柏市議会 令和5年第1回定例会 施政方針

2/24から柏市議会令和5年第1回定例会が始まります。
初日に、柏市長から示される施政方針を共有いたします。

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令和5年第1回定例会の開会にあたり、新年度に向けた施政の基本方針と市政運営における主要な事項について、その概要を申し上げ、市民並びに議員の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

さて、ちょうど1年前の2月24日に、ロシアによるウクライナへの一方的な軍事侵攻が開始され、今もなお国際社会の平和と秩序に反した侵略行為が続いております。このような侵略行為は、いかなる理由があろうとも断じて許されるものではなく、ロシアに対し、改めて強く非難するとともに、一刻も早い侵略行為の停止と、ウクライナ領土からの撤退を強く求めます。

また、この侵略行為により、多くの罪のない人々の命が理不尽にも奪われております。犠牲になられたすべての人々とそのご家族に対しまして、ここに改めて、深い哀悼の意を申し上げます。

 

本市におきましては、市内に在住していたウクライナのかたのご家族4世帯7名のかたが避難してきており、文化や言語、生活習慣の異なる日本において、安心して生活いただけるよう、本市といたしましても、引き続き、必要な支援を行ってまいります。

 

市長就任直後の定例会において、所信表明でも申し上げましたが、困った時、苦しい時に、手を差し伸べてくれる、人にやさしいまちづくりを行い、この柏を、市民の皆様とともに誇りに思えるような、暮らしやすい街を創り上げていくことが、私自身の政治理念であり、またこれからの行政にも求められる役割であると考えております。

令和3年11月から市政を預からせていただき、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、様々な分野や場面において、政策的な判断をしてまいりました。コロナ禍というこれまで経験したことのない状況のなかで、前例踏襲が主流である市政から、新しい一歩を踏み出すような取組を行うことができたのではないかと考えております。

 

また先月末には、政府が、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを、季節性インフルエンザと同等の「5類感染症」に移行する方針を決定いたしました。

 

これにより、ただちに感染リスクが低減し、健康危機から脱却するわけではありませんが、アフターコロナの社会を見据え、新たな時代に向けた市政運営が必要となります。

そのために、前回の定例会でも申し上げましたとおり、コロナ禍以前に策定した第五次総合計画の終期を待たずに、令和5年度から、新しい時代に向けたまちづくりの指針となる「次期総合計画」の策定に取り掛かってまいります。

まだ、策定における具体的な方針が定まっているわけではありませんが、次期総合計画の前提としましては、本市における人口は、現在の増加傾向から現状維持、もしくは減少局面への転換期を迎えることが想定され、また、急速に進むデジタル社会への対応など、まさに新しい時代や社会における、まちづくりの「道しるべ」となるような計画として、とりまとめてまいりたいと考えております。

 

一方で、新型コロナウイルス感染症につきましては、市民の生命と健康を第一に、万全な感染症対策を講じてまいります。

なかでも、新型コロナウイルスワクチンの接種については、国において、感染症法上の位置づけの変更に関わらず実施することとし、引き続き自己負担なく接種が受けられる方針が示されたところでございます。

今後も、国の動向を注視しながら、保健所を有する中核市として、柏市医師会や各医療機関と連携しながら、感染症対策に鋭意取り組んでまいります。

 

さて、令和5年度は、先に申し上げております新型コロナウイルス感染症の感染症法上の取り扱いが変わることから、社会経済活動にも明るい兆しが見えると考えられますが、昨年から続く原油価格や小麦などの原材料価格の上昇による物価高騰は、市民生活にも長期にわたり大きな影響を与えております。

本市の財政においても、社会経済活動の活性化等に伴い、歳入の根幹である市税収入は令和4年度決算見込額と同程度を見込んでいますが、原油価格・物価高騰の影響により、依然として歳入全体での見通しは不透明な状況です。

また歳出面においても、エネルギー価格や物価高騰への対応に伴う支出や、社会保障費など財政需要の増加が続いており、引き続き社会情勢が今後の財政に与える影響に注視する必要があります。

 

このような状況を踏まえまして、令和5年度の当初予算編成においては、「子育てしやすい“まち”柏の実現」や「誰もがいきいきと学べる環境の構築」、「交流人口の拡大に向けたまちの魅力向上」など、これからの柏市にとって、真に必要と考える7つの分野に優先して財源を配分するとともに、健全な行財政運営を堅持しながら、アフターコロナの社会を見据えた政策を中心に、編成しております。

