(社)305 Basketballで、バスケットリングをまちなかに建てようという活動をしながら、ふと『クニミツの政』を思い出した。少年マガジンに2001年から2005年まで連載されていた安童夕馬原作、朝基まさし漫画の作品だ。
その中で、主人公のクニミツが空き地を整備してテニスコートを作る話があった。
印刷会社に勤める望月くんは、インターハイ準優勝の実績があり、みんなの憧れの存在だった。高校時代、テニスコートが道路になってしまうと反対運動をしたため、母親が理不尽に解雇され、家庭の事情で高校中退。部活動をやめた望月くんがテニスを続けることはできなかった。
ヤケになって、腐っていた望月くんに、クニミツは言った。
「不満があるなら自分でなんとかしろ」、と。
クニミツは、空き地に一人でローラーを引き、地引き網をネットにし、テニスコートとし、隣接する工場で働く人たちを会員に募り、土地の持ち主にも場所代を支払い、望月くんにコーチをお願いしたのだった。
その後、望月くんはアマチュアとしてテニスを再開し、世界的な大会で優勝することになる。
公共事業とは、「公(みんな)」がお金を出し合って「共(とも)」に幸せになるための事業だと、主人公であるクニミツが秘書として仕え、市長選挙に出馬する坂上竜馬は説明した。
その話を聞いて、クニミツは公共事業としてテニスコートを作ったのだった。
公共工事というと、大規模なものや行政による工事をイメージしてしまう。しかし、一部の人のためではなく、社会や地域のためになる事業が公共事業であり、人を豊かにし、幸せにするのだと心を動かされたことを思い出した。
会費の高いテニスクラブではなく、まちなかに中高年の方も、子どもも、うまくてもうまくなくても楽しむことができるテニスコートがあり、部活動を辞めてしまってもテニスを続けられる。
私たち305 Basketballでも、そんな誰もがバスケットを続けられる環境を創っていきたい。