ヤマシィトンポスト

犯罪と地域への無関心

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【柏駅周辺客引き禁止条例】
そごうが9月に閉店し、春には沼南にセブンパークアリオ柏、秋には柏の葉にT-SITEがオープンする予定と聞く。柏駅前の外部環境はますます厳しくなる。
ただ、柏駅前周辺が「柏市の顔」であることに変わりはない。こういう時こそ、地道にやるべきことを、市役所も街も力を合わせてやりぬくべきではないか。その一つに、柏駅前のイメージを損なってきた「客引き」への対策が求められている。2016年03月11日22時42分23秒0001

これまで、迷惑防止条例で対応してきたが、グレーゾーンでの風俗関係のスカウトや飲食店の客引き、ティッシュ配りは、この条例ではカバーしきれていない。先進市の事例を参考に、柏市は「客引き条例」制定に向け、検討を始めている。

ただ、法律が出来ただけで解決するものではない。行政、警察、商店、地域そして市民が一丸となって、よい街にしていこうという動きが大切だ。

【振り込め詐欺防止条例】
柏市では「振り込め詐欺等被害防止等条例」を制定し、振り込め詐欺対策に取り組んでいる。市区町村レベルでは全国初という。柏市全体で詐欺に対抗するために、事業者や市民の振り込め詐欺への関わり方を定めている。
柏市は柏警察署や金融機関などと対策本部を設置し、最新手口などの情報を発信、市民への啓発、消費生活センターとの連携、サポカーによるパトロール、町会等への防犯講話の充実、犯罪発生マップの記載、被害者支援の総合窓口の設置、詐欺被害防止グッズの配布、詐欺対策付き電話機購入への補助金、研究の推進などを実施する。
だまし取られた現金が、コンビニのATMや、宅配サービスの窓口を使って送金されていることから、柏市内のコンビニ約150店にも情報提供する。
市内の振り込め詐欺などの被害額は、平成26年に過去最高の約3億5000万円(69件)に達したが、27年は約2億1000万円(57件)に減少。今年も減少傾向にある。

【防犯カメラ設置】
柏市の防犯カメラ設置は、平成23年度からはじまり、昨年度までに105台を設置。今年は25台を設置する予定だ。
カメラ設置前の平成22年度には228件発生したひったくりが、平成27年度には17件まで減り、93%減。自動車盗難は77%減。車上狙いは47%減。カメラ設置事業は今年度で終わるが、継続が期待される。

ただ、いくら沢山の防犯カメラが設置されたとしても、限界があり、人の目の重要性は変わらない。住民の地域への関心が、犯罪件数に影響を与える。

【軽視できない自転車盗難】
警察や柏市が熱心に取り組み、治安もよくなってきたような気がする。しかし、今年に入って、柏市の犯罪認知件数は増加している。
注目すべきは、自転車の盗難だ。「軽犯罪ではないか」と、軽く見てはならない。駅周辺で自転車の盗難が多く、駅から離れるにつれて強盗や空き巣へとエスカレートしていく。盗んだ自転車が、空き巣や強盗・ひったくりに使われている。悪質な犯罪の温床になっているのだ。盗まれた自転車の多くは、鍵がかけられていないそうだ。

【「割れ窓理論」】
ニューヨーク市は、軽微な犯罪を徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を抑止し、治安を回復させた。これは、割れた窓ガラスを放置することで地域全体が荒廃し、治安が悪くなり、犯罪も増えてしまうという「割れ窓理論」による対策である。
この理論をもとに取り組んでいるのが、「治安が悪い、街が汚い」といったネガティブなイメージで語られてきた足立区だ。地域や警察ほか関係団体と連携し、一丸となって犯罪のない美しい住みよいまちを目指す「ビューティフル・ウィンドウズ運動」を展開している。10001475_985165028166235_3581770308044926991_n
具体的には、地域でのパトロール、駅前や公園など清掃活動、路上喫煙禁止の推進、放置自転車の防止、公共空間の緑化、花いっぱい運動の推進に取り組まれている。
運動の効果は数字にも表れ、刑法犯の認知件数23区ワーストワンを返上することに成功した。

【地域の価値を高めるパトロール】
自宅の窓を修理することは、資産の価値を高めるだけでなく、地域の治安にもつながる。同様に、防犯パトロールは、地域の治安だけでなく、自宅の資産価値や地域のイメージを高めることにもつながっている。10255006_1016752881674116_7704659011517890365_n
足立区でのビューティフル・ウィンドウズ運動は、町会・自治会の活動と通じる。あいさつ運動や清掃活動、花いっぱい運動、パトロールなど、町会活動が活発な地域は、犯罪が少ない。
松葉町六丁目町会パトロール隊の活動は有名だ。他地域にも影響を与え、空き巣ゼロ運動が広がっている。パトロールそのものだけでなく、地域のつながりが強まり、犯罪への抑止力となっている。10483233_1260178887331513_4217792795992494747_n
いくら警察や防犯カメラが増えても、町会が熱心にパトロールしても、限界はある。私たち一人ひとりが地域に関心を持ち、小さな変化にも目を向けたり、落ちているゴミを拾ったり、近所で顔を合わせた人にあいさつをしたりするだけで、犯罪が起きにくい地域になる。

犯罪の数は、私たち住民の地域への関心の高さを表していると言えるのではないだろうか。

柏まちなかカレッジ学長   山下 洋輔

以下、『BE-COM7月号 vol.285』 (2016.7.1 BE・COMときわ通信発行)に掲載

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投稿者:

山下 洋輔

柏市議会議員。柏まちなかカレッジ学長。教育コンサルタント。元高校教諭。 教育学研究や地域活動から、教育は、学校だけの課題ではなく、家庭・地域・社会と学校が支え合うべきものと考え、「教育のまち」を目指し活動。 著書『地域の力を引き出す学びの方程式』 教育共創研究所 代表 千葉県立東葛飾高校卒業。早稲田大学教育学部卒。 早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了後、土浦日大高校にて高校教諭。 早稲田大学教育学研究科後期博士課程単位取得後退学。 教育コンサルタント山下洋輔事務所設立。 2011年9月から柏市議会議員。 家族 妻、長男(2014年生まれ)、長女(2017年生まれ)