『公教育をイチから考えよう』(日本評論社)は、リヒテルズ直子さんと苫野一徳さんのこれまでの作品を集めたベスト盤みたいな本です。
リヒテルズさんは、『オランダの教育-多様性が一人ひとりの子供を育てる』、『オランダの個別教育はなぜ成功したのか‐イエナプラン教育に学ぶ』、『オランダの共生教育‐学校が〈公共心〉を育てる』を筆頭にオランダ教育をご紹介され、『学習する学校』も翻訳するなど、オランダから日本の教育がより良くなるために働きかけてこられました。
苫野一徳さんは、教育哲学者として、『どのような教育が「よい」教育か』を徹底的に考え、『教育の力』でこれからの教育のあり方を示しています。
そんなお二人のエッセンスが、本書には凝縮して、詰め込まれています。
特に、リヒテルズさんは、『オランダの教育-多様性が一人ひとりの子供を育てる』をご出版されたのが2004年。オランダの政治・経済状況はもちろん、世界や日本も激変しました。
本書には、社会情勢の変化やこれまで様々な方々からの疑問に答える最新情報がアップデートされています。
また、本書は二人のセッションでもあります。
オランダの教育実践とその根底にある思想を紹介するリヒテルズさんと、なぜその教育実践が「よい」と言えるのかを徹底的に問い直していく一徳さんが、これからの公教育の土台を築いた一冊です。編集者木谷陽平さんの腕と苦労の賜物です。
本書によって公教育のあり方が示された今、それを実現するのが、政治の役割です。私も、地方議会から全力で働きかけ、本書からのメッセージに応えてまいります。
今度は、地方議会や教育行政も交えたセッションをお二人とできれば面白くなりそうですね。
予約注文して、すぐに拝読しましたが、思い入れが強く、なかなか書けずにおりました。
私が初めてリヒテルズさんにお会いしたのが、2012年春。その時に一徳さんのお話を熱く語り、2014年3月には出たばかりの『教育の力』をオランダに持参しました。最初の顔合わせで、3人で喫茶店に入ったのも貴重な思い出です。
その後は、必然的に、お二人は意気投合し、共演され、お互いの考えを高め合って、本書のような成果となったことに、少しでも関われたのがうれしいです。