児童会・生徒会とシチズンシップ教育-議会質問に向けて

◆児童会選挙の思い出
約30年前、私が小学生だった時に、児童会会長選挙で「宿題をなくす」ことを公約に立候補した先輩がいました。

選挙公約なんて、大人の世界でも、まだ一般的でなかった頃の話です。

「勉強は授業の中で完結させるよう先生方に求める。放課後の時間を、私たちに取り戻す!」といった趣旨。今でも通用する内容だったと思います。

その先輩は、二度、落選。

‪現在、話題になっているような宿題についての議論も、教室で起こりました。
‪子どもの中にも保守派/穏健派/良識派がおり、社会を学ぶ機会になりました。

「良い学校にします」といった演説は他にもいたが、具体的で、明確なビジョンを示した候補者は、彼だけだったように記憶しています。

数年後、その弟が同級生で会長に当選。

彼の演説の冒頭は、「私は『宿題を無くす!』とは言えませんが、•••」といったものだった。
寂しかったのを覚えています。

いま、私は議員となり、子どもたちの声を政策に取り入れようと努めているのは、間違いなく、この経験があるからだと言えます。

◆学校の自治とシチズンシップ教育
制服やジャージの選定、学校行事や部活動のあり方、置き勉やそのほか校則について、これまで議会でも議論されてきましたが、原則的には、児童会や生徒会で話し合い、学校と交渉し、保護者や地域、行政と調整していくものだと認識しています。

以前、ある中学生から、自分の学校のジャージはダサイから着たくない。市議会で何とかしてほしいとの意見をいただきました。

私からはジャージは、教育委員会で決めているのではなく、それぞれの学校で決めているので、生徒会で問題提起してみてはどうかと答えました。

自分たちでルールを決め、自分たちで守っていくと言う民主的なプロセスを学んで欲しいと期待しての答えです。

特に、「いじめ」問題は、学校において重大な課題です。

今回の議会では、以前にも提案した「学校仲裁所制度」についても説明しながら、
柏市内の学校における「学校をよりよくしていくため」の児童会・生徒会活動の様子、学校の支援、教育委員会の考えについて質問する予定です。

◆これからの学校のあり方
さて、これからの教育は、大きく変わっていきます。

グローバル化やIT化が進み、日本にいながらでも教育の選択肢は広がってきました。一方で、それは教育格差を拡大させることにもなります。

公立の小中学校(できれば幼児教育も)で、誰もが充実した教育が受けられるようになることが、これからの社会のために大切だと考えます。

公教育をより良くするために、私は市議会議員として活動しています。

知識を習得するための授業だったら、家にいながらでも受けられるような時代です。現に、アメリカの有名大学の講義をネットで受けることができます。
大学の講義でなくても、小中学生向けの無料学習サイトもあります。今後、この流れは、広がっていくでしょう。

知識を身につけるためだけだったら、学校はいらなくなります。

しかし、学校だからこそ、学べることがあります。

友達と話し合い、喜怒哀楽も共有するように学ぶ。貧富の差も、学年もなく、能力や体格の差、障がいの有無、国籍や人種など関係なく、多様な仲間たちと学ぶことができる。
そのような場を提供できるのが学校の大きな役割ではないでしょうか。

変化の激しい現代社会において、子どもたちが将来、市民としての十分な役割を果たせるような力を育みシチズンシップ教育こそが、学校で学ぶ一番大切なことであると、私は考えています。

たとえば、サドベリー•バレー•スクールは、生徒たちが話し合ってルールを定め、自分たちで学びたいことを学ぶ自主自律の学校で、デモクラティックスクールとも呼ばれます。
これからの学校のあり方のヒントとなるモデルです。

◆グローバリゼーションと教育
社会課題は複雑化し、一つの国の問題だけにとどまらなくなってきています。一方で、インターネットや交通手段の発達で、世界中の人々が学びあうことが可能になりました。これから、ますます協力し合っていくことが求められるでしょう。

そういった時代に必要なのが、シチズンシップ(市民性)です。

世界で活躍できるグローバル教育といっても、特別なものではなく、世界をより良くしていこうという志を持って生きようとする人たちを育てていくことを、学校に求めます。

◆いじめ対策としての学校仲裁所制度
学校仲裁所制度についてご紹介します。これは、仲裁所を建設するというのではなく、児童・生徒の間で生じたもめごとや問題を、当事者である児童・生徒自身が話し合いで解決していくための仕組みです。
当事者同士が話合いによって、相互理解を深めていきます。

ノルウェーのオスロ市で実践され、いじめ対策としても有効であると評価されています。
仲裁委員は、児童生徒の中から選出され、研修を受け、活動を開始します。
学校仲裁所をサポートする教員は、他校の担当教員と情報共有し、話し合いを行っています。

オスロ市の小学校で仲裁委員になった子どもからは、次のような感想が出ています。
・自分より小さなこと遊んであげます。校庭でみんなと遊んでいるときに意見が合わなかったり、摩擦など観察します。深刻な紛争、ケンカがあれば、仲栽室へ連れて行きます。誰も一人ぼっちになってはいけないのです。
・いじめを止めて、学校を楽しくしたいと思いました。
・お父さん、お母さんからも「誇りに思う」と言われた。また、クラスメートからは「格好いい」と言われた。
・将来は、弁護士になりたい。お医者さんになりたい、など将来を語る。

この学校仲裁諸制度は、いじめ対策のみならず、これから生きていくうえで必要不可欠な対話力を育て、子どもの自治、子どもが主人公、子どもの権利をベースにした公民教育・シチズンシップ教育です。

こういった教育を受けた子どもが、大人になり、主体的に社会に参加していくことになると期待されます。

この学校仲裁所制度を柏市の小学校において、児童会・生徒会活動や学級活動など、何らかの形で生かしていくことも提案していきます。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)