国連教育科学文化機関(ユネスコ)が2015年10月9日(日本時間10日)、シベリア抑留と引き揚げ関係資料「舞鶴への生還」と国宝「東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)」を世界記憶遺産に登録すると決定しました。
「過去を風化させない」、平和への誓いを新たにする機会です。
記憶遺産に登録された舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市)が所蔵する記録570点に、柏市の木内信夫さん(91)が描かれた水彩画が40点も含まれています。
木内さんが引き揚げから間もないころに描いた作品で「記録性が高い」と評価され、選ばれたそうです。
その木内信夫さんの水彩画展が、かしわインフォメーションセンターで開かれました。
会場には、登録作品を含む水彩画のレプリカ68点。一つひとつの絵に説明があり、旧ソ連抑留の貴重な史料です。※HPでも公開されています。
旧ソ連抑留画集 http://kiuchi.jpn.org/nobindex.htm
「シベリア鉄道でウクライナに送られる様子から収容所での労働、引き揚げ船での帰国までさまざまな場面を切り取っている。
現地では、線路に敷くための石を採る作業などをした。「寒風に負けず石割り続けられ」との川柳が添えられた作品では、雪景色の中で大きな石を重そうに抱える姿が描かれている。
入浴や食べ物事情など、収容所の暮らしぶりを伝える作品や、ソ連兵と相撲を取ったり、歌を歌ったりするなど交流を描いた作品も。帰国後は、畳の感触を皆で喜ぶ姿などが描かれている。」
東京新聞 2015年10月11日lより
私の祖父は、約3年間、シベリアに抑留されていました。
シベリア抑留については、体験談を聞いたり、読んだりしたことはありました。祖父からは、外国語についてや、熊にあったときの対処法やルバシカという防寒具を使った火のおこし方など、興味深く語ってくれたこともありました。冬に祖父の体調を気遣う私には、「シベリアと比べたら余裕や」と答えたことを思い出します。
今年の夏は、特に大正から昭和初期、戦中・戦後の歴史についてまとめて読みました。その中で、シベリア抑留についても数冊、読みました。 厚生労働省によると、シベリアやモンゴルなどへ約58万人が抑留され、うち約47万人が帰還したとされます。しかし、抑留の実態には、なお不明な部分が多い。抑留場所も、中央アジアなどシベリアだけではありません。当事者が高齢となり、聞き取りなどの調査は緊急の課題です。このまま歴史の闇へと葬り去ってはなりません。同法は総合的な実態調査を行うための基本方針作成を政府に義務づけました。
議会でも質問してきましたが、オーラルヒストリーを収集し、保存し、編集していくことが、図書館など文化的な公共事業に求めらています。
政府の対応を待つばかりでは、手遅れになります。個人でも、何か出来ることがあるはずです。私は、仲間とともに高齢者の方々からお話を聴かせて頂くプロジェクトを細々と行っていました。「人生で一番印象に残っている出来事について」お話を頂く。仕事や家族の話題もあるが、自然と戦争についての話題になることが多いものです。
経験や考え方が違うので、世代間のギャップはあります。世代を超えた交流の場も簡単ではありません。しかし、必要性に気づいた人が、勇気をもって、そして愛情をもって近づけば、道は開ける。そう信じて、お話を聴く活動を続けていきたいと思います。