カリフォルニア州副知事・元サンフランシスコ市長が書いた『未来政府』を読みました。
読むまでは、起業家政治家の武勇伝や「民営化すべし」といった内容であろうと疑っていましたが、大きな勘違いでした。
「いかに市民の自治を実現させるか」に挑戦し続けた著者の政治理念にもとづき、全米の自治体で展開されているIT技術を活用した最新の事例を集めたもので、柏市の具体的な政策を考えるためのヒントが詰まっていました。
地方自治体は、社会課題の最前線に立ち、イノベーションを起こしていく場である。
テクノロジーを生かし、地方自治の本質を変えていく。
オープンであること。
iPhoneのアプリ開発が外部の企業などに開かれているように、政府も行政データを公開し、解決は市民に任せるべきである。つまり、政府はプラットフォームであるべきなのだ。
一部の組織のためでなく、市民全体のための政治を。
日本でも住民投票が増えている。しかし、この住民投票は、従来と同様に、利権団体のための手段になってしまうことが指摘されている。
これまで行われてきたロビー活動もオープンにされていかなければならないし、声の強い団体の意見が通りやすいような状況を変えなければならない。
アメリカ建国当時にニューイングランドで最小の自治単位だった「タウンシップ」は、市民が集い、交流し、市民参加と公教育が行われる場だった。
著者は、この「タウンシップ」の現代版として、「市民が集まり、社会的ニーズを自足し、人々がコモンウェルスを育成・強化する場」を目指している。
これは、私のモットーである「一揆」に近い考えです。
一揆とは、ある目的をもって組織や集団を作ること、そして作られた集団自体のことです。
https://y-yamasita.com/yamassington-post/847.php
現代人の生活、IT化された社会にあった行政運営や市民の意見が生かされる実効性について、多くの事例が紹介されています。地方自治体では、党派政治ではなく、実務が求められる。武器供給ではなく、水の供給。落書きを消すやり方に共和党流も民主党流もない。
まさに、その通りだと思います。私が政党に属さないのも、国政の議論を地方議会で持ち込むものではないと考えているからです。
私は、週に1冊くらい本を読みます。ただ、この1か月間は、議会の準備のため同時並行で何冊も読んでいたので、なんとなく読み始めた『未来政府』は1か月以上、カバンにいれていました。そのおかげで、沢山の方に本書をご紹介いたしました。
そして意見交換することができました。
さて、今回の議会で、オープンデータの推進について質問しました。
オープンデータとは、広く開かれた利用が許可されているデータのことです。行政機関が保有する地理空間情報、防災・減災情報、調達情報、統計情報などの公共データを、利用しやすい形で公開することを指すのが一般的です。
国がまとめた「電子行政オープンデータ戦略」では、オープンデータに対する期待を、「オープンデータ推進の目的・意義」として、(1)透明性・信頼性の向上、(2)市民参加・官民協働の推進、(3)経済の活性化・行政の効率化の3つをあげています。
たとえば、福井県鯖江市では、国の方向性を受け、できるところから、オープンデータ化に取り組んでいます。具体的には、ホームページで公開する情報を多方面で利用できるXML,RDFで積極的に公開すし”データシティ鯖江”を目指しています。
アメリカでは、Code for Americaという団体が、行政が抱える課題解決のため、ITエンジニアを自治体に派遣し、市民協働が行われています。
オープンデータだけでなく、市民が参加しやすい仕組みづくりやセキュリティの問題など、柏市の情報政策について、もっと重きを置く必要があると考えています。
専門家の配置など、体制や予算の充実が求められています。
テクノロジーを活用したタウンミーティングについても提案しました。
これまで静岡県牧之原市やソウル市などの事例をもとに、市民と情報を共有し、市民の意見やアイデアを集め、合意形成をはかり、市民とともに柏市を運営していくためのタウンミーティングについて提案してきました。
テクノロジーは日々進歩し、活用しやすくなっています。たとえば、スマートフォンのような道具を使えば、市民集会にわざわざ出かけ、声の大きい人々と議論しなくても、席に座ったまま、自宅にいても、意見を表明でき、それぞれの意思表示には平等な価値が置かれ、投票することができます。サンフランシスコ市では、公平な予算編成に活かしたという事例もあります。