5/28の柏まちカレ図書館まつりで、お話しいただく佐々木秀彦さんのご著書『コミュニティ・ミュージアムへ―「江戸東京たてもの園」再生の現場から』(岩波書店)を読みました。
某地方創生大臣の発言で学芸員が注目されました。
本書の中でも、その学芸員の役割や習性について指摘され、育成への提言やこれからのあり方も示されていました。
ミュージアムが、第3の居場所(サードプレイス)としてコミュニティとなり、地域の力を掘り出し、ソーシャル・キャピタルを高める。そして、地域の社会問題を調査し、市民に問題提起し、市民とともに行動する、まさに社会変革のインキュベーターとしてのミュージアムの形が紹介されています。
そのためには、調査・研究や経営だけでなく、市民とともに分かち合い、新たな価値を創造するようなコミュニケーションが期待されます。
戦後の社会教育が目指した公民館やコミュニティ・スクールと通じる点も指摘されています。
「地方自治は民主主義の学校」と言われますが、コミュニティ・ミュージアムを築いていく営みは「民主主義の教室」となる可能性を持ちます。
文化行政や市民協働、コミュニティのあり方について、これまで私が市議会で議論してきたことを、佐々木さんの実践事例と研究から、考えを深めることができました。
行政評価や指定管理者制度といったテーマについても、この本のおかげで、考え方が明確になってきました。
柏まちなかカレッジなどコミュニティの運営、これまで私が活動してきた中で悩み、考えてきたことが、体系だって示されています。もっと早く読めばよかったと悔やまれますし、今だからこそ得られたものが大きかったとも言えます。
多くの方にお勧めしたい本です。
昨年末、ヨシムタさんに著者である佐々木さんをご紹介いただき、図書館や柏市政についてお話しさせていただく機会を得ました。
今年に入って、「知のフューチャーセンター」という形で、研究や活動を一緒に始めました。
地域包括システムの文化版のような形で、それぞれの地域にまちなか図書館を設置し、地域情報を収集し、保存し、整理し、編集し、発信し、活用していくコミュニティプロデューサーの設置を議会で提案したのは、ここでの話し合いから得られたアイデアです。
※「まちなか図書館」構想とコミュニティプロデューサー-議会質問を終えて④
「教育のまち」を掲げて活動してきました。
学力テストや進学率を上げることが目的ではなく、社会をより良くし、人生も豊かになるような教育を目指しています。
まさに、このコミュニティ・ミュージアムのような学び続けるコミュニティが大切だと考えています。
「読書は対話」と言われますが、最近、本当にその通りだと感じます。
著者と話しているような感覚がありますし、
その対話によって、それまでの自分の考えが変容します。
面と向かっての対話以上に、読書のほうが自分に素直になれるのかもしれません。
これからも沢山、読んでいきたいです。