元ぐーたら大学生の地方議員インターン活動記録 Vol.5「ネット献金の歴史」

皆さんお久しぶりです。宮島凱生です。活動記録Vol.4が100viewの大台に乗り嬉しさとともに若干の不安がこみ上げてくる日々を送っています。いつもご覧頂きありがとうございます。

さて、今回は山下さんから「ネット献金を始めたいから色々調べてみて」という非常に明快かつアバウトな指令を受けたのでそれについて書いていこうと思います。

皆さんは「政治献金」という単語をマイナスイメージのものとして捉えてはいないでしょうか。私は学習塾の講師のアルバイトもやっているのですが、少なくとも中学生までの社会科で政治献金について教えた記憶はありません。
最近の報道やそれに付随するTwitter等を見ていると、極端な例で言えば献金を賄賂と同じ単語だと思っている人も見受けられます。そこで今回はそもそも献金とはなにかについて見ていこうと思います。

政治家が政治活動をするのにあたって、お金は必要不可欠です。選挙に出るにも選挙資金がいります。
一般的な市議会議員選挙では200万円から800万円かかると言われています。その内訳としては、まず供託金と呼ばれる「無責任な立候補を防ぐため」に一時法務局に預けるお金が30〜50万円、さらには選挙事務所の家賃、そこで働く事務員への報酬、ポスター類の印刷・広告費、選挙カーのレンタル代などなど…我々が普段想像しないところで多額のお金がかかっています。
※ポスター代や選挙カー代は、一定の条件を満たせば、公費で支払われます(後払いですが)。

参議院議員選挙になると選挙資金は6000万円近くかかるとも言われ、これをすべて個人で賄わなければいけないとなると、結果的に一部の富裕層のみが被選挙権を独占することになってしまいます。民主主義国家である我が国としては許容できない話です。

そこで登場するのが「献金」です。推しの俳優やアイドルを「応援したい」という気持ちでグッズを買うのと何ら変わりはないでしょう。「この人に政治をしてほしい!」という政治家に対して、個人が選挙資金を献金する。これがクリーンな政治献金です。

政治献金は、個人として行う分には何の問題もありませんが、企業や団体として献金を行う場合には政党や政治資金団体に対して献金しなければなりません。
企業や団体として政治家個人に対して献金することはできませんが、その政党や政治資金団体から政治家個人に対して献金を渡すという一種の”抜け穴”も存在しています。

つまるところ献金とは、応援したい政治家に選挙や政治活動のための資金をカンパすることであり、その方法や限度額等を守れば全くクリーンで、かつどのような経済的状況の人でも声を上げることが可能となる民主的な制度と言えます。

さて、今回私が調査を命ぜられた「ネット献金」。
その歴史は案外古く、2001年にはすでに試みられていました。
自民党は2001年に支持者に対してネット献金を呼びかけましたが2003年には中止。運営会社の都合とされましたが中止理由は不明です。
旧民主党も2001年にネット献金をはじめましたが、ネットの申し込みフォームに連絡先を入力すると振込先口座が通知される程度のものだったようです。

ネット献金に転機が訪れたのは2008年の米大統領選挙。オバマ陣営の献金者は310万人を超え、献金額は一ヶ月で150億ドルを超えましたが、その献金額の殆どは100ドル以下の小口献金であり、ネットを通じて行われたといわれています。
これによって気軽に参加しやすいネット献金が再び注目され、翌2009年には楽天が「LOVE JAPAN」というサービスを開始。日本初の大規模なネット献金サービスとなりました。サービス開始初月で160人以上の政治家が登録するなど、日本もアメリカに続いてネット献金文化が根付くかと思われました。

しかし、その楽天のLOVE JAPANは2017年3月20日にサービスを終了します。その理由として、そもそものネット献金の件数が振るわなかったこと、クレジット決済に際してクレジットカード会社が特定の政党との関係を持つことを嫌がり、積極的な協力を渋ったこと。さらには利用できたのが国会議員と一部の地方自治体の首長だけであったことなどが言われています。

今回調査したネット献金サービス「カンタンネット献金」は、選挙情報サイトである「選挙ドットコム」にて2019年に開始されたサービスです。従来のネット献金サービスとの違いとしてあげられるのは、国会議員だけでなく、地方自治体の議員や新人として選挙に挑む立候補者にも献金サービスを提供するという大きな窓口を用意しているところにあります。

このサービスによって「政治献金」のハードルは低くなりました。誰でも応援したい政治家に気軽に献金できるようになります。政治への関心の希薄化、献金という言葉、行為への不信感等によってネット献金は日本に定着しないのではないかと言われてきました。

しかし、私はここ数年が大きなターニングポイントになるのではないかと思います。
近年クラウドファンディング等のサービスが活発になったこと、コロナ等の影響で多くの人が政治を意識せざるを得なくなったこと、コロナの影響で地方自治体の発言力が大きくなり、地方政治にも関心が集まりやすくなったことが理由です。

激動の2020年代。「政治献金」という今まで注目してこなかった分野にも影響を及ぼしているのかもしれません。

 

(文責・宮島 凱生)

投稿者:

山下 洋輔

千葉県議会議員(柏市選出)。 元高校教諭。理想の学校を設立したいと大学院に進学。教員経験、教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 2011年から柏市議会議員を3期10年を経て、柏市長選に挑戦(43,834票)。落選後の2年間、シリコンバレーのベンチャー企業Fractaの政策企画部長として公民連携によってAIで水道管を救う仕事を経験。 柏まちなかカレッジ学長/(社)305Basketball監事。 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)