その結果、令和5年度の当初予算規模は、一般会計では前年度当初予算比で1.0%増の1、499億1、000万円、また、特別会計は8会計合わせて前年度比0.3%増の800億7、900万円、企業会計を含めた予算総額では、前年度比0.9%増の約2、597億1、600万円となりました。

 

以上のように編成いたしました、令和5年度の当初予算案につきまして、重点分野を中心にその概要を申し上げます。

 

まず、1点目が子育てしやすい“まち”柏の実現についてです。

子ども・子育て分野につきましては、市長就任当初から一貫して申し上げてまいりましたとおり、今後の行政における特に重要な分野であります。国においては、本年4月に「こども家庭庁」が創設されることから、関係する省庁横断的なこども政策の司令塔としての役割を期待しているところでございますが、本市においても、部局横断的に子育て支援を展開するため、その拠点となる「(仮称)子ども・子育て支援複合施設」を柏駅前に開設いたします。

この施設は、乳幼児から中高生・若者まで、すべての年代の子どもたちが成長にあわせて利用でき、妊娠されているかたも含めて、子育て世帯のニーズに応える総合的な施設として整備する予定です。

具体的な機能といたしましては、送迎保育ステーションや子どもの図書スペースを含めた遊びの広場、中高生世代を含む若者の居場所を想定した交流スペースなどのほか、これまで柏駅周辺に分散していた、一時預かりや妊娠子育て相談センターなどの既存機能を集約して、子育て支援サービスの充実・向上を図ってまいります。

このうち、まずは令和5年度中に、送迎保育ステーションを先行して開設いたします。

 

また、柏駅周辺だけでなく、今後も子育て世帯をはじめ、多くのかたが転入し、乳幼児人口の増加も見込まれる柏たなか地区においても、乳幼児の親子同士の交流や、育児相談ができる子育て支援施設を、令和6年1月に、柏たなか駅前公園内に開設する予定でございます。

この施設では、(仮称)子ども・若者総合支援センター建設による青少年センターの取り壊しに伴い、本年9月末で一時休止予定の「はぐはぐひろば若柴」の機能を引き継ぎ、新たに本市に転入されてきたかたがたも、安心して子育てができるよう、子育て支援サービスの充実に取り組んでまいります。

なお、新たに整備する(仮称)子ども・若者総合支援センターに、改めて「はぐはぐひろば」を再開する予定ですが、現在の「はぐはぐひろば若柴」を利用している皆様に対しましては、本年10月から「ららぽーと柏の葉」にて「出張ひろば」を実施していく予定でおります。利用者の皆様にはご不便をお掛けいたしますが、何卒ご理解の程、お願い申し上げます。

 

続いて、子ども医療費助成の拡充につきまして、これまでも千葉県に対して要望を行ってまいりましたが、本年4月1日より、本市独自の施策として、助成対象の年齢を、高校3年生相当の年齢である、18歳に達する年度末まで拡大いたします。

これにより、現在の0歳から中学3年生までに加え、高校生についても、所得制限を受けることなく、通院1回または入院1日あたり300円の自己負担で医療を受けられるようになり、子育て世帯の経済的負担の軽減につながるものと考えております。

これらの施策を通じて、安心して子どもを生み育てることができる環境の一層の充実を図り、すべての子どもの健やかな成長につながるよう、積極的に取り組んでまいります。

 

2点目が、誰もがいきいきと学べる環境の構築についてです。

近年、児童虐待や子どもの貧困、ヤングケアラーなど、困難な状況にある子どもたちへの支援が全国的な課題となっております。

このような状況に置かれている児童生徒を早期に発見し、必要に応じて関係機関と連携した支援を行うため、令和5年度からは、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを、全中学校に配置するとともに、より充実した支援を継続的に行えるよう、勤務日数と勤務時間の拡充を行ってまいります。

 

また、経済面や家庭環境などに左右されることなく、子どもたちが将来に向けた夢や目標を持ち学べる環境を確保するため、これまでも、ひとり親や生活困窮世帯等の小学4年生から高校生を対象に、生活・学習支援を実施してまいりました。このようななか、利用者である生徒や保護者から「受験に備えた学習支援を中学2年生から行ってほしい」とのお声を多数いただいたことから、令和5年度から、中学2年生となる生徒については、居場所型だけではなく、新たに通塾型を選択できるようにいたします。

今後は、利用者である生徒や保護者が、個々のニーズに応じて支援の種類を選択できるよう、柔軟な運用をしていくことで、すべての子どもたちが健やかに学び、育つ環境づくりに取り組んでまいります。

 

続いて、教育施設の整備につきまして、柏たなか駅周辺の児童数の増加に伴い、新設小学校の整備を進めてまいりましたが、本年4月に新たな田中北小学校として開校いたします。

