「水道管の老朽化」と「マンション配管の老朽化」——混同されがちな2つの問題を整理する

千葉県議会議員として、水道管の老朽化問題を継続的に取り上げてきた。

千葉県内の水道管は、法定耐用年数(40年)を超えた老朽管が多数存在しており、管路更新率も全国的に見て課題のある水準にある。この問題は県政・市政レベルで取り組むべき「公の責任」の話だ。

一方で最近、こんな声をいただくことが増えた。

「先生が話している水道管の老朽化って、うちのマンションも関係ありますか?」

この問いに、今日は正面から答えたい。

まず「水はどこを通って届くのか」を整理する

蛇口から出る水は、大きく分けて2つの段階を経て届く。

① 公道下の水道本管(自治体・水道事業体が管理)

地面の下を走る公的な水道管のこと。これが老朽化し、漏水や断水が起きるリスクを、私はこれまで議会で問い続けてきた。法定耐用年数を超えた管の更新が追いつかない現状は、行政が責任を持って解決すべき課題だ。

② マンション・建物内の給排水管(所有者・管理組合が管理)

敷地内に引き込んだ先、建物の中を走る配管は「所有者側の資産」だ。ここの維持管理は、行政ではなく管理組合や区分所有者の責任になる。

この2つは、責任の所在がまったく異なる。

マンション配管の老朽化は「静かな問題」だ

先日、マンション管理に関する新聞記事が目に留まった。

1974年以前に建てられた築古マンションほど、管理計画認定の取得率が高い傾向があるというデータが示されていた。一見「古いマンションの方が管理意識が高い」ように見えるが、見方を変えると、築古物件ほど問題意識が切実だということでもある。

マンションの給排水管は、一般的に築30〜40年を目安に更新が必要とされる。しかし実際には、「見えない場所にある」「工事が大規模になる」「費用をどう分担するか合意が難しい」という理由で、後回しにされがちだ。

水漏れが起きてから初めて気づく。階下への漏水被害が出てから慌てる。そういうケースが少なくない。

「誰の問題か」をはっきりさせることが、最初の一歩

マンションの配管問題は、行政が直接解決できる範囲は限られている。ただ、まったく無関係かというとそうではない。

たとえば、管理不全マンションへの行政関与の仕組みや、マンション管理適正化法に基づく指導・助言の体制づくりは、県政レベルでも議論できるテーマだと私は考えている。

また、区分所有者への情報提供や、管理組合の活動を支援する仕組みを地域でどう整えるかも、重要な論点だ。

問いかけとして

「水道管が古い」という話を聞いたとき、それが「公道の下の話」なのか「自分が住む建物の話」なのかを区別して考えることが、まず大切だと思っている。

前者は行政の責任。後者は自分たちの問題。どちらも「老朽化」という言葉で語られるが、対応すべき主体がまったく違う。

あなたが住むマンションや建物の給排水管は、いつ点検・更新されましたか?

管理組合の総会で、配管の話が出たことはありますか?

「蛇口から水が出て当たり前」という感覚は、公的インフラへの信頼であり、同時に建物内の見えないインフラへの無関心でもあるかもしれない。そのことを、今日の新聞記事を読みながら改めて考えた。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)