千葉県の林野火災発生件数は全国1位⁉︎-大船渡市の視察と立憲民主党千葉県議員会の代表質問

千葉県議会立憲民主党議員会にて、林野火災について、大船渡市を視察し、今回(2025/06/3)の立憲民主党会派を代表する質問に取り上げました。
2月、3月と発生した大規模な林野火災について、報道では聞いていましたが、現地に来たからこそ分かること、感じること、得られることがあります。
首長の判断に、住民の命と財産が大きく左右されることも思い知らされました。
実際に対応され、そして住民でもある職員の方からのご説明には、胸に迫るものがありました。
以下、質問・答弁の要約とノーカット版の質疑応答です。

【要約版】代表質問者 立憲民主党・菊岡たづ子 議員
近年、岩手県大船渡市や愛媛県今治市、宮崎市、岡山市などで複数の林野火災が発生し、特に大規模な被害が報道されています。
例えば大船渡市では、焼失面積が3370ヘクタールに達し、死者1名、住宅被害102棟などの被害が出ています。
気候変動の影響もあり、隣接する地域でも大規模な火災が発生しており、死者30名を超える被害が報告されています。林野庁の統計によると、近年の平均で年間約1200件の林野火災が発生しており、その多くが冬から春にかけての乾燥した時期に集中しています。火災の原因の多くは焚き火や火入れ、放火などによるものであり、特に焚き火が全体の約30%を占めています。

質問1 千葉県におけるここ3年間の林野火災の発生状況とその原因および全国順位はどうか。

質問2 森林法第21条の規定による火入れに関する市町村条例等の制定状況、および当該条例等に基づく許可制度の運用状況はどうか

質問3 当該条例と未設定の市町村に対し、県はどのように対応するのか。

千葉県内の市町村では、消防法第23条に基づく焚き火や喫煙の制限に関する条例は制定されていないのが現状です。しかし、冬季の乾燥した林野での焚き火は林野火災の原因となる可能性があり、実効的な予防策が求められています。

林野火災の早期消火には、消防体制の強化や他消防本部との連携が必要です。
また、県の地域防災計画には林野火災に関する記載があるものの、内容が陳腐化している部分も見られ、見直しが必要です。
現在、国では大船渡市の火災を踏まえた検討会が開かれており、そこに参加している県関係者の知見を活かした対応が求められています。

質問4 林野火災の予防、林野火災に対する消防力の強化、地域防災計画の見直し等について県は今後どのように対応するのか。

答弁1 副知事 高梨みちえ君

千葉県の林野火災発生件数は、令和3年と5年に全国1位、令和4年には全国4位となっており、主な原因は焚き火や火入れで、全体の5割以上を占めています。
県では、林野火災が大規模化する恐れがあることから、地域防災計画で予防や応急対策を定め、火災予防の広報や消火訓練を実施しています。今
後はSNSを活用した啓発、市町村の消防体制整備支援、国の検証結果を踏まえた計画見直しなどを通じて、林野火災の予防と対応力強化に取り組んでいきます。

答弁2   副知事 黒野嘉之君

森林法に基づく火入れは害虫駆除などを目的とした焼却行為で、市町村の許可と指示に従って実施する必要があります。
本県では39市町村が関連条例を制定し、年間約200件の火入れが許可されています。県は未制定の15市町の状況を確認しつつ、必要に応じて条例制定を促し、林野火災対策に引き続き取り組んでいきます。