学校の移転に伴いまして、田中小学校及び田中北小学校の通学区域を再編し、両校の学校規模のバランスに配慮いたしました。

今後は、これまでの田中北小学校の歴史に加え、新たな学び舎とともに新しい歴史を紡ぎながら、地域に根ざした学校となることを期待しております。

 

また、近年の猛暑を受け、学校施設における空調設備の設置は、喫緊の課題となっておりました。このため、給食調理中の暑さ対策として、空調設備の設置方法を調査するとともに、生徒の快適な学習環境の確保及び災害時の避難所機能の強化として、市内全21校の中学校体育館に空調設備を設置いたします。

中学校は、小学校と比較すると、部活動による体育館の使用時間が長く、熱中症のリスクが高いため、空調設備の設置により、安全・安心な学習環境につながるものと考えます。今後、小学校につきましても、空調設備の設置に向けた検討を行ってまいります。

 

中1ギャップや不登校をはじめとした教育課題への対応など、学校教育活動を取り巻く環境も大きな変化を迎えております。

このような状況を踏まえ、柏市教育委員会において、将来に向けた学校づくりの指針となる、「新しい学校のあり方」に関する方針を、令和5年度・6年度の2ヵ年をかけて策定してまいりますので、柏市教育委員会と協力・連携しながら、未来につなぐ魅力ある学校づくりに取り組んでまいります。

 

3点目が、健康寿命の延伸に向けた予防・健康づくりについてです。

前回の定例会において、柏市行政組織条例の改正案を議決いただきましたとおり、令和5年度から、生涯を通じた病気の予防や健康の増進等を一元的に担う「健康医療部」を新設いたします。

新型コロナウイルス感染症がまん延した令和2年度からは、保健所を中心として、感染症対策に注力してまいりましたが、先に申し上げましたとおり、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に移行することに伴い、今後は、「人生100年時代」の基盤となる健康寿命の延伸に向けて、「健康医療部」を中心に、子どもから高齢者まで誰ひとり取り残さず、健康で安心して暮らせるまちづくりに、より積極的に取り組んでまいります。

そのなかで、令和5年度においては、これからの超高齢化社会を見据え、慢性的に人材が不足する介護現場を支えるため、介護報酬によるベースアップ加算の対象となっていない、ケアマネジャーの処遇改善に係る補助事業を実施するとともに、在宅医療・介護連携を一層推進するため、引き続き、千葉県の交付金を活用した補助事業を通して、訪問看護ステーションの24時間対応体制の強化を図り、サービス提供体制の整備に努めてまいります。

 

また、児童・障害・高齢などの各分野の福祉施設の認可及び指導監査業務について、新たに設置する「福祉部」が総括して担うことで、業務の効率化を図り、今後も増加する福祉需要と福祉サービスに対応する支援体制を強化してまいります。

今後もすべての世代が、いきいきと健康に暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。

 

4点目が、交流人口の拡大に向けたまちの魅力向上についてです。

コロナ禍においては、屋内での活動や人との交流の機会をはじめ、旅行などの移動が制限されてきたこともあり、これまでの価値観も変わりつつあります。

本市随一の花の名所である、あけぼの山公園及びあけぼの山農業公園は、外出自粛により、余暇やリフレッシュを求めて、ガーデニングや園芸需要が高まっていることなども背景に、市内外から年間約50万人ものかたがたが来園する、花の観光スポットとなっております。

今後、同公園の魅力を更に高めるため、民間事業者と連携し、花を主軸とした事業の展開を進めるとともに、令和5年度には、公園のゾーニングやこれまでの同公園の課題であった交通アクセスの改善に向けた検討を実施し、将来に向けた来園者の利便性向上を図ってまいります。

 

また、都心から一番近い天然湖沼である手賀沼の周辺地域は、道の駅しょうなんをはじめ、手賀の丘公園のキャンプ、アウトドアスポーツや農体験といった様々なコンテンツがあり、市内外から多くのかたを誘客できるポテンシャルがある地域です。

このことから、手賀沼のほとりにある北柏ふるさと公園において、回遊性や滞在環境の向上を目的とした、水辺を楽しむデッキの整備を予定しており、令和5年度は、その整備に向けた設計等に着手してまいります。

今後は、手賀沼を今以上に本市の観光資源として活かすため、手賀沼周辺において、魅力的な水辺環境の整備を進めてまいりたいと考えております。

 

このような取組や地域の魅力を市内外へ効果的に発信するとともに、映画やテレビドラマ、CMなどのロケーションを積極的に誘致するフィルムコミッション業務にも力を入れることで、本市の知名度やイメージを高め、シビックプライドの醸成や、交流人口の増加につながるよう、戦略的に広報活動を実施してまいります。

