千葉県、認知症カフェの設置数が全国47位。この現実から目を逸らしたくない。

今日の日経新聞で、改めて突きつけられた数字

本日(2026年5月9日)の日本経済新聞に、認知症カフェの設置件数ランキングが掲載された。

10万人あたりのカフェ数で見ると、千葉県は4.40件で全国47位。 群馬(9.15件)、山梨(8.85件)、埼玉(6.53件)と比べても、大きく水をあけられている。

関東の中でも最下位。これが、私たちの県の現実だ。

この数字を見て、「制度の話をしているだけではいけない」と感じた。 認知症施策を語るとき、私たちはどうしても「医療」や「介護保険」の枠組みで考えがちだ。 しかし、認知症の人を支えている家族の多くが直面しているのは、もっと手前の問題だと思う。

「誰にも話せない」という孤立だ。


柏市に、10年以上続いてきた場所がある

そういう孤立を防ごうと、地道に活動を続けてきた人たちが柏市にいる。

NPO法人ケアラーネットみちくさが運営する「みちくさ亭」は、2013年に開設されたケアラーズカフェ&オレンジカフェだ。認知症の人を介護する家族だけでなく、地域の誰もが立ち寄れる居場所として、毎週月〜木曜日に扉を開けている。

ここでは、認知症看護・栄養・リハビリ・介護保険・相続といった専門職による無料相談が受けられる。毎月第2土曜日には「介護者のおしゃべり会」もあり、同じ立場の人同士が言葉を交わせる場になっている。

認知症の本人が集まる「認知症本人会」も月1回開かれている。これは全国的に見ても、まだ多くはない取り組みだ。

この場所を訪ねて感じたのは、「制度以前の温かさ」だった。 相談窓口として機能しながら、同時に「ただ、いられる場所」でもある。 この両方を兼ね備えることの難しさを、10年以上続けてきた実績が証明している。


「介護する側」を支える視点が、まだ足りない

認知症施策の議論では、どうしても「認知症の人をどう支えるか」に焦点が当たる。 それはもちろん重要だ。

しかし私は、介護をしている側の人が追い詰められていく構造にも、同じ重さで向き合わなければならないと感じている。

仕事をしながら親の介護をする。子育てと介護が重なる。 そういう状況にある人が、相談できる場所を知らないまま、一人で限界まで抱え込んでいるケースは少なくない。

「ケアラー支援」という言葉は少しずつ広がってきた。 千葉県でもケアラー支援の議論が進んでいる。 しかし言葉や条例があっても、「みちくさ亭」のような具体的な場所が地域に根ざしていなければ、支援は届かない。


県議として、今考えていること

全国47位という数字を、単なる「少ない」で終わらせたくない。

認知症カフェの設置を増やすには、財政的な支援だけでなく、担い手となるNPOや地域団体が継続して活動できる環境が必要だ。柏市のみちくさのように10年以上続けてきた団体が正当に評価され、次の担い手へとつながっていく仕組みを、県としてどう設計できるか。これを真剣に考えていきたい。

また、認知症カフェとケアラーズカフェは役割が重なる部分も多い。両者を一体的に支援する枠組みを作ることで、限られた資源をより効果的に使えると思っている。

今日の日経新聞は「専門医も参加する認知症カフェ」として川崎市の取り組みを紹介していた。医療と地域をつなぐモデルとして参考にしながら、千葉県・柏市ならではのあり方を探っていきたい。


全国最下位という現実を、出発点にしたい。

あなたの地域に、認知症カフェやケアラーズカフェはありますか? あるいは、こういった場所を必要としている人が身近にいますか?

ぜひ、声を聞かせてください。


参考:日本経済新聞 2026年5月9日付「専門医も参加 相談気軽に」/NPO法人ケアラーネットみちくさ https://michikusa-net.com/

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)