ノーカット版  代表質問者 立憲民主党・菊岡たづ子 議員

林野火災対策についてです。

なお報道等では、森林火災、山林火災、山火事等と称していますが、以下は林野庁が使用している林野火災を用いて質問します。
今年にあり、岩手県大船渡市、愛媛県今治市、宮崎市、岡山市などで林野火災が発生し、大きく報道されました。
我が会派では、網中議員の声かけにより融資議員で大船渡市の林野火災現場を視察いたしました。
大船渡市の例では、焼失面積3370ヘクタール、これは東京ドーム730個、大船渡市の面積の約10%に相当し、死者1名、住家被害102棟が生じるなど大規模な林野火災となりました。
気候変動等の影響もあり、お隣の管区でも3月に大規模な林野火災が発生し、焼失面積約4万8000ヘクタール死者は30名にのぼり、歴史的な人、住宅、工場などおよそ4000件の建造物が焼失したとのことです。
林野庁の統計によれば、林野火災は昭和49年の年間約8200件をピークに減少傾向となっているものの、令和元年からの5年間の平均を見ると、年間で1200件の林野火災が発生している状況です。
林野火災の発生の時期を見ると、約7割は冬から春に向けて集中して発生しており、その原因として大気が乾燥していること、乾燥した落ち葉が堆積していること、風が強いことなどが挙げられます。
そして発生した林野火災のうち、原因が明らかになっているものを原因順に並べると、焚き火が全体の約30%を占めており、次いで、火入れ、疑いを含む放火、タバコ、火遊びの順になっています。

そこで伺いますが、本県におけるここ3年間の林野火災の発生状況とその原因および全国順位はどうか。

また、森林法第21条の規定による火入れに関する市町村条例等の制定状況、および当該条例等に基づく許可制度の運用状況はどうか。

また、当該条例と未設定の市町村に対し、県はどのように対応するのか。

また、消防法第23条に規定されている一定区域における焚き火、喫煙の制限について県内市町村では実態として条例を制定して、その制限をしている市町村はない状況となっています。
しかし乾燥した落ち葉が堆積した冬季の林野における焚き火等については、飛び火等によって林野火災の原因となる可能性もあり、実効的な予防対策が必要と考えます。
そして発生してしまった林野火災を早期に消火するためには、消防職員、消防機材の強化充実の他、他の消防本部との広域的かつ有機的な連携などが強く求められます。
また、県の地域防災計画において、林野火災についての記載があるものの、その内容は陳腐化軽減化していると思われる箇所も多い状況となっています。
現在国においては、総務省消防庁と林野庁が共同で、大船渡市、林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会を開催しており、これには青柳防災危機管理部長が委員として参加していることからも、その知見を踏まえた県の対応が求められます。

そこで伺いますが、林野火災の予防、林野火災に対する消防力の強化、地域防災計画の見直し等について県は今後どのように対応するのか。

答弁1 副知事 高梨みちえ君

林野火災対策についてお答えいたします。

林野火災の発生状況や原因などに関するご質問ですが、消防庁が公表している消防統計によると、本県における林野火災の発生状況については、令和3年は80件で全国1位、令和4年は59件で全国4位、令和5年は83件で全国1位となっています。
また、発生原因については、いずれの年においても、焚き火と森林法の許可に基づき、雑草等を焼却する火入れが上位を占めており、発生件数の5割を超えています。
林野火災の予防や消防力の強化、地域防災計画に関するご質問ですが、林野火災は1度発生すると、気象状況などにより大規模な火災となる恐れがあることから、県では、地域防災計画において、火災の発生予防や応急対策について定めています。
具体的な取り組みとしては、林野火災の恐れが高まる時期に、県民だよりやFMラジオなどによる火災予防の啓発活動を実施している他、昨年5月には、林野火災を想定した消防や自衛隊のヘリコプターによる消火訓練を実施するなど、関係機関との連携強化を図っているところです。
今後とも、SNSを活用した火災予防の啓発や、市町村が行う消防車両や資機材の整備を支援するとともに、国による豊富な都市での林野火災の検証状況なども踏まえ、必要に応じて地域防災計画を見直すなど、林野火災の予防と対応力強化に取り組んでまいります。

答弁2  副知事 黒野嘉之君

森林法に基づく火入れについてのご質問ですが、森林法に基づく火入れは、害虫駆除等を目的として森林や周辺の雑草等を面的に焼却する行為であり、これを実施する場合は市町村の条例等に基づく許可を受け、その指示に従って実施しなければならないとされております。
本県においては、39市町村が火入れに関する条例や規則を制定し、その目的や方法、防火対策などを審査した上で許可しており、直近の件数は県全体で年間約200件程度となっております。
県としては条例等未制定の15市町の状況を確認しながら必要に応じて条例等の制定を促していくなど、引き続き林野火災対策に取り組んでまいります。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)