 

引き続き、本市の特徴でもある都市と自然が共存・調和しながら、それぞれの魅力を補完し、高め合う、持続可能なまちの実現に向けた取組を進めてまいります。

 

5点目が、カーボンニュートラルに向けた脱炭素地域づくりについてです。

気候変動に伴い、近年頻発化・激甚化する災害の発生状況を踏まえまして、1年前の令和4年第1回定例会において、「気候危機宣言」とともに、本市において2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指す、「ゼロカーボンシティ」宣言を行い、今年度、本庁舎における照明設備のLED化をはじめ、電動車の導入など、脱炭素に向けた取組を積極的に実行してまいりました。

 

また、市内の一事業者である柏市役所として、温室効果ガス削減を進めるための基本的な方針として、「柏市地球温暖化対策計画・事務事業編」である「柏市役所ゼロカーボンアクションプラン」を策定いたしました。本プランでは、2030年度の市事業における温室効果ガス排出量について、基準年度である2013年度と比較して、51%以上削減することを目標としております。

この目標を達成するために、令和5年度には、全公共施設の照明設備のLED化をはじめ、既存の公共施設への太陽光発電設備設置の可能性調査や、自治体新電力による電力供給に係る調査を実施してまいります。

 

さらに、市域全体で排出する温室効果ガスの排出抑制及び削減に向けた指針となる「第三期柏市地球温暖化対策計画」の改定も予定しております。

本計画の目標年次は2050年と長期にわたりますが、柏市としても「創エネ・省エネ・蓄エネ」に率先して取り組むことで、ゼロカーボンに向けた機運の醸成を図るとともに、市内事業者の皆様にも照明設備のLED化やEV車の導入を進めていただけるよう、令和5年度より「柏市ゼロカーボンシティ促進総合補助金制度」を開始し、ゼロカーボンシティの実現に向けて取り組んでまいります。

 

6点目が、スタートアップ・創業支援による地域活力の向上についてです。

スタートアップ支援については、令和5年1月に開会した通常国会での岸田総理大臣の施政方針演説においても、今後5年でスタートアップへの投資額十倍増を目指し、未来の日本経済を牽引するような企業を生み出すと述べられておりますが、柏市においても、本市の強みである、柏の葉地区に集積する学術研究機関や産業支援機関と連携し、スタートアップ企業の支援に取り組んでまいります。

具体的には、スタートアップした創成期を支援するため、スタートアップ企業などに対する相談窓口として、コンシェルジュによる支援、創成期において大きな経済的負担となる入居施設の賃料補助、事業内容をPRするためのシンポジウムやビジネスコンテストの実施など、「資金」「拠点」「交流サポート」「周知」の多角的な観点から、総合的にスタートアップを支援してまいります。

これらの取組を通じて、柏市が全国から「スタートアップのまち」として認知され、多様な業種や将来を担うスタートアップ企業が集積することで、公・民・学の連携による新たな産業が創出され続けるまちを目指してまいります。また、新たな産業基盤や産業循環の創出は、市内全域にも経済効果が広がり、地域活力の向上につながるものと期待しております。

 

7点目が、自治体DXを加速させる体制づくりについてです。

デジタル社会を見据えた社会環境や生活基盤の変容に柔軟に対応するためには、行政手続きをはじめ、様々な分野においてデジタル技術の活用が必須であると考えます。

そこで、令和5年度は、行政手続きのDX化の一つとして、SNSを活用したオンライン申請で住民票を取得できるようにするほか、子どもたちの安全・安心を守る、こどもルーム登退園見守りシステムの導入や、セキュリティチェックの品質向上を図るクラウドサービスのセキュリティ診断を導入いたします。

 

なお、オンライン申請については、令和7年度までに、原則として、すべての市民向けの行政手続きのオンライン申請の環境を整え、市民の皆さまが市役所の窓口に来なくても、行政手続きができるようにしてまいりたいと考えております。

今後も様々な分野において、デジタル化を進めるとともに、行政サービスを受けるかたがたに、不利益や不平等が生じないよう、すべてのかたにとってわかりやすく、利用しやすい行政サービスの提供に努めてまいります。

 

以上、市民の皆様をはじめ、議員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げまして、新年度に向けた施政の基本的な方針といたします。

 

続いて、前定例会以降の市政運営における主要な事項について、ご報告申し上げます。

 

