問題
私が帰ることができなかったというからではなく、大きな課題だと思います。
これまでセンター試験の入試で、受験生は大変な苦労をしていたとのこと。
金銭的な負担も大きいです。
7 国防の観点から見た離島
島に人が住んでいるからこそ、日本の島と認められていると言えます。
無人島に、知らない間に、他国の集団が移住し、開拓し、定住することになれば、戦争の力に拠らない占領となります。
島の住民の暮らしは勿論、これまで続いてきた文化を守ることも、日本を守ることになると考えます。
8 地域の歴史
選挙は、地域の実情を浮き彫りにします。そこには、村落の性格やこれまでの歴史的経緯が複雑に絡み合っています。
全国各地の跡目争いや地域の対立が、南北朝争乱や応仁の乱という中央の争いと連動して、全国に広まりました。
同じように、これまでの地域の歴史的な経緯の上に、政党の争いという形で表面化したという一面もあります。
政権交代や、近年でも、みんなの党や大阪維新などの時も、公募された新人でなければ、もともとの地域の保守系同士の争いを引き継いでいませんでしたか?
水利権争いなどは、日本の近世から続く、自治や政治のテーマです。
9 教育により独自の魅力を創出
大切なのは住民の誇り。
島を出ていく若者が、いつか帰ってきたいと思えるように、八丈島の資源を活用した社会教育の動きに注目しています。
子どもたちの理数教育、国際理解教育、音楽やスポーツ、八丈語など、活動されている方々から思いをお聴きする機会をいただきました。
別の投稿で、詳しくご報告いたします。
長々となってしまいました。
他にも考えたことは沢山ありますが、これからの活動の中に活かしていきたいと思います。