学校図書館を原動力に、授業の質を高める提案

【「学校司書」を初めて法制化】
図書館法が定める「図書館司書」とは違い、学校図書館法による根拠規定がなかった、学校図書館に勤める「学校司書」「司書教諭」と通称されてきた学校職員について、初めて「学校司書」として法制化する「学校図書館法改正案」が、超党派で提出され、審議され、可決されました。

今日も、図書館のあり方について、専門家やまちの方と意見交換いたしました。学校図書館の活用方法は、学校によって差があります。柏市では、学校図書館アドバイザー、司書教諭、学校図書館指導員を配置し、学校図書館を支援しています。この改正案によって、学校図書館のさらなる充実を期待しています。

私は、学校図書館が、「受け身の学習」から「探究する学び」の原動力になると考えています。市内の小中学校の学校図書館をネットワーク化し、学校図書館支援センター機能を中央図書館や子ども図書館に置き、現場の学校や図書館指導員をサポートし、授業の質を維持する仕組みを、議会(2014年第1回定例会)からも提案してきました。これからも、実現に向けて取り組んでまいります。

以下、『BE-COM1月号 vol.255』 (2014.1.1 BE・COMときわ通信発行)に掲載より引用

               文化の拠点となる図書館のあり方
【柏市中央図書館の現状】
秋山市長は新図書館建設など大規模開発中止を主張し、初当選を果たしたのが四年前である。柏駅前の再開発ビルの工事は進むが、図書館が入る計画はない。今なお、新図書館を求める市民の声は根強い。
現在、柏市中央図書館は、市役所や中央公民館の近くに位置し、施設の老朽化に耐えながら、その役割を担っている。「人を通して本を知る.本を通して人を知る」という本の紹介ゲームであるビブリオバトルや市民の課題解決に役立つ本の企画展示など、図書館職員の頑張りは評価されるところである。また公立では日本で二番目に小さいというプラネタリウムは、市民団体によって献身的に運営されている。
図書館の仕事が多様化し、多忙化する一方で、図書館の予算は減らされている。サービスの低下と施設の老朽化により、図書館の魅力は薄れ、市民の不満は募る。

【文化の核となる公立図書館】
佐賀県武雄市で建設された市立図書館は、賛否は分かれるが、全国からの注目を集めている。TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブを当館の指定管理者とし、蔵書数20万冊、年中無休とし、開館時間を9時から21時に拡大した。スターバックスコーヒーを併設し、上質のデザインである代官山蔦屋書店を手本とした図書館である。柏でも多くの市民から、武雄市のような図書館を作ればいいのにという声をお聞きする。
私は、図書館の指定管理者制度には、否定的である。しかし、柏市がお金をかけて図書館サービスを向上させようという意思がないのであれば、指定管理者制度を導入し、せめてサービスの維持を検討すべきとも思う。
私が議会にて質問したところ、柏市当局からは以下のような答弁であった。図書館が蓄積してきた経験や知識といった知的資産を行政が手放してしまうのではなく、継承していくべきものであり慎重に検討したい、と。その通りだと、私も思う。
それなのに、現状は図書館に専門職を採用せず、後進の育成を怠っている。現在の職員が退職・異動となると、その知識経験は途絶えてしまう。これでは、図書館が抱える課題を先送りにしているだけであり、具体的な解決策も、将来のビジョンも示されていない。
まずは、図書館職員の人材育成が急務である。そして、公立の図書館は、成熟した地域文化を育んでいく役割を担っていくべきである。

【生涯学習の拠点としての図書館】
図書館は、生涯学習の拠点である。柏市では、1歳6か月児健康診査時に来場した親子にボランティアがメッセージを添えて絵本を手渡すブックスタート事業から、子ども図書館、学校図書館指導員による授業支援、近隣の大学や地域団体との連携など、新生児から高齢者の生涯学習の場となっている。それぞれの事業の相乗効果をデザインし、世代間交流を促していく役割も期待したい。
たとえば、沼南庁舎にある柏市子ども図書館は、乳幼児とその保護者を主な対象者とし、子育て支援センターのような役割を果たしている。乳幼児の本との出会いの場、親と子の読書活動の普及の場となる他、子育てや親子の健康に関する情報提供、読み聞かせボランティアの育成・研修・交流なども行い、「絵本を通した子育て・ボランティア支援事業」を推進することを目的とした施設である。柏市郷土博物館が二階にあり、歴史愛好家たちから地域の歴史を聴くという企画も考えられる。教育委員会も沼南庁舎にあるので、教育相談とも連携していくことも可能である。図書館を拠点にした教育・文化センターを実現していくことが考えられる。

【学校教育を支える図書館】
市川市や袖ヶ浦市では、市内の学校図書館をネットワーク化するだけではなく、公共図書館や市内の博物館など生涯学習施設との連携や市民ボランティア団体との協働をコーディネートしている。
情報の更新が早い、これからの時代において、知識を持っていることよりも、むしろ知識を得る方法を知っているかどうかが重要になってくる。学校では、調べる方法など、自ら学ぶ力を育てていこうとしている。このような流れで、学校図書館は、読書活動だけでなく、学習や研究を支える役割を果たしている。いつでも、誰でも自由に使うことができ、開かれた学校作りを実現している。
柏市の小中学校には、図書館指導員が入って、授業をサポートしている。いわゆる学力にも効果が出ている。図書館は、学校の授業を支える役割も担っており、学校図書館支援センターとしての役割も、今後は果たしていくべきではないかと、私は考えている。

【新図書館はどうなるか?】
新図書館建設には、お金がかかるのは事実である。しかし、現在の中央図書館を改修するにもお金はかかる。ゼロベースで考え直すべき問題であることは確かである。
PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)という公共施設の建設、維持管理・運営を民間資金や経営能力及び技術的能力を活用して行う手法や、社会インフラに民間資本を投資する仕組みなど、今、様々な方法が実践されている。
また、徳島市では、大型デパートが入った駅前ビルの空きフロアに図書館を移したことで、デパートや駅前が活性化したという。「新しく建設するか、改修するか」だけが選択肢ではないのだ。図書館が、地域の活性化の拠点となると認められてきている。
子育て支援や学校教育支援、生涯学習や市民活動、世代間交流、そして地域文化の拠点といった、読書活動だけにとどまらない図書館機能が期待されている。公立の図書館が地域でどのような役割を果たすべきか、建物そのものや蔵書の意味も考え直していかなければならない。

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)