上諏訪のリビルディングセンターに立ち寄りました。
いま、自分がどの時代にいるのか、どこにいるのか、分からなくなってしまう感覚を味わいました。素材の持つ力を感じます。
建築資材のリサイクルショップです。
役目を終え、解体される建物から、家具や建具や木材をレスキューして販売しています。
古いものを別の形や別の用途に使うなど、捨てられてしまいそうだったものに新しい命を吹き込んでいます。
「次の世代につないでいきたいモノと文化を掬いあげ、再構築し、楽しくたくましく生きていけるこれからの景色を、デザインしていきます。」と、リビルディングセンターが発行している冊子「ReBuilding New Culture」 に、そのビジョンが示されています。
冊子を読んでいると、単に建築資材のリサイクルショップという存在ではなく、「欲しいものは自分の手で作っていく」という文化を育むカルチャーセンターだというメッセージが伝わってきます。
古材を使った空間設計も行われています。
「live in sense」というカフェも併設され、内装はレスキューしてきた家具と古材でできています。
金継ぎのワークショップが開催されるなど、これまで古材や古道具に興味のなかった人にも間口を広げる役割を果たしています。
サポーターズ制度もあり、お客さんーお店のスタッフという関係ではないコミュニティとなっているようです。
この制度は、参考になりました。
リビルディングセンターが設計・施工した実例として、私が注目しているバリューブックスのBOOKBUSが紹介されていました。
本屋のない街にも、本を届けたいという移動書店です。
リビルディングセンター(Rebuilding Center)は、もともとオレゴン州ポートランドの組織です。
Rebuilding Center JAPAN代表取締役の東野さんご夫妻は、新婚旅行に行ったポートランドでリビルディングセンターに出会ったそうです。我が家も新婚旅行がポートランドだったので、親しみを感じます。
私自身、古い家で生まれ育ったので、家の持つ魅力やご先祖様の存在
とともに、もし、家を解体しなければならなくなった時の寂しさや悲しさや無念さを想像することができます。
このリビルディングセンターのレスキュー活動は、古材や家具だけでなく、手放さざるを得なかった大家さんをも助けていることに大きな可能性を感じました。
駅からリビルディングセンターに歩いて行く途中の街並みから、ここに生まれた風土のようなものを感じることができました。
行かなければ分からないというのが、旅や出張の醍醐味ですね。