国立教育政策研究所主催の文教施設研究講演会「アクティブ•ラーニングと教室空間〜国内外の先進事例のケーススタディ」をお聴きしました。
リヒテルズ直子さんから、「オランダの学校建築をめぐる制度的枠組みと現状-教育理念と教育環境の整合性を目指して」では、まず、教育理念や学校の設立など、オランダの教育の概要をご説明頂いた上で、小学校に、保育園や住民組織、福祉ボランティア、行政機関、住宅協同組合など、様々な組織が一つ屋根の下で協働し、相乗効果を生み出すワイドスクール(学校の複合施設化)という、最近の潮流についてご紹介頂きました。
今、まさに私が今年のテーマとして研究していたことでした。
全国の自治体では、人口減少が予測され、30-40年前の人口増加時代に建てられた公共施設が改修の時期を迎え、リストラしていかなければならない状況です。
地方自治体の持つ公共施設で多くを占めるのが、学校施設です。
子どもの数の減少を受け、学校の統廃合が進みますが、避難所や投票所としての機能だけでなく、地域コミュニティの拠点であり、地域の希望としての存在も見過ごすことはできません。
小規模校ならではの教育内容の魅力については、これまで研究してきました。
•大規模校では難しい、教員の目の行き届く少人数での教育。
•自然環境豊かな地域での活動。
•複式学級ならではの、異年齢交流による学び。この点は、イエナプラン教育が、日本の地方での公教育を支えていくと信じています。
今年は、教育内容のみならず、公共施設のあり方として、教育施設の複合化や学校施設管理のあり方について、柏市から全国に投げかけていこうと準備を進めていたところです。
そんなタイミングで、リヒテルズさんから力強い事例の紹介と激励のお声かけを頂きました。
ヒュバート・ウィンタース(Hubert Winters) さんから、「教育のビジョンを学校の形へ From Vision toForm」では、オランダでの事例を写真を交えて、ご紹介頂きました。
ワクワクする仕掛け、対話に適した場、保護者や職員同士のコミュニケーションの場でもあるカフェ、静寂のスペース、創造性を育む遊び場など、いわゆる「学力」だけでなく多様な知性(Multiple Intelligences)を伸ばすための環境を整えられています。
ヒュバートさんからも、重度障害児も一緒に学べるようにしたワイドスクールの事例が紹介されました。
柳澤要さんから、「アクティブ・ラーニングと教室空間~国内外の先進事例のケーススタディ~」として、大学でのご自身の実践などをご紹介頂きました。
アクティブ•ラーニングの講演会なのに、座って話を聴くだけというのは何だということで、ヒュバートさんによるワークショップで締めくくられました。
チームで教育理念と学校方針を考え、それを実現させるための学校施設の図面を描くというワークでした。
限られた時間内に、用地面積や必要施設などの条件もあり、ハードなワークでした。
講演内容を定着させるためには、素晴らしいプログラムだと実感しました。
校舎の姿が教育のあり方を決めるのではなく、未来社会のビジョンがあり、そのための教育ビジョンを形にしていくための校舎を考えていかなければならないというメッセージを受け取りました。