先日、ロンドンにあるサザビーズのオークションで、「少女と風船」と名づけられていた絵が、100万ポンド(約1億5000万円)で落札された直後、額縁に仕掛けられたシュレッダーにより自壊したニュースが話題となりました。
ちょうどその前に、キネマ旬報シアターにて、『バンクシーを盗んだ男』を観ました。
正体不明のストリートアーティストであるバンクシーを題材にしたドキュメンタリー映画です。
パレスチナ・ベツレヘム地区やアートのことを考えるきっかけとなりました。
バンクシーは、ロンドンを中心に、世界各地で反権力的なグラフィティを描くことで注目されています。
日本の中世にも、「二条河原の落書」のように、政治•社会を風刺•批判したグラフィティのような作品がありました。
『バンクシーを盗んだ男』は、イスラエルがヨルダン川西岸地区の境界に建設した高さ8m全長450kmにわたる分離壁に、グラフィティを描いています。
その中に、「ロバと兵士」という作品が住民の反感を買い、壁から切り出され、ネットオークションに出品されてしまい、引き起こされた議論が、パレスチナ人のタクシー運転手の目を中心に紹介されていきます。
グラフィティの著作権や所有権、描かれた場所から切り離されたグラフィティの価値など、ストリートアートの課題が示されています。
また、パレスチナと西洋文化、あるいは市民の生活と美術界などについても考えさせられました。
ナレーションは、イギー•ポップでした。