以下、『BE-COM 9月号 vol.239』 (2012.9.1 BE・COMときわ通信発行)に掲載より引用
「幸せの経済学」を観て
【映画の内容】
「幸せの経済学」とは、「本当の幸せとは何か」を考えさせられるドキュメンタリー映画である。経済学と言っても、難しい学問的な話ではない。私たちの身近な生活から、考えるきっかけを与えてくれる話である。社会や経済の全体像を分析したものではなく、希望ある未来へむけての強いメッセージを発信している。
この映画監督であるヘレナ・ノーバーグ・ホッジさんは、1975年に、ヒマラヤの辺境・ラダックという村を訪れ、伝統文化を守りながら心豊かに暮らす人々に出会い、それ以来、経済成長による価値観とは違う「豊かさ」について考えてきた。
この映画では、消費文化に翻弄されるラダックの人びとの姿をもとに、グローバリゼーションの負の側面を指摘し、その解決策として、「ローカリゼーション」という考えを提示している。
【ローカリゼーションとは】
ローカリゼーションとは、生産地と消費地、生産者と消費者、人々と自然界の距離を縮めることを言う。地域の小さなビジネスを再評価し、多国籍企業に依存するようになってしまった地域を、もう一度自立させること。
世界的な経済不況においても、多様な社会は強い。地域経済も、地元企業の団結が進められ、小規模なビジネスやローカルビジネスがしっかりと存在することで、持続可能な社会を実現できると考えられる。
金融の地産地消という考えもある。信用金庫は、銀行のローカリゼーションを、より強く打ち出していくことで存在感が出ると思う。商工会議所は、地域の中小企業を支援しているが、よりローカリゼーションを推進していくことで、大きな存在となり得るのではないだろうか。
グローバル化を拒むことは、世界に背を向け、国際的な交流を避けることではない。地球規模の課題を解決するには国際的な協力は必要である。誤解のないよう、「幸福の経済学」では付け加えている
【多様な価値観が共存する社会】
私たち若い世代は、今まで社会で当然のように「幸せ」とされてきたモノやコトに疑念を持ち始めている。特に、従来の経済成長一辺倒の価値観がすべてではないと気づき始めている。
しかし、では、「私たちの幸せは何か」と尋ねられるとすぐには答えられる人は多くはない。この映画では、切り離されてしまった人と人、人と自然とのつながりを取り戻し、地域社会の絆を強めていくことに希望を見出している。
こういった価値観だけが、素晴らしいというわけではない。今まで、当たり前に受け入れてきた価値観を、もう一度見直す。多様な価値観があることに気が付く。
たとえば、就職状況について見ると、価値観が画一化すればするほど、厳しくなる。町工場より大企業の方が、市役所職員より国家公務員の方が、市会議員より国会議員の方が偉いというわけではない。それぞれ役割が違うのだ。
様々な価値観が存在する社会こそ、生物界と同じで、持続可能な社会と言える。
【これからはローカルの時代】
社会システムが巨大化し、自分が無力に感じてしまう。中央が混迷を極め、何も決められない。そんな時代において、地に足の着いた、地域密着の活動に、私はチャンスがあると考えている。
たとえば、中央省庁や国会議員へ働きかける。中央政権を打倒し、革命を起こす。これらは、トップダウンによる方法である。そうではなく、各地で起こっている小さな改革をつないでいく。それぞれの経験やノウハウを共有し、横のつながりを強めていく。中央を通さずに、草の根から静かに革命を起こしていく。
中央を通さないことで、マスコミに騒がれることなく、いつの間にか社会が変革している。こういう動きが活発になると、BE-COMのようなローカルメディアの重要性が高まってくるだろう。
まさに、グローバルからローカルへ。
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「幸せの経済学」上映・トークショー開催
※埼玉県小川町の小瀬田プロジェクトの方をお招きし、トークショーも企画しています。
【日時】2012年9月29日(土) 開場 13:30 開演 14:00 終了17:00
【場所】アミュゼ柏1F プラザ(千葉県柏市柏6丁目-2-22)
【料金】1,500円(大人・子供共通)
【申し込み方法】・電話 04-7170-0668(山下宛)へお名前、連絡先(電話番号)、人数をお伝え下さい。
【定員】100人
【主催】 チーム柏幸せの経済学上映会
【共催】 柏まちなかカレッジ
【後援】柏市