2016年のノーベル平和賞は、コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領に贈られるという発表を聴き、コロンビアの子ども平和運動のことを思い出しました。
コロンビアでは50年以上にわたって内戦が続き、ゲリラや麻薬マフィアによる暴力があふれ、親が殺され、子どもが誘拐され、子どもたちは社会を信じられない状況です。
そんな中、生徒会から集まった5000人の子どもたちが、暴力や子どもの権利について話し合い、平和を求める声をあげたのです。
みんなで集まって、戦争と平和と子どもたちの権利について話し合う「子ども議会」。カウンセラーの勉強をして、心に傷を負った子どもたちのための遊び場を作る「平和カーニバル」。自分たちが大切と思う権利を社会に発信する「子ども投票」。
「子ども投票」では、人口の3分の1にあたる270万人もの子どもが投票しました。これまでは生命の危険もあり、平和運動は一部の人たちだけで行われていました。そして、なんと、投票日となった1996年10月25日は、一日、銃声が響くことはありませんでした。
子どもたちの一連の活動は、1998年、1999年、2000年にノーベル平和賞候補となりました。
私は、柏のまちに対話の文化を根付かせたいと、「柏まちなかカレッジ」の活動を続けてきました。オープンな対話の場を作り、考えの違いを認め合える文化を培うことは、コロンビアの子ども平和運動から学んだところもあります。
ユネスコ憲章の前文には、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」とあります。
身近な地域活動から、民主的なコミュニティや「人の心の中の平和のとりで」を築き、世界平和へつながげていくことを目指しています。
最後に、コロンビアで子どもたちが策定した宣言をご紹介します。
「私たちは戦争をするあらゆる党派の人に、私たちの家庭の平和を守るよう請願します。子どもを孤児にしないこと、通りで自由に遊べるようにすること、小さな兄弟姉妹に危害を加えないことを。将来私たちの子どもが、私たちが経験したのと同じ苦しみがないよう、これらのことを請願します」
※参考 ユニセフ子ども物語