この数日間、マレーシアのクアラルンプールを訪問していました(※私費です)。
目的は、日本の子どもたちが、世界中の子どもたちと学び合える環境を作るためです。
通信技術が発達し、気軽に世界中の人々とコミュニケーションが取れるようになりました。文明の利器を活用し、クアラルンプールの教室と柏の教室をつないでいこうと考えています。
市内全体の学校で実践するには時間がかかりそうですが、まずは身近なミライ社会研究所αやPowerLabなどで、実験的に始めてみます。
日本にいながらでも、視野を広げ、日常の中に発見が生まれるような学習環境を整えていきます。
新学習指導要領にて、アクティブラーニングや課題解決学習が求められています。
子どもたちが自発的に学び、教員は教え込まないということは、教員が何もしないということではありません。
教員は、学ぶ機会や環境を整え、子どもたちの学びが広がるような働きかけが重要になってきます。
また、アクティブラーニングは、教室の中での子どもたち個人の活動だけではなく、学校や地域全体がアクティブな学びを作っていくものだと、私は考えます。
教員個人に任せるのではなく、学校や教育委員会の組織的な働きかけも必要です。
教員個人ではなく、学校や教育委員会がシステムとして機能してこそ、すべての子どもたちの教育を保障することになります。
すでに100年以上前に、デューイやキルパトリックら教育哲学者らによって、アクティブラーニングや課題解決学習の理論は完成しています。
日本でも、終戦直後の昭和 20 年代前半に、山形県の雪深い山村の中学校で、無着成恭氏による実践があり、今日でも評価すべきものと思います。
その実践は、『山びこ学校』という作文集から知ることができます。
『山びこ学校』では、「なぜ、自分たちの村は貧しいのだろう?」といった自分たちの課題に向き合っています。
現代のマニュアル化された教材に書かれた課題とは違い、切実です。
また、『山びこ学校』では、同じような実践をしている各地の学校と文通し、その地域の生きた情報やその土地の農作物などから子どもたちは学んでいる事例もあります。
当時は文通という手段でしたが、今日ではインターネットを使った会議システムなどを活用することができます。
先人たちの研究や実践を生かし、現代にあった形を追求していきたいです。
与えられた課題に取り組むだけでなく、自分たちで課題を発見することは難しいものです。
現代日本の、自分たちの地域だけでなく、教室や学校の中に、他の国や地域の視点が加わることで、社会の見え方や考え方を深めることにつながります。
クアラルンプールは、日本と時差1時間。英語を母国語としていません。マレー系、中華系、インド系など多様な人々が暮らしています。
子どもの頃から、生きた社会から学ぶことは、貴重だと考えています。
※藤井千春『「山びこ学校」の教育的意義の再評価 ―ジョン・デューイの「公共性」概念を観点にして―』
大学院でお世話になった藤井千春先生の論文です。