まず、財政運営についてです。

令和4年度2月補正予算については、一般会計では、こどもの安心・安全対策として、保育施設と障害児通所支援事業所を対象とした、登園管理システムや見守りタグの導入支援のほか、保育施設における新型コロナウイルス感染症対策、小中学校施設の整備、事業の精算等に係る経費を計上いたしました。また、継続費、繰越明許費、債務負担行為及び地方債について、所要の補正を行います。

特別会計では、国民健康保険事業特別会計で財政調整基金への積立てを行うほか、公設総合地方卸売市場事業特別会計及び柏都市計画事業北柏駅北口土地区画整理事業特別会計で、歳入歳出予算等について所要の補正を行います。

企業会計では、下水道事業会計で事業費の補正を行うほか、企業債の変更を行います。

 

次に、国民健康保険財政についてです。

令和5年度の国民健康保険会計予算案では、新型コロナウイルス感染症の影響や、物価高騰等の社会情勢を鑑み、保険料率を据え置く前提としております。保険料率を据え置くにあたり、国民健康保険財政調整基金はすべて活用いたしますが、11億円の不足が生じることから、一般会計から補うこととしております。

将来にわたり国民健康保険制度を維持していくためには、国民健康保険財政調整基金が枯渇する状況のなか、令和6年度以降の保険料率見直しは避けられないものとなります。

具体的な見直しの内容につきましては、令和5年度に検討を進めてまいります。

 

次に、パートナーシップ・ファミリーシップ制度についてです。
LGBTQなど、性の多様性については、近年、社会的認知や理解が進んできていると認識しております。

こうした社会状況のなか、本市では、「多様な生き方を認め合い、個性を活かせるまち柏」の実現を目指し、パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度を、本年3月15日から実施する予定でございます。

制度の検討にあたっては、先進自治体との情報交換をはじめ、当事者や当事者団体から意見を聞き取り、参考といたしました。

市民にとって利用しやすく、実用性のある制度とするため、引き続き、関係機関及び関連自治体と緊密に調整を図ってまいります。

 

次に、本年4月9日執行予定の千葉県議会議員一般選挙についてです。

選挙管理委員会では、セブンパークアリオ柏に、期日前投票所を新設いたします。新型コロナウイルス感染症対策として、選挙人の投票の分散を図るとともに、今後も選挙人の利便性確保等の観点から、投票環境の整備を行うことで、投票率の向上を図ってまいります。

 

最後に、柏市にゆかりのあるかたがたの活躍についてです。

はじめに、大変喜ばしい出来事でございます。昨年12月に行われました第30回全国中学校駅伝大会におきまして、千葉県代表として参加した酒井根中学校駅伝部が、初出場で優勝を果たすとともに、文部科学大臣賞を受賞しました。

さらに、吹奏楽部においても、第70回全日本吹奏楽コンクールにおいて金賞を、第28回日本管楽合奏コンテスト全国大会では、最優秀グランプリ賞及び文部科学大臣賞を受賞されました。駅伝部・吹奏楽部ともに素晴らしい成績を収められたこと、心よりお祝い申し上げます。

彼らが中学校に入学して以来、この3年間は新型コロナウイルス感染症の影響で、思うように練習ができないこともあったかもしれません。そのような状況のなかでも、できることを考え、自分なりの成果を出せるよう繰り返し厳しい練習を重ねてきたことと思います。

仲間とともに切磋琢磨し、力を伸ばした経験やその人間関係を、これからも大切にして、さらに自らを高めていってほしいと思います。

 

続いて、少し残念なニュースでもございますが、柏市出身のプロ車いすテニスプレーヤーである国枝慎吾選手が現役引退を表明されました。

国枝選手は、幼少の頃より本市で生活し、市内の公益財団法人吉田記念テニス研修センターで車いすテニスと出会って以降、キャリアのなかで、4度のパラリンピック金メダル獲得や、生涯ゴールデンスラムの達成といった数々の偉業を成し遂げるなど、世界最高のアスリートの一人として活躍されてきました。また、本市の市民特別功労賞の最多受賞者となっていることに加え、先日、政府において、これまでの国枝選手の功績をたたえ、国民栄誉賞の授与を検討するとの発表がありました。受賞決定となれば柏市出身者としては初となり、私も一市民として大変うれしく思います。

この度の引退表明は、些かの寂しさを感じるところではありますが、これまで、世界中の人々に感動をもたらし、勇気づけ、夢を与えていただいたことに深く感謝を申し上げるとともに、新たな舞台でのさらなるご活躍を祈念いたします。

 

以上、施政の基本方針と市政運営の主要な事項について、その概要を申し上げましたが、今後も市勢発展のため鋭意努力してまいる所存でありますので、議員各位の一層のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げ、施政方針といたします。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)