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空き家対策について

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以下、『BE-COM10月号 vol.264』 (2014.10.1 BE・COMときわ通信発行)に掲載より引用

【急増する空き家】
空き家問題は、喫緊の課題である。
ある時期に、ある地域に開発された住宅地に、似たような世代の核家族が移り住む。30-50年が経って退職し、故郷に帰ったり、便利なまちなかに移住したり、病院に入ってしまったりする家も出てきて、住宅地は高齢化。子どもたちは、社会人となり、結婚し、別の住宅地で暮らしている。
日本では、中古住宅の活用が少なく、空き家を取り壊して更地にすると税負担が重くなり、空き家が増えていく制度になっている。活用か撤去を促す政策への転換が急務である。
柏市でも、空き家は増えており、老朽化による家屋倒壊や犯罪の誘発、境界を越えて張り出す樹木や雑草など、隣接に居住する住民や通行される方々にとって大きな問題となっており、私のもとにも、空き家の近所の住民の方からご相談を頂戴する。
特に、樹木や雑草。壁を越えて、自宅の敷地内に入った分は刈り取れるが、空き家の庭に入り、根っこから抜き取るようなことはできない。外来種の植物などは、繁殖力が強く、生態系にも影響を及ぼすもので、何とかならないかという切実な声をお聞きする。
総務省が五年に一度実施する住宅・土地統計調査の速報集計(2013年10月時点)では、総住宅数は6063万戸で、五年前に比べ,305万戸(5.3%)増加している。空き家の数は2008年より63万戸増え、全体に占める空き家の割合は13.5%と0.4ポイント上昇し、過去最高を更新した。平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約 柏市役所防災課からの報告によると、柏市の空き家は平成20年時点で21,340件(住宅・土地統計調査)、上水道が止まっているものが1974件。この3年間に、市民から365件の空き家相談があり、143件がいまだに解決できていない。相続で所有者が不明、空き家所有者が費用を負担することが出来ない、遠方に居住して連絡が取れない、刑法の住居侵入罪のために立ち入り検査ができないなど、一筋縄にはいかない問題である。IMG_0082
【空き家バンク】
空き家利活用の促進策として、行政がインターネット上で情報を公開し、仲介する「空き家バンク」を創設している自治体がある。さらに空き家の活用に向けて、改修費や家賃の補助を行っている自治体もある。海南市空き家バンク たとえば、茨城県ひたちなか市では、市営住宅の入居資格者が空き家に住む場合は、家賃補助を行っている。神奈川県横須賀市では、大学生が、高齢化しているモデル地区の空き家に、シェアハウスとして居住し、地区の高齢者をサポートする条件で、家賃補助を行っている。

【空き家トータルマネジメント】
空き家対策は、市役所庁内でも複数の部署に関わるもので、不動産会社やリフォーム会社、地域組織などとも関係する。総合的な相談窓口が必要だ。たとえば、流山市では、住まいに関連する市内民間企業や商工会議所のチームを形成することを促進している。また、いすみ市では、商工会議所やNPO法人で構成する「空き家部会」を通じて、市内の空き家数や持ち主の意向調査を始める。
神奈川県では、空き家の利活用を促進し、新たな住宅市場の開拓と市場の活性化を図る仕組みや住み替え・リフォームを促進し、地域経済の活性化を図る仕組みを構築しようとしている。空き家トータルマネジメント 神奈川 柏市でも、空き家が抱える問題の多様性に対処するため、管理代行やリフォーム、マッチング、住み替えなどの「空き家トータルマネジメント」機関を構築すべきであると議会で提案をした。空き家バンクや市営住宅としての活用、空き家トータルマネジメントなど、今、柏市が作っている総合計画の中に盛り込んでいきたいとのことである。

【タテ割り行政の弊害】
改善の注意に応じない空き家に、固定資産税が滞納している可能性もある。確認すべきである。柏市では、市営住宅の家賃を数百万円滞納していたのに見逃していた事例もあった。柏市全体で固定資産税の滞納は3億9900万円である。
所有者不明や連絡がつかない所有者の空き家と、税の情報を照合させることで、空き家問題も解決に向けて一歩前進するはずだ。しかし、照合できない法律になっているのだ。現在、国会の審議を待つ状況である。
これこそ、タテ割り行政の弊害である。近隣に迷惑をかけている空き家対策のために、行政内で連携できる制度を整えていくべきだ。

【個人の持ち物に税金を使うこと】
空き家を取り壊すと税負担が重くなる制度も原因として指摘される。住宅が建っている場合、更地と比べて6分の1に固定資産税が軽減されるという特例があるのだ。危険な状態になった空き家に、この特例を解除する自治体も出てきた。これにより、危険な状態と判断されるのを避けるため、所有者が改善に応じることを狙っている。また、新潟県見附(みつけ)市では、更地にしても、すぐに税額を上げず2年の猶予を与えている。見附市空き家対策 豪雪地域や台風の多い地域だけでなく、大田区でも今年5月に行政代執行に踏み切り、所有者の許可なく取り壊した。
柏市では、財産権を考え、強制的な撤去は行っていない。また、強制的な撤去や撤去費用の補助は、まじめに空き家を管理している所有者のことを考えると不公平だという考えも見受けられる。公平性と市民の安全のどちらを優先させるのか?
長崎市では、跡地利用について地域住民で話し合い、管理していくことを前提に、問題空き家を公費で撤去している。所有者のためではなく、地域のために公費撤去するという考えだ。

柏まちなかカレッジ  山下 洋輔

参考
◆新潟県見附市 記者懇談資料http://www2.city.mitsuke.niigata.jp/kankyo/mcom/press20121010.pdf
◆神奈川県の空き家対策について
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/602125.pdf

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投稿者:

山下 洋輔

柏市議会議員。柏まちなかカレッジ学長。元高校教諭。2児の父。 教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 (社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 教育コンサルタント山下洋輔事務所設立。 2011年9月から柏市議会議